’26.3.12 春を待つ日々

2026年3月28日土曜日

きのう、こけました

  きのう、春の海を見に行こうと思って家を出た。風が穏やかで温かい。春の陽気だ。快適な走りができるにちがいない。鈴鹿市の鼓が浦海岸まで行けば、我が家からの距離は40㎞くらいか。遠出の目安になるエイジライド(自分の年齢と同じ距離数を走るというマイルール)は達成できるはずだ。

 昼前に目的の鼓が浦海岸に着いた。家から38㎞。穏やかな海には春風が吹いて気持ちがいい。砂浜に停めた自転車が絵になる。写真を何枚か撮った。

 白子の海岸まで引き返した。ここも砂浜がきれいだ。何気なく遊歩道から砂浜へ自転車を乗り入れようとしたその瞬間、前輪が砂に埋まった。まるで落とし穴に落ちたように、ハンドルが沈み込んで身体の支えをなくした。

 何が起きたか判らないうちに、身体は砂の上に転がった。砂の上だからよかったものの、アスファルトの上にたたきつけられたら、あわや大惨事。 

 幸いにも、これまで転倒、落車には縁がなかった。今回も軽微な転倒といえばいえる。コーナーなどでタイヤがスリップすると、自転車はコーナーの内側に向けて倒れる。この場合は、膝、腰、肩から頭と地面に近い方へ倒れるので被害は少ない。

 何かの拍子に、傾けていた内側ではなく外側へ自転車が倒れると、ハイサイドの転倒といって身体は投げ出される。地面から遠い頭部や肩から地面に落ちる。怪我が深刻なものになる。自転車の損傷も大きい。

 前輪が砂に埋まっただけでも、スピードが出ていればハイサイドと同じように身体は前方へ飛ばされたかもしれない。速度が遅かったので事なきを得た。

 自転車はこける。危険な乗り物である。ではあるが、高齢になれば歩いていてもこける。階段を踏み外すこともある。自転車に限ったことではない。身の回りには危険がつきもの。

自転車のアルバムを開く

この1枚の写真の前には
どんな写真があるのか

この1枚の写真の後には
どんな出来事が待つのか

今、静止した光景は
やがて動きはじめ
無限に拡大する光景



2026年3月21日土曜日

アッという間の15年

  BICYCLE PLUS  vol.07( 枻出版201212月発行)は「ベストバイクは冬が買いどき・ ニューモデル大特集2013」という企画だった。 

 「・アンダー10万円なら、これを買え!・20万円を切るカーボン完成車・美しき「鉄」コレクション2013」などが主な特集記事だ。

 2012年の夏に初めて安いクロスバイクを買って自転車にはまった。次はロードバイクにも乗ってみたいと思い始めたころに、この本を手にしている。

 当時は、10万円前後でも入門用のロードバイクが手に入った。アルミフレームのものが多いが、鉄(クロムモリブデン鋼)フレームの選択肢もまだあった。カーボンフレームが流行り始めたことも記事から判る。

 手元にある『BICYCLE PLUS  vol.14(2017)、の「趣味がいいといわれる自転車」特集で紹介されている自転車は、2012年から5年経ってはいるが大きな変化はない。

 それからさらに10年。先月、「10万円~30万円ロードバイク・オールカタログ2026 」を特集している雑誌、『Cycle Sports4月号を買った。2012年ころとは様変わり。自転車が大きく変わっている。

 乗り比べているわけではないので、実際の変化は判らない。見た目、姿がずいぶんちがう。フレームは細身の鉄(クロモリ)だったのがアルミへ、アルミからカーボンへ。ブレーキはリムブレーキからディスクブレーキへ。これだけでも印象が違う。

個人的な好みではあるが、ギアやハンドル周りなど銀色に輝く部品は姿を消し、ほとんどが真っ黒。精悍そうなスタイルの自転車が増えたものの、ちょっととぼけた感じの人懐っこい自転車が減った。

 シンプルな構造の自転車に改良の余地は少ないと思っていても、わずか15年の間にすっかり潮流が変っている。75歳にもなれば15年間は人生の5分の1に過ぎないが、30歳の若者の15年は人生の半分を占める長さだ。人生の半分の時間をかけて自転車を改良すれば、大きな変化が生まれるのは当然かもしれない。


アッという間に
追い抜かれても

見知らぬ場所で
長い間待たされても

いずれは目指す駅に着く

アッという間に過ぎる
季節を積み重ねて
ここまで来た

今さら天地が入れ替わっても
それほど気に病むことはない


2026年3月14日土曜日

こんな自転車いりますか

  実用自転車には3段階にギアを換える変速機が多く使われている。走り始めてスピードに乗せる、坂道にさしかかる、そんなときにギアを選んで変速をする。

近頃、乗る人の走り方の特徴をコンピュータが学習して、自動でギアを選んでくれるという自動変速装置が出来たらしい。こんなものまでいるのだろうか。

 電動アシスト自転車(E-bike )は確かに実用的だ。自転車の中に力持ちの小人が何人も潜んでいて、漕ぎ始めや坂道、向かい風のときは助けてくれる。そんなイメージだ。

 ならば、自動変速機は見えない小人がせっせとギアを入れ替えてくれるのか。実際に乗ったことがないのでイメージが湧かない。ちょっとお節介が過ぎる仕掛けのようにも思う。

 走るコースや風向きによって、適切なギアを選んで走る、それもスポーツ自転車ならではの楽しみ。それを奪われかねない。

 本当にそんなものまでいるのかと思っていても、いずれはそれが主流になることもある。自動車の自動変速装置は、今ではそれが当たり前。マニュアル車は運転できないという人もいるくらいだ。

 1985年ころにオートマ車がマニュアル車の販売台数を超えた。今は販売される車の99%がオートマ車になっている。

 シマノの広報によれば、スポーツ自転車には乗りたいが、変速が苦手という人にも気軽に乗ってもらえるように、景色を楽しみのんびり走れるように、自動変速機を開発したとのことである。

 自転車は手軽で安価、作りがシンプルでメンテナンスも簡単というのが売りでもあり買いでもある。電動アシストに自動変速、いずれは倒れない自転車まで作られるようになるのか。自転車が自転車ではなくなってしまうのが心配だ。

 便利になるのはいい。楽になるのもいい。スポーツ自転車を楽しむ人が増えるのもいい。いいことだけれど、自転車が高嶺の花になるのは困る。自転車はお気軽なシンプルさが大事。


銀輪というだけで
何のことだか判る


ペダルを踏むというだけで
何に乗るのか判ってしまう

シンプルですき間だらけなのに
私の日々を比喩で満たしている

地球と同期して自転し
太陽の周りを経めぐる
これこそ命名の由来か

2026年3月7日土曜日

愛車の育て方

  もしも、手入れをしないで15年も自転車に乗りつづけたら、いろいろなところに故障が出るだろう。手当のできる故障ならいいが、もう使い物にならなくなって、買い替えなければならないかもしれない。

 自転車でも自動車でも、それに家電製品にしても、品質が向上していて故障は少ない。それでも、耐用年数は10年くらいを想定しているものが多い。10年もすれば古びて見える。使おうと思えば使いつづけられるのに、新しいものに魅かれて買い替える。使うことに飽きたり、使いつづける情熱を失ったりすることもある。

 初めてのクロスバイクには今年で15年、その次に買ったロードバイクには14年乗っている。5年落ちの中古で買ったロードスタ―という車に至っては、20年乗りつづけている。乗ることに飽きたり、乗りつづける情熱が失せたりすることはない。高級なものではないが、大切な愛車たちなのだ。

 経済的なゆとりがなかった我が家では、父はずっと中古の自動車に乗っていた。「新車は買ったその日から古くなる。中古車は手入れ次第で買ったときよりコンディションが良くなる」、そう言っていた。負け惜しみではない。手を加えることを楽しんでいたようだ。

 コンディションが良い状態を維持したいからといって、乗らないのでは意味がない。乗りまくって楽しむ。ロードバイクではかなりの長距離を走る。マウンテンバイクであればぬかるんだ道も走る。汚れもつくし瑕もつく。

 使い込んだ後は、充分に手入れや整備をする。お気に入りの部品があれば多少無理をしても手に入れて交換する。自転車は身体の一部のような乗り物、手を加えれば身体に馴染む。愛車はこうして、育っていく。

 もう歳も歳なので、今更、高価な部品を買って取り付けなくても、というのでは愛車は育たない。目新しい部品や用品が欲しくなるのは物欲ではなく意欲の表れ、この意欲が愛車を育てる。

用済みになれば
取り壊されて
捨てられる

はじめからなかったかのように
人の記憶から消える

この場所をこのままで
とどめようとする愛着

この場所がこのままで
残っていく記憶の連鎖