2026年3月7日土曜日

愛車の育て方

  もしも、手入れをしないで15年も自転車に乗りつづけたら、いろいろなところに故障が出るだろう。手当のできる故障ならいいが、もう使い物にならなくなって、買い替えなければならないかもしれない。

 自転車でも自動車でも、それに家電製品にしても、品質が向上していて故障は少ない。それでも、耐用年数は10年くらいを想定しているものが多い。10年もすれば古びて見える。使おうと思えば使いつづけられるのに、新しいものに魅かれて買い替える。使うことに飽きたり、使いつづける情熱を失ったりすることもある。

 初めてのクロスバイクには今年で15年、その次に買ったロードバイクには14年乗っている。5年落ちの中古で買ったロードスタ―という車に至っては、20年乗りつづけている。乗ることに飽きたり、乗りつづける情熱が失せたりすることはない。高級なものではないが、大切な愛車たちなのだ。

 経済的なゆとりがなかった我が家では、父はずっと中古の自動車に乗っていた。「新車は買ったその日から古くなる。中古車は手入れ次第で買ったときよりコンディションが良くなる」、そう言っていた。負け惜しみではない。手を加えることを楽しんでいたようだ。

 コンディションが良い状態を維持したいからといって、乗らないのでは意味がない。乗りまくって楽しむ。ロードバイクではかなりの長距離を走る。マウンテンバイクであればぬかるんだ道も走る。汚れもつくし瑕もつく。

 使い込んだ後は、充分に手入れや整備をする。お気に入りの部品があれば多少無理をしても手に入れて交換する。自転車は身体の一部のような乗り物、手を加えれば身体に馴染む。愛車はこうして、育っていく。

 もう歳も歳なので、今更、高価な部品を買って取り付けなくても、というのでは愛車は育たない。目新しい部品や用品が欲しくなるのは物欲ではなく意欲の表れ、この意欲が愛車を育てる。

用済みになれば
取り壊されて
捨てられる

はじめからなかったかのように
人の記憶から消える

この場所をこのままで
とどめようとする愛着

この場所がこのままで
残っていく記憶の連鎖

2 件のコメント:

  1. べーえんべー2026年3月12日 16:38

     私のオートバイ道楽最後の愛車はカワサキGPZR750でした。何台も乗り継いで、最後はナナハンでというのが私の夢でもありました。
     が、後半は乗る機会が減り、車検のためにだけ車庫で眠っていることが多く、可哀そうな晩年でした。
     仕事が忙しくて時間が確保できなかったというのもありますが、これはやはり言い訳です。『愛車を育てる』という心にはほど遠い自分を反省するばかりです。

     MARIOさんのお父様が言われたことば「新車は買ったその日から古くなる。中古車は手入れ次第で買ったときよりコンディションがよくなる」。こんな言葉は、なかなか出てこない名言だと思います。お父様の日頃からのものに対しての接し方、考え方がはっきりと浮かんできます。大切にする心、今あるものをより快適にする工夫など。
     うまく表現できませんが、『日々是自転車』をずっとみさせていただいて、お父様のDNAは確実にMARIOさんへ受け継がれていますね。

     高齢者となり、時間だけは余裕がある自分を、どうやって楽しみながら有意義に過ごしていくか、これが私の課題であります。自転車に乗れたらかなり選択肢が増えるのですが、まだ我慢の状態です。

    返信削除
  2.  毎度コメントをいただきありがとうございます。
     べーえんべーさんの最後の愛車カワサキGPZ750R、今も元気にしていれば相当な価値があるのではないでしょうか。
     
     お仕事が忙しく乗る時間がなかったとのことですが、確かに、愛車は乗ってなんぼのところもありますね。乗らないとつい手入れもおろそかになる、負のスパイラルに陥ります。

     父は3年前に101歳で亡くなりました。自分の父親のことを言うのは気が引けますが、機械工だったこともあり、自分などは足元にも及ばない機械いじりの達人でした。

     晩年は自転車にも興味を持っていたようです。もっといろいろなことを父から教えてもらえばよかったと悔やまれます。

    返信削除