冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2022年11月26日土曜日

旅する自転車

 『旅する自転車 ランドナー&スポルティーフの本』(枻出版社,2015)が本棚に眠っていたので開いてみた。ランドナー(フランス語: RandonneurRandonneuse、ランドヌーズ)とは、フランスが発祥のツーリング用自転車のことで、フランス語の「ランドネ(小旅行)」に由来する。因みに、スポルティーフは日本で作られた、やや高速志向の快走車である。

ハンドルが半円を描くように下に向けて曲がっている自転車はすべてロードレーサーだと思っていた。スポーツ自転車に乗り始めるまで自転車は全て同じような形に見えていた。ロードバイクといえば、ドロップハンドルで細いタイヤを装着し、スピードを競う自転車というイメージが強い。不安定で危険な乗り物と思われる向きもある。

ランドナーは、旅に必要な重い荷物を積んで走る。ロードバイクと同じような形はしていても、全く違う性格の自転車である。長い時間乗りつづけるために、スピードよりも快適性や安定性が求められる。ちょっと専門的になるが、ロードバイクよりは径の小さい太いタイヤを装着し、フレームには乗り心地の良いクロモリ鋼を使う。

ブレーキの形式なども異なる。悪天候に備えた泥よけや夜間走行用のライトも装備する。マニアやファンはランドナー特有の形式美を追及するようだ。条件を満たさないものはランドナーにあらずという人もいるらしい。スピードよりも快適性を求め、旅をすることを目的に作られたランドナーは、高齢のライダーの普段乗りにもちょうど良いかもしれない。

 今乗っているロードバイクに少し太めのタイヤを装着し、ゆったりと快適に乗れるランドナーに近いものに改造すれば、ちょっと出かけるにも旅気分が楽しめそうだ。快適で安全にもなる。ランドナーマニアのように形にこだわらなくても、自分が使いやすくて、ランドナー風の自転車だと思えば、それはとりも直さずランドナーなのだ。


旅する自転車ランドナー (ARAYA ホームページより)
      ARAYA Touriste

形にこだわらず
気分はランドナー

旅に誘われた気分で
出掛ければ旅

旅に出たと思えば
いつでも旅の途中

見慣れた場所の
はじめての景色

近くの街の
はじめての通り

出会いながら
旅をつづける

2022年11月19日土曜日

お休み処

  夏の暑い頃から秋口にかけて、心地よい風の吹く陽かげを休憩場所に選んでいた。それが、風のあたらない陽あたりのよい場所に変る季節である。

自転車で走っていて、ここらでひと休み、と選ぶところは不思議と神社が多い。子どもたちの遊ぶ公園などで休むことは少ない。不審者と間違えられても困る。神社だと気兼ねなく休憩できるのは、自分だけの感覚だろうか。他の自転車愛好家にも尋ねてみたいところである。ご近所の自転車で一緒に走る人たちも、休憩には神社が落ち着くという。

 寺院の境内へは立派な山門をくぐって入るが、神社には飾り気のない鳥居をくぐって入る。敷居の高さが違うようだ。お寺にはご住職の住まいであるお庫裡くりがあって人の気配がする。これが気分的にゆっくりしないということもある。山の中の無人の寺であれば、その範疇にあらずということだが、お寺の境内にはどうも入りにくい。

 神社には繁った杜がつきもので、それが格好の陽かげをつくってくれたり、風よけになってくれたりもする。信仰心がそれほど篤いわけではないが、寺院の場合、宗派も多様で、どこのお寺にでも気軽に入って参拝するというのはなじまない気がする。神社には宗派がない。神社によって祀られる神々は違っていても、参拝の作法は同じである。神々は日本人すべての祖先でもある。

神道では教祖や経典がなく、神はすべてのものに宿ると考えられる。神社の境内には清浄な空気が流れているが、Very Welcomeな雰囲気でもある。ふと立ち寄れば、森羅万象が出迎え歓迎してくれる。手を合わせ、お詣りしてから休ませてもらうという気持ちが自然に湧く。神社に癒しを覚えるのは歳のせいでもあるのか。とにかく、ここでひと休みと神社に寄ることが多いのである。

走るのも面白いが
停まるのも面白い

通過点になったり
目的地になったり

一休みすれば
その先に開ける
道や場所がある

進むのは前へばかりではない
後に向かって進むこともある

ときには宗旨替えもする
開かれたお寺もある



2022年11月12日土曜日

自転車選び

  自転車屋さんで自転車を選んで買うとか、雑誌で自分の好みの自転車を捜すということではない。今日はどの自転車に乗ろうかと、その日に乗る自転車を選ぶ。明日はどの自転車で出かけようかと思案する。自転車選びに迷うことも多い。

 たくさんの種類の自転車を何台も持っている人は、どうやって乗り分けているのか、それも知りたいところである。趣味とはいえ、何台も自転車をもっているというのは贅沢なことだ。

 少し前に、いつもコメントを寄せてもらうべーえんべーさんから、3種類の自転車に乗る回数を調べてみたら、乗り分けている傾向が判って面白いというヒントをいただいた。3年間の、自転車に乗った回数を集約してみた。自転車に乗った日には走行距離、平均速度や最高速度などをサイクルコンピュータの記録から転記しているので、回数は簡単に数えられる。

 3台の自転車に乗った回数を合わせると、毎年300回近く乗っている。午前と午後に2回乗ると、それぞれを1回とカウントしているので、乗った日数は200日くらいだろう。それにしても、乗りも乗ったり、ずいぶん多い。自転車ごとに乗った回数にばらつきがあるのは、時期によって一緒に走る人が違ったり、興味のあるコースが変化しているからである。

 乗車回数を数えてみて、面白いことに気がついた。クロスバイクとマウンテンバイクは1回の走行距離も、そのときの平均速度や最高速度もほぼ同じである。ロードバイクだけが、走行距離が長く、速度も速い。一人で遠くへ出掛けるときにはロードバイクに乗っている結果だろう。

 数字が、自転車の選び方を表していて面白い。自転車の特性も示している。気分次第でお気に入りの自転車を選んでいても、自転車が走り方を教えてくれているらしい。


選んだと思っているが

選ばれているのかもしれない

選んだからここにいて

選ばれたからここにいる

選んだり
選ばれたりして
日々をすごす




2022年11月5日土曜日

愛車精神

  知人の自転車を見ていて、ディスクブレーキのブレーキパッドがかなり減ってしまっていることに気が付いた。ブレーキをかけると異音も出る。パッドの交換はそれほど難しい作業ではないが、他の人の自転車の、特にブレーキをいじるのはためらわれる。深刻な事故の原因につながらないとも限らない。

自転車屋さんで、一度点検してもらうように勧めた。知人は、自転車屋さんで、ブレーキディスクが減っていると伝えたらしい。点検をしてもらったところ、ディスクは減っていないので交換の必要はないと言われ、そのまま持ち帰った。

 ディスクそのものは簡単に減るものではない。ディスクをはさみつけるパッドの方が減っているのだから、それを交換すべきだと再度進言した。交換後に、今まで取り付けてあったパッドをもらって来て見せてほしいと頼んでおいた。案の定、ディスクパッドはよくぞここまで使ったと思えるほどに摩耗していた。そのまま乗りつづけていれば、支障が出て事故の原因になった可能性もある。

 自転車屋さんを悪く言うつもりはないが、自転車屋さん自身も自転車に乗る人で、自転車を大切にする人なら、自分の自転車を点検するつもりで丁寧に点検してくれるだろう。客の依頼だけでなく、意向を忖度してパッドの摩耗に気付いたはずだ。ブレーキの効き具合を試してみれば、パッドの摩耗のことだろうと簡単に判ったに違いない。

 乗り手の方も、日頃から自分の自転車のコンディションに注意を払っていれば、不具合の発見につながる。自転車屋さんに状況を正確に説明し、整備をしてもらうことが出来る。乗り手にも、それを支える自転車屋さんにも愛車精神が欲しい。長く安全に自転車を楽しむために、先ずは自転車を大切にすることだ。何しろ、かつて日本のキリシタンは神の愛を御大切と日本語に翻訳したくらいなのだから。かく言う自分も、自転車との付き合い方を見直してみたい。

いっぽんの柿の木 

柿の木 実る

柿の木 熟れる

ひとすじの川

川 晴れて映る

川 晴れて佇む