冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2023年3月25日土曜日

マウンテンバイクのパンク

  なぜことさらにマウンテンバイク(MTB)のパンクなのかというと、これが大きなトラブルだからである。

 MTBのタイヤは太い。山の中や不整地を走るためにできているので、太くて頑丈で重い。実用車の約2倍、ロードバイクの3倍くらいの重さがある。タイヤは太いが他の自転車と同じくらいの幅のリムにはめるので、脱着に苦労をする。

 先日、そのMTBの後輪が初めてパンクした。家から4㎞くらいのところだった。自転車のタイヤがパンクした経験のある人なら、誰しも3つの選択肢を思い浮かべるだろう。

 選択肢の1つ目は、その場でパンクの修理をする。2つ目は、空気の減り具合にもよるが、空気を入れながら騙しだましだまし走り、大急ぎで家に帰る。3つ目は、修理を諦め家まで自転車を押して帰るか、車での救援を家人に頼む。最後の選択肢は、格好がよろしくないのででき避けたい

 家まで4㎞しかないが、4㎞もある。微妙な距離だ。家からもう少し遠ければ、その場で修理する気になるだろう。ロードバイクのようにタイヤの脱着が簡単なら、家の近くでもその場で修理すれば済む。

 このときは、MTBだったので思案した。予備のチューブは携行していても、タイヤを外すのが面倒だ。急には空気が抜けそうにもないので、選択肢の2つ目を採り、その場で空気を入れ直して、パンクをしていない前輪に体重をかけるようにして、出来るだけ走る。

家から2㎞ほどのところまでは走った。タイヤが走行に耐えられなくなった。後は、3つ目の選択で、自転車を押して帰った。

 家に帰ってからも、パンク修理にかなり手こずって、考えた。タイヤの脱着が簡単にできる工具を買い求め、多少嵩張(かさば)っても今後はそれを携行する頑丈タイヤパンクったないはいえ、MTBのパンクは事程左様に難儀なのである。

ペダルを踏んで
新しい景色の中へ
入って行くのか

ペダルを踏み続けていれば
新しい景色が
向こうからやって来るのか

とにかく
自転車の上で
ペダルを踏む

ペダルから車輪へと
意志がつたわる

この道の先へ進んでいくのか
向こうからやって来る道を
ここにいてやり過ごすのか
車輪はまわりつづける



2023年3月18日土曜日

180回目のブログ更新 Ⅱ

  前回が180回目の更新だったので、今回は正確には181回目ということになる。自転車に乗り始めて、行く先々で写真を撮ったり、いろいろな人と出会ったり、しばらくすると自転車に乗る仲間もできたりした。

 自転車について紹介されるブログやツイートがネット上にはたくさんあって、今更という感もあったが、自分は自分の自転車に乗る日々のことなどをまとめておきたいと思っていたので、ブログを始めることにした。

 ブログをはじめたころにも書いたように、自転車で出かけたときの写真を貼って、それに「行ってきましたぁ」、「今日は絶好の自転車日和、おまけに絶景」などと紋切型のコメントをつけても、自分が面白くない。

 自転車日記のつもりで、公開することはあまり意識しないで書く。自転車の上で見た景色、自転車で出会った人たち、そして走りながら想うことや自転車との関り方など、文章にまとめて残すのも面白い。

 3年間、180回、思いつくままに、あまり整理はしないで書いて、写真もそのつど貼り付けた。自転車に乗っているだけの脈絡のない時間が自分の中でつながる。

 思いもよらない瞬間、いつもと違った場所、ときには何の変哲もない光景さえも、思いつけば写真に残す。未整理のままにしておけば、それきりの1枚いちまいが、ブログに残せば意味をもち、つながっていく。

 毎回の更新は、内容も調子もばらばらだけれど、自転車で出会った情景、仲間や人たち、そもそもの自転車との関りといったくくり方をしてみれば、つながる時間や空間が広がる。

 映画や小説に登場する自転車に思いを重ね、作家や物語の主人公が見たのと同じ情景の中を通り抜ける。ブログを書いて更新する密かな楽しみは、そんなところにもある。


朽ちていこうとしながら
そのときどきの姿をとどめている

置き去りにされても
時間をつなげている

残していくことは
つなげていくこと

残るものたちが
背景になって
居場所をつくる

一本の木が

別の一本の木につながる


2023年3月11日土曜日

180回目のブログ更新

  ブログを公開し始めて3年経った。今週の更新で180回目になる。初めてブログを公開したのは、2020年の213日だった。Googleの提供しているBloggerというブログ作成用のツールを使って、本文を貼り付け、写真も添えるというやり方である。

 どんな人からアクセスがあったかは分からないが、ブログ作成ツールには、毎日、毎月、あるいは3カ月ごとのアクセス数が記録される。全期間を通してのアクセスも確認できる。公開してから3年間の全アクセス数は、これを書いている時点で13,391件である。

 どんなブラウザ(インターネットでページを検索するソフト)を使って読まれているか、オペレーティングシステムには何が使われているかも記録される。Google Chromeを使ってAndroid携帯からアクセスしてもらう件数が断然多い。

 面白いのは、国別のアクセス数である。日本語で書いているブログで、内容もローカルなものにもかかわらず、国外からのアクセスがある。多いところでは、3年間にアメリカ合衆国506件、フランス141件、ドイツからは59件のアクセスがあった。ウクライナから15件、トルクメニスタンからの8件などは、統計が正しいかどうか疑わしい。

 まさか、漢字を使って「日々是自転車」が検索されたとは思えない。たまたま、URLの「hiro-bike.com」が何かの拍子にヒットしたということだろうか。勿論、中学校の教員をしていたころの生徒さんが外国に暮らしていて、ブログを読んでくれたというメールが届き、国外からのアクセスを裏付けるものもある。

 ことさら公開するような内容でもないし、特に主張があるわけでもない。とにかく、自転車に乗ることが面白い。行った先々で撮る写真も残っている。その面白さを記録にとどめておくのもいいだろうと思って始めたブログである。それでも、3年間も続けていると、このブログの存在の意味らしきものが何となくみえてくるような気がする。(次回につづく)


3年前の1枚の写真

3年前の居場所と時間

昨日撮った1枚の写真

1枚1枚の写真のすき間を
180回の記録で埋めれば

3年分の時間と居場所がつながり

遠くへ広がっていく















2023年3月4日土曜日

もしかすると

  昨日、椿神社へ行った。風の穏やかな、春を思わせる陽気だ。ロードバイクで家を出た。午後は南東の風が強まりそうだ。

 もしかすると、海に向かって走った方が帰り路で追い風になって楽かもしれない。それなら、椿神社から鈴鹿方面へ下ればよい。とりあえず、25㎞ほど先の椿神社へ方向を定め、走りながら考える。

 もしかすると、今日のようにあたたかい日は、山沿いにきらら林道の下から東海自然歩道を抜ける方が気持ちがいいかもしれない。けれど、ロードバイクなので、菰野から平坦な道を選んで水沢を目指す。

 もしかすると、巡見街道から巡礼道へ出た方が走りやすいかもしれない。そうこう考えながらも椿神社には10時過ぎに着いた。

もしかすると、昼食にはまだ早いかもしれない。この先で美味しいものが見つかるかもしれない。そう思いつつ、椿神社へ行ったときのお決まりで椿会館のカレーライスを食べた。

もしかすると、この先は、亀山方面へ下る方がいいかもしれない。能褒野という美しい地名に魅かれて走る。走行距離が少し伸びて、家に帰れば80㎞くらいにはなるだろう。

もしかすると、もしかするとと、前向きの「もしかすると」を重ねながら走りつづける。もしかすると、前方の坂を避けて迂回できるかもしれない。もしかすると、次の辻で曲がれば見たこともない絶景に出会うかもしれない。「もしかすると」は可能性の追求だ。

帰ってみるとサイクルメーターの走行距離は83㎞を示していた。もしかすると、今日は他にもっと面白いコースを走れたかもしれない。これは後ろ向きの「もしかすると」だ。振り返ってもしかするとと問い直すよりも、今日はこれでよかったと、きっぱり決めておく。

 もしかすると、自転車を趣味にしていなければもっと楽しいことがあったかもしれないなどと、後ろ向きに問うのは馬鹿げている。

「もしかすると」を重ねて
今、ここにいる

もしかすると
もっと遠くまで
行けるかもしれないし

もっと先まで
進めるかもしれない

もしかすると
思いもかけないものに
出会うかもしれないし

思いもかけないところへ
たどりつくかもしれない


もしかするともっと良い日に
なっていたのかもしれないが
今日は今日のままでよかった