自転車を駐輪場に停めるときに、隣の自転車との間にどれくらいのすき間が必要か、という話ではない。自転車を出し入れするときに隣の自転車を倒したり傷つけたりしないすき間も必要ではあるが、ここでは自転車の取り付け部品のすき間の話。
自転車の車輪のリムをはさんで車輪の回転を止めるブレーキの場合、リムとブレーキシュー(ブレーキのゴムブロック)のすき間は1㎜程度に調節する。左右同じように1㎜のすき間を作る。左右合わせて2㎜のすき間の間をタイヤが回転している。ブレーキをかけると、そのすき間が無くなり、リムとシューが密着し摩擦力で回転を止める。すき間が大きすぎるとブレーキの効きが悪くなる。
左右で2㎜のすき間しかないところで回転する車輪が、横に2㎜振れていたら、リムとシューが擦れ合う。走行中にブレーキがかかることになる。車輪の横振れも中心軸から左右に1㎜以内に抑えなければならない。
多くの自転車に使われるシマノの変速機の整備マニュアルをみると、前の変速機のチェーンを移動させるチェーンガイドとチェーンのすき間は0㎜から0.5㎜が適正となっている。そんなバカな。0㎜といえばすき間はなし。既にガイドとチェーンが擦れ合っているということではないか。実用には中間の0.25㎜くらいに調節すべきということだろうか。
自転車屋さんで教えてもらったことがある。自転車の各部の調節ネジは、4分の1回転とか半回転といった具合に、ごくわずかに締めたり緩めたりする。オートバイなどを自分でいじる人は、この微妙なさじ加減が判らないので失敗しがちだ、ということだった。
昔はオートバイだってキャブレターの燃料と空気の混ぜ具合やエンジンの点火時期などの微妙な調節は、少しずつネジを回して手探りでやってましたけど。今では電子制御にお任せである。自転車のすき間調節だけは、人と人の間合いの取り方と同じように、昔も今も人情の機微が必要ということか。
花のすき間に 秋空がのぞく |
細いすき間を 通り抜けて進む |
花のすき間を 秋風が吹いて通る |
花のすき間を ときが過ぎていく |
空と花と 自転車と私と いくつもの すき間を 調節している |