鉄道マニアには、興味関心の向かうところによって、いろいろな人がいるらしい。マニアのことを鉄道オタク、鉄道ファン、鉄ちゃん、または鉄子などと呼ぶ。さらにその人たちは、撮り鉄、乗り鉄、時刻表鉄。車両鉄に模型鉄。更には音鉄、文字鉄、収集鉄等々に分けられる。何をする人かは概ね見当がつく。変ったところでは、葬式鉄というのもある。鉄道路線の廃止や車両のラストランを見送る人のことである。まさか、ファンを大切にする鉄道会社でも、駅や電車の中で葬式はさせてくれないだろう。
こういう人たちからは、それは鉄道マニアやファンにあらずとか、外道、邪道といわれるかもしれないが、自転車で鉄道沿線を走るのが面白い。強いてマニアの分類に割り込むとすれば、線路の横を走るので「横鉄」か「脇鉄」、「沿線鉄」でもいい。無理に鉄道マニアに加わらなくてもいいが、自転車愛好家にはチャリダーか自転車女子くらいしか愛称がないので羨ましい。呼び方はともかく、線路沿いを走ってみる。幸い我が家の近くにはローカルな鉄道路線が3本もある。
例えば、こういう具合である。我が家から最も近い三岐鉄道北勢線の東員駅へ行く。そこから、できるだけ線路に沿った道を選んで走りだす。線路の脇に道があるとは限らない。ときどき、道は線路から離れる。離れた場合は、できるだけ早く線路脇の道を探してもどる。線路が鉄橋や切り通しにかかるときは、そこから近い橋や道路を探して迂回する。再び、できるだけ近いところで線路脇にもどる。線路と再会できても、道はまたすぐに線路から離れることもあるが、諦めずにまた戻る。これを繰り返して、北勢線の両端、阿下喜、または西桑名駅まで走る。両駅へは同じ10㎞程度の距離だが、途中迂回が必要なので、多少距離が長くなる。
例えば、こんなやり方もある。終着の阿下喜駅まで行って、近くを走る路線に乗り換える。北勢線阿下喜駅からなら、三岐鉄道の別の路線にある、西藤原駅または、伊勢治田駅あたりへワープする。そこから、また線路に沿って、自宅に近い北勢中央公園口駅まで戻り帰宅する。阿下喜駅から、近鉄湯の山線の菰野駅とか湯の山温泉口まで移動して、四日市駅までの沿線を走るのも面白い。同じ線路沿いでも、走るたびに選ぶ道を変えれば沿線の景色は千変万化。途中で疲れたら、線路を離れて自宅を目指せばいい。
線路脇に整備された道があるとは限らない いつの間にか道が線路から離れてしまう (三岐鉄道北勢線 阿下喜駅付近) |
電車に抜かれたり、すれ違ったり 電車を見下ろしたり、見上げたり (三岐鉄道北勢線 旧六石駅付近) |
蕎麦の畑が線路と道を隔てている 蕎麦の花の向こうを機関車が行く 離れてもまた会える道が見つかる (三岐鉄道 丹生川駅付近) |
突然追い抜いていく貨物列車に 慌ててカメラで追いすがる にわか撮り鉄になっている (三岐鉄道 三里駅付近) |
にわかマニアたちと沿線鉄を試してみる 自転車が疲れてホームに上がっている 乗り手をおいて電車で帰るつもりか この路線は自転車の意志で電車に乗れる (三岐鉄道 西野尻駅) |
操車場の近くまで行ってみた いつもと様子の違う電車に出会う (三岐鉄道 保々駅) |
屋根の上を走るのは親子か恋人たちか 空に向かって駅舎の屋上を駆けのぼる (三岐鉄道 北勢中央公園口駅) |