'25.10.3 一本の柿の木

2021年6月26日土曜日

鉄道沿線を走る

  鉄道マニアには、興味関心の向かうところによって、いろいろな人がいるらしい。マニアのことを鉄道オタク、鉄道ファン、鉄ちゃん、または鉄子などと呼ぶ。さらにその人たちは、撮り鉄、乗り鉄、時刻表鉄。車両鉄に模型鉄。更には音鉄、文字鉄、収集鉄等々に分けられる。何をする人かは概ね見当がつく。変ったところでは、葬式鉄というのもある。鉄道路線の廃止や車両のラストランを見送る人のことである。まさか、ファンを大切にする鉄道会社でも、駅や電車の中で葬式はさせてくれないだろう。

 こういう人たちからは、それは鉄道マニアやファンにあらずとか、外道、邪道といわれるかもしれないが、自転車で鉄道沿線を走るのが面白い。強いてマニアの分類に割り込むとすれば、線路の横を走るので「横鉄」か「脇鉄」、「沿線鉄」でもいい。無理に鉄道マニアに加わらなくてもいいが、自転車愛好家にはチャリダーか自転車女子くらいしか愛称がないので羨ましい。呼び方はともかく、線路沿いを走ってみる。幸い我が家の近くにはローカルな鉄道路線が3本もある。

 例えば、こういう具合である。我が家から最も近い三岐鉄道北勢線の東員駅へ行く。そこから、できるだけ線路に沿った道を選んで走りだす。線路の脇に道があるとは限らない。ときどき、道は線路から離れる。離れた場合は、できるだけ早く線路脇の道を探してもどる。線路が鉄橋や切り通しにかかるときは、そこから近い橋や道路を探して迂回する。再び、できるだけ近いところで線路脇にもどる。線路と再会できても、道はまたすぐに線路から離れることもあるが、諦めずにまた戻る。これを繰り返して、北勢線の両端、阿下喜、または西桑名駅まで走る。両駅へは同じ10㎞程度の距離だが、途中迂回が必要なので、多少距離が長くなる。

 例えば、こんなやり方もある。終着の阿下喜駅まで行って、近くを走る路線に乗り換える。北勢線阿下喜駅からなら、三岐鉄道の別の路線にある、西藤原駅または、伊勢治田駅あたりへワープする。そこから、また線路に沿って、自宅に近い北勢中央公園口駅まで戻り帰宅する。阿下喜駅から、近鉄湯の山線の菰野駅とか湯の山温泉口まで移動して、四日市駅までの沿線を走るのも面白い。同じ線路沿いでも、走るたびに選ぶ道を変えれば沿線の景色は千変万化。途中で疲れたら、線路を離れて自宅を目指せばいい。

 横鉄的、沿線鉄的走法は安心感が強い。電車の線路は急峻なところを通らないので、急な登り坂が少ない。駅と駅の間を走っているのだから、走行中の地点から一区間の半分の以下の距離に必ず駅がある。辺鄙なところを走っていても駅はある。無人駅でも飲み物の自販機くらいはあるので、水分補給には事欠かない。トイレの心配もない。アクシデントがあっても駅名を告げて家人に平身低頭、お迎えを頼むこともできる。自転車を駅の駐輪場に預けて、電車で帰宅することもできる。自転車を始めて、少しずつ走る距離を伸ばしたいと思う時期にはうってつけの走り方なのだ。

線路脇に整備された道があるとは限らない
いつの間にか道が線路から離れてしまう
(三岐鉄道北勢線 阿下喜駅付近)

電車に抜かれたり、すれ違ったり
電車を見下ろしたり、見上げたり
(三岐鉄道北勢線 旧六石駅付近)

蕎麦の畑が線路と道を隔てている
蕎麦の花の向こうを機関車が行く
離れてもまた会える道が見つかる
(三岐鉄道 丹生川駅付近)

突然追い抜いていく貨物列車に
慌ててカメラで追いすがる
にわか撮り鉄になっている
(三岐鉄道 三里駅付近)

にわかマニアたちと沿線鉄を試してみる
自転車が疲れてホームに上がっている
乗り手をおいて電車で帰るつもりか
この路線は自転車の意志で電車に乗れる
(三岐鉄道 西野尻駅)

操車場の近くまで行ってみた
いつもと様子の違う電車に出会う
(三岐鉄道 保々駅)

屋根の上を走るのは親子か恋人たちか
空に向かって駅舎の屋上を駆けのぼる
(三岐鉄道 北勢中央公園口駅)






2 件のコメント:

  1.  乗り鉄、撮り鉄、いろいろあれど、わが鉄道の旅は「呑み鉄」なり。
    これはNHKが不定期で放送している『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』という番組。
    私はほぼ毎回観ていますが、酒と鉄道という偏った視点から日本を再発見するという内容で、沿線の酒蔵や鉄道遺産を自由気ままに巡ります。
    番組内でかかる六角バンドの曲や、BGMの選曲もいいです。壇蜜がナレーター(笑)。

     さて、この横鉄・沿線鉄という発想が素晴らしい。
    自転車好きなオタクたちも、なかなか思いつかないプランでしょうね。
    気軽に走れて、わき道に入れば思わぬお宝や秘密基地に遭遇したりする。
    さすがMARIOさんの頭脳は柔軟性があります。別に遠くまで足を延ばさなくても、身近なところに新しい発見はあるのだから。

     今回の写真も素敵なものばかりです。よくあれだけいいタイミングで写真が撮れるのか、驚きです。ひょっとしてMARIOさんも撮り鉄に足を踏み入れたかも。

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  2.  毎度のことながら、コメントありがとうございます。

     「呑み鉄」は知りませんでした。面白そうですね。機会があれば番組を観てみたいと思います。

     ブログの本文を書くのも難しいですが、写真はもっと難しいです。「撮り鉄」ならぬ「撮りチャリ」のつもりで、自転車をいろんな角度から、できるだけきれいに撮りたいとは思うのですが、どうもうまくいきません。何をするにも、やる気、根気、元気(勇気)という三本の木(気)が大事といいますが、写真は、天気、空気、雰囲気に左右されるので難しいです。

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