冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2020年9月26日土曜日

フォトジェニック

 フォトジェニック。『コトバンク』には、「写真向きであるさま。写真うつりがよいさま」とある。ミス・ユニバースやミス・インターナショナルなど、女性の美を競うコンテストには「フォトジェニック賞」という特別賞がある。ことさら写真映えのする女性のためのプライズということか。歴史のあるコンテストでも使われるのだから、フォトジェニックということばには古くからなじみがあるはずだ。最近は「インスタ映え」と同義語にも使われるらしい。

 インスタ映えのする写真を競って公開するのが流行りであるが、私には映える写真が撮れるわけでもない。ブログに写真を貼り付けて、簡単に説明をつけるだけでは、自分自身が面白くない。まずは下手くそでも文章を書くことにしている。原稿用紙に下書きをする。400字詰め原稿用紙3枚、1,200字ピッタリに書くのが努力目標、文章修行。年老いていく脳の活性化を目指す。最後の行が原稿用紙の3枚目を使い切ったところで終わるようにしたい。そのあとで、貼り付ける写真を選ぶ。佳い写真はないが、自転車の映り込んだ写真なら鑑賞に堪える。ひいき目といえばひいき目。自転車を置くだけで、ありふれた景色がいつもと違って見える。

自転車を買おうと思いついたころ、ネットで自転車の記事やカタログを漁った。自転車の写真を眺めていると、その機能美に魅せられる。自動車もオートバイも、スタイリングには惹かれるものがある。デザイナーが粋を凝らし、流行を取り入れて練り上げたデザインなのだから当然だろう。古いものにも古い時代の先端をいくデザインが反映さているはずである。自転車には、しかし、どこか違った美しさがある。車であれば、人が驚くような性能とスタイルを選ぼうとすると、その値段は優に1千万円を超える。自転車なら性能は乗り手の脚力次第、手ごろな値段のものでも十分に美しい。

 自分で運転して移動するための機械なら、車やオートバイは自転車よりも断然速いが、美しさでは自転車も負けない。力を伝達する機構がすべて見えていて、圧倒的にシンプル。部品の数は車やオートバイとはくらべものにならないほど少ない。こんな単純な機械はもう進化のしようがないだろうと思っても、毎年高性能で美しいモデルが登場する。古典的で最新。単純にして繊細。無機質の機械でありながら優美。これをフォトジェニックといわずに何といおう。

        

この日、この場所、この時刻
私の居場所はたった一つしかない
私がいるところには自転車もいる
 
 景色の中に自転車を置けば
 景色が私のいる場所になる

      優しくやわらかな光景の中に置けば
      自転車も優しくやわらかにたたずむ

  硬質で殺伐とした光景にも
  自転車は凛然として耐える


 無骨なマウンテンバイクが自然になじむ
   無機質の機械が玲瓏として背景に融合する  


       



          


2020年9月18日金曜日

放課後花壇倶楽部

  季節の変わり目は着るものに困る。猛烈に暑い夏のさなかは、何も着ていない状態に近づけるのが手っ取り早い。自転車について書いた本や雑誌には、夏の服装が解説されている。日焼け対策や夏向きの素材を使った高価なウエアの紹介がある。暑さや日焼けが気になるなら、真夏には自転車に乗らなければいいようなものだが、そうもいかない。高価な夏のウエアを買うゆとりはないので、真っ黒に日焼けして、汗を流しながら乗ることになる。

 猛暑も一段落して秋風が吹き始めると、自転車に乗るのは随分楽になる。ところが、しばらくの間は暑さにも寒さにも耐える備えがいる。自転車は風をきって走るので、扇風機の風の前にいるようなものである。暑いときには心地がいいが、秋口になって、朝夕はめっきり気温が低くなると、服装にも工夫がいる。夏物秋物、多くもない衣類を整理していたら、背中に「放課後花壇倶楽部」「こころに花を咲かせよう」と背中にロゴを入れたTシャツを見つけた。

 さて、その「放課後花壇倶楽部」である。花壇倶楽部もロゴを入れたTシャツも、退職直前に勤務していた学校でこしらえた。どこの学校でもよくあることだが、学校に居場所がなくて、不登校になったり授業に身が入らなかったりする生徒がいる。教室に入れなくて保健室登校をしたり、授業から抜け出したりする生徒がいる。花壇に花を植えたり、校舎の傷んだところを修理したりしていると、そういう生徒が手伝ってくれる。人との関係がうまく結べない寡黙な子や逆に騒々しすぎる子。そんな子たちを誘って「放課後花壇倶楽部」を結成した。ただの花壇倶楽部ではなく、「放課後」としたのは意味がある。学校に来て、たとえ1時間でも授業に出席しないと「放課」はない。倶楽部の部員は、1時間だけでも授業に顔を出すのが最低条件。

授業をきちんと受けないことを責めるでもなく、学校の嫌な理由を問い詰めるでもなく、無心に花壇の手入れをしていると、いつしか心にも花が咲いてくるときがある。かたくなに閉じこもって誰とも話をしない子が、乱暴な子と気が合って話し出す。尋ねなくても、言いたいことがたまってくればしゃべり出す。校長が部活の顧問をすることはあまりないが、当時「放課後花壇倶楽部」は部活の一つとしてそれなりに活動していた。理由があって、学校になじめない子たちが、放課後にTシャツを着て花壇に集る。わかり合える友だちがいて、学校に居場所ができれば、少しずつ教室にも戻れるようになる。

今も学校に勤務していたら、「放課後自転車倶楽部」を作ってみたい。放課後に、校区を自転車で探索する。学校が休みの日には遠くへも出かけてみたい。危ないとか、そんな部活は学校にないからとか、反対する声が聞こえてきそうであるが、面白そうなことは何でもやってみたらいい。何かきっかけがあれば、学校は楽しくて、うれしい場所になる。


久しぶりに出てきたTシャツ
一人のときに着るのは気恥しい
仲間が欲しい…
自転車に乗るには似つかわしくないか??
よく目立つ色なので安全ではある!!
放課後花壇倶楽部
まだ、Tシャツをあつらえていなかった頃
放課後花壇倶楽部のTシャツを着た写真が見つからないので
制服姿で悪しからず…
男子には花がよく似合う

中学生の考えるフレーズはおもしろい
これは部活の練習着…
陸上競技部のTシャツも撮らせてもらった
花を咲かせたいと思う気持ちは同じ…
Tシャツの後姿を撮らせてもらったら
ソックスのポーズもとってくれた
ちょっとした足芸??!

番外:
我が家の花壇倶楽部 部員は現在孫1名
自転車倶楽部も作りたい!!
やっぱり男子には花がよく似合う














2020年9月12日土曜日

自転車の電池

 近ごろは夕暮れの訪れが早い。帰宅が遅くなると帰り道はいつの間にか真っ暗である。私が若かったころ…、今は昔ということになるが、暗くなって自転車に乗るには、かなり余計な力が要った覚えがある。というのも、前照灯を(とも)すためには、発電機を回さなければならないからである。前輪のタイヤの側面にローラーを密着させ、電気を()けるために発電をする。それが重い。おまけにゴーという音がする。

 最近の自転車は、前輪のハブ()に発電機が内蔵されていて、余分な力はそれほど必要ない。音からも解放されている。おまけに光センサーがついているので、暗くなれば自動で点灯してくれる。こんな簡単なことを、なぜ思いつかなかったのか。思いついても、それを支える技術がなくて、実現が遅れたのか。とにかく、発電機は進歩した。
ビンテージ風に、あるいはランドナーという自転車の形式美のために、ダイナモ(直流発電機)を今も使っているマニアはいるようだが、これは例外だろう。 

 前照灯の技術はさらに進歩して、最近では発電機さえ不要である。LEDランプは明るくて電力消費量が少ないので、電池で充分に電力をまかなえる。足に負担をかけず、重量もそれほど増やすことなく、夜でも明るい視界を確保できる。
 小型、軽量、しかも長続きというのは、自転車の部品にとってはありがたい。エネルギーも不要となれば願ってもないが、そうはいかない。ということで、電池の使用が増えることになる。

 自転車に乗っているときに使う電池を数えてみる。前照灯やバックランプは暗いときだけ使うとして、他にもサイクル・コンピュータ、スマホのGPS、おまけにスマート・ウォッチなど使っていると、かなりの数になる。電動の変速機など装着すれば、電池の数はもっと増える。デジタル・カメラ持参で、さらに増える。

 充電式の電池であればいいが、小型、軽量のためにはボタン型の電池を使い捨てにすることも多い。環境保護や出費を考えると決していいことではないだろう。子どものおもちゃなどを見ていても、電池で動くものが多い。どんどん動かして、どんどん捨てている。消費は活発になっていいのだろが、本当にこれでいいのかと疑問に思う。

 自転車を実用に使うためには、多少の電力の消費も仕方がないが、楽しみだけで乗っている分には電力や資源の節約を考えたい。自転車に使う電力くらいは、自力で賄(まかな)えるといい。軽い発電機を静かにまわして、灯火、計測器その他、必要なものは自給できるようなシステムが欲しい。多少ペダルが重くなっても、資源を無駄遣いをしているという引け目は感じなくてもすみそうである。

夕暮れが早い
前照灯の準備をしておくに越したことはない

ハンドルに大きな前照灯をつけている
暗い夜道では強い味方になる

次から次へと電池を充電する
左から、自転車前照灯、携帯電話、スマートウォッチ1
スマートウォッチ2、デジタルカメラ用電池

友だちの使っている電動変速機と電池
変速も電気を使う…??
速くて正確に変速する…らしい!?

これはついでながら…
最近買った髭用のトリマー
大した髭ではないが、髭も電気で整える!?









2020年9月5日土曜日

故障を除く

 コロナウィルスと熱中症が怖いので、仲間と一緒に走るのをしばらく控えていた。おまけに膝の故障もある。朝夕の涼しいうちに、自分の膝と相談しながら、短い距離を走るだけにしていた。自粛、自重である。

 先週、久しぶりに仲間4人で走る約束をした。満を持して走行会に備えたが、朝から生憎の雨模様。そこで、自転車を車に載せて集合することにした。天候を見て、あわよくば少しでも走ろうという魂胆である。雨雲レーダーで走れるエリアを探すがどうも芳しくない。走るのは諦めて、仲間4人で自転車愛好家のマスターの店「ジャスミン」へコーヒーを飲みに行く。ジャスミンのマスターのことは、以前にこのブログで紹介した。コーヒーを飲みながら考えた。仲間の一人のガレージを借りて、メンテナンスの会を開催することに計画変更。

 メンバー全員、自分の自転車に調整や修理をしたい箇所があるので、ちょうど良い機会である。高価な電動変速機がうまく作動しない。最近買ったばかりのクロスバイクの初期のメンテナンスをしたい。他にも、フレームにバッグがうまく取り付けられないとか、愛用の空気入れのゲージが壊れたなど。故障や支障は除きたい。技術も経験もない素人ばかりとはいえ、これまで自動車やオートバイ、他にも電気回路などをいじり、分野は違えど野菜作りなどもしている仲間が知恵を出し合えば、案外問題は解決できるものである。

 自転車の調子にはいろいろな状態がある。状態が悪くて乗れないのは完全に故障。状態はいいはずなのにうまく動かないのも故障。状態は悪いけれど乗れるのは故障かどうか。状態が良くて快適に乗れるのが本来の姿だろう。

 整備は完璧のはずなのに、うまく動かないのが一番面倒である。バイクショップで調整してもらったのに、変速を渋る電動変速機はその例である。プロでもうまく調整できないのだから、素人にはできなくてもダメ元ということで、マニュアルを頼りに調整を繰り返したら、変速機は見事に動くようになった。状態が悪いのに無理やり使っていた空気入れは、店に行けば間違いなく新品を売りつけられるだろう。空気圧のゲージを分解して、指針をプラ板で作成、交換したらきちんと空気圧を示すようになった。状態が良くて快適に使えるのは気持ちがいい。故障はすべからく取り除くべきである。

 膝の故障にも同じことがいえる。痛くて曲がらなければ歩けない。痛くなくても曲がらなければ、これも歩けない。痛くても曲がれば、歩いたり自転車に乗ったりはできるが、どこか故障している。痛みもなくきちんと曲げ伸ばしができるように、故障を除きたい。リハビリと称して、痛みがあっても自転車に乗っていたのでは、いつまでたっても完治しないかもしれない。自転車も自分の身体も、素人のメンテナンスでは何とも心もとないが、工夫次第では好結果を生むという楽しみもある。 


仲間の家のガレージを借りて自転車の手入れ
各々が自転車を持ち寄る
雨の日の自転車乗りの楽しみ
     
知恵をしぼって自転車の調整や修理、手入れをする
但し、素人の整備にはリスクも伴う?? 

膝の負担軽減策?
トゥクリップを着けてみた

膝の故障を除くのに効果があるか??
効果があると信じれば効果は出る!!?

夏の名残を惜しむ
空にも水面にも季節は移ろう
自転車を停めると、もう秋…、

影が少しずつ長くなる
夕暮れの訪れがいつの間にか早くなる
身体も自転車も故障を除いて、秋に備える…