冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2022年6月25日土曜日

較べず競わず

  一緒に自転車で走る仲間が何人かいる。近所に住む人たち4人のグループで、月に一度は遠出をする。最初のころは、30㎞ほどの距離を走っていたが、最近は60㎞~70㎞走るようになった。少しずつ走行距離を伸ばしている。

 元同業者や古くからの知人の4人グループもある。こちらは、天気の許すかぎり、週に一度は近場を走る。年に何度かは遠出もする。これも走行距離は7080㎞といったところだ。

 どちらのグループも、気のおけない仲間で、休憩の時間ともなれば自転車のこと以外にも話題には事欠かない。つい休憩時間が長くなる。  

 話題は豊富にあるが、乗っている自転車を較べて性能をひけらかし、体力や脚力を競うようなことはしない。思い思いの自転車を持ち寄って、無理のない距離を無理のないペースで走る。これは両方のグループに共通している。乗り手の体力にも自転車の性能にも差はあるが、一緒に走っている間はそれを感じない。較べたり競ったりしないところに秘訣があるのだろう。

 自転車仲間とは較べず競わず和気藹々とした気分で走るが、自分を自分と較べ、自分が自分と競うことが往々にしてある。自転車に乗り始めたころの自分に較べて、今は脚力がついているか。去年の自分より速く遠くへ走れているか。加齢とともに運動能力も反射も衰える。過去の自分と競っても、勝負にならないことは目に見えている。自転車の性能は最新型のものと較べれば、新しいものの方が優れているに決まっている。

 振り返りをしたりこれからのことを考えたりするには、目安や基準がいるし、目標がある方がいいこともある。とはいえ、無用に較べたり競ったりはしないで、とりあえず風に乗って走る流儀でいきたい。

ときが思い思いに集まってきて
それぞれのときを語らっている

ときの速さも
ときの行方も
移ろっていく

遠くにいたり
近くにいたり
日向にいたり
日陰にいたり

ときの流れに乗って
ときの行方に従って

くらべずにいく
きそわずにいく





















2022年6月18日土曜日

縛りを解いて

 例えば、自転車でかなりの距離を走って、家の近くまで帰り着いたときに、サイクルメーターが走行距離95㎞を示していたとする。家まで走れば、ほぼ98㎞になると予測する。せっかくなので100㎞にしておきたい。余分に2~3㎞走って、走行距離を100㎞に合わせる。その方が区切りがいい気がする。

 もっと短い距離のときでも同じで、25㎞を超えていれば30㎞に、45㎞超えなら50㎞にと四捨五入的結果を残したくなる。そのままの記録を残しておけば良さそうなものだが、つい切りのいい数字にこだわる。妙な縛りだ。

 さて、このブログ、文章修行などと恰好をつけて、1200字にまとめて書こうと決めている。400字詰め原稿用紙に3枚。毎回必ず3枚目の最後の行まで埋める。原稿用紙にぴったりの字数を埋めても、ブログの作成ページにコピーしてからもう一度加除修正をする。実際の字数に100字ほどは過不足が出る。

 自転車の走行距離と同じで、少し数字が足りないと、無理やり中身を付け足すことになる。自転車の走行距離と違って、増やすばかりではなく、文字数が多くなると減らすこともある。字数に縛られて、尺を伸ばせば冗長になる。書きたいことを書けずに端折れば腹がふくれる。書いていても面白くない。

 書きたいことがあれば、しっかり書く。そうでなければ、短くまとめる。当意即妙とまではいかないが、形に縛られることはない。何でもいいから書き放題というのもつまらない。起承転結とか序破急とか文章の行儀はわきまえて、下手なりにまとまりはつけておきたい。自転車に乗ることは、縛りを解いて自由自在に想いのままにどこにでも出かけることだ。乗り方を決めつけることはない。その自転車について書くときも、何かに縛られていては不都合だ。 

枠にはめられて
飼い慣らされて
自由にどうぞといわれると
ふと戸惑う

自分の居場所は自分で決めて

道のない道を行ってみたり

立ち止まってみたり

思いのままに走りたい




2022年6月11日土曜日

タイヤの寿命

 3,8674,5305,5896,4588,311。これまでに使ったタイヤの走行距離である。単位は㎞。自転車のタイヤは言うまでもなく2本ある。駆動する力はすべて後輪にかかるので、後輪のタイヤが圧倒的に早く摩耗する。感覚的にはほぼ倍くらいの早さで擦り減るのではないだろうか。脚力のある人は、加速する力が強いので、タイヤの減りも早くなることだろう。

 パワフルなエンジンを積む自動車が、幅の広いタイヤを装着していても、摩耗が早いのと同じ理屈である。私のように力のないライダーのタイヤは寿命が長いということになる。クロスバイクのタイヤは今使っているもので9セット目、ロードバイクは6セット目、マウンテンバイクは購入したときのものをそのまま使っている。 

 何セットも使ったが、平均すれば5,000㎞くらいで取り換えている。交換の時期としては、①タイヤのトレッド(接地面)の溝が減って、いかにもスリップしそうにったとき。(タイヤによっては、自動車のタイヤと同じように、スリップサイン、TWI[Tread Wear Indicator]がついているタイヤもある)。②トレッドやサイドウォール(横腹)にひびや亀裂をみつけたとき。③パンクが頻発するようになったとき、などが考えられる。乗り心地が悪く、使っているタイヤに飽きてしまったときというのもある。但し、これは我慢して乗りつづけるのが経済的理由からは妥当である。

 経済を考えるならば、タイヤの寿命が5,000㎞とすると、前後の減り具合を考えて、3,000㎞くらいで、前後のタイヤを入れ替えるのがいいようだ。前後のタイヤを交換するといっても、自動車のようにホイールごとはずして入れ替えるというわけにはいかない。自転車の前後ホイールは、ギアの有無など形状が違うので、ホイールから脱着する必要がある。これは面倒な作業だが、習熟しておくと出先でパンクをしたときには調法だ。

 自転車のタイヤは安いものでは12,000円くらいから、高価なものは10,000円近くするものまである。クロスバイクに過剰品質と思われるようなちょっと高価なタイヤを使っていたら、それが災いの元になった。

 乗り心地が良くて、摩耗も少ないようなので、前後の入れ替えをさぼって6,000㎞走り続けた。先日、休憩していて何気なくタイヤを見ていたら、何と後輪のトレッドのゴムが剥がれているではないか。スリップサインもついていて高級なタイヤなので高をくくっていたら、破綻は思いがけなくやってきた。

 トレッドが剥がれて、中のケーシングといわれる布地がむき出しになっている。タイヤの予備までは持っていないので、恐る恐る家まで20㎞ほどを走った。タイヤの寿命は乗り方で変る。乗り手の脚力でも変わる。乗り手の寿命は予測がつかないが、タイヤの寿命は概ね察知できる。チェックとケアを怠らなければ、タイヤに裏切られることはないはずだ。

泥んこになって遊んだ日

田の道を辿った記憶

記憶は不意に顔を出す

記憶の先の世界をのぞく

タイヤに記憶を刻み

古い皮は引きはがしていく



2022年6月4日土曜日

尻の痛み

 自転車に乗らない人からよく尋ねられる。長時間自転車に乗ると、お尻が痛くならないかということである。自転車に乗る人からはよく聞く。長時間自転車に乗るとお尻が痛くなるという悩みごとである。1日自転車に乗れば、サドルの上に6時間も7時間も座っていることになる。尻が痛くならない方が不思議なくらいだ。

 自転車の雑誌や解説本を読んでいると、サドルについて書かれた記事は多い。お尻の痛みに悩み、何とかそれを解消したいと思っている人が多いということだろう。

 私はありがたいことに自転車に乗り始めたころから、ほとんど尻の痛みを知らない。遠くまで走っても苦にならない。人のいたみを知る人になれとはよく言われることだが、人のお尻の痛みばかりはなかなかわからない。

 形や硬さの違うサドルに取り換えるとか、お尻の部分にパットの入ったズボンをはくという工夫をしている人もいる。高価なサドルやズボンなどをいくつも買って試したという経験談も聞く。

 私の場合は、チョイ乗りのクロスバイクにも長距離を走るロードバイクにも革のサドルを使っていて、これが効果的なのかもしれない。革のサドルは最初木でこしらえたかと思うほど固い。ところが、長い時間使っているとしなりが出て、臀部の形に変形して来る。

 何かの本で読んだが、スプーンを二枚重ねたのと同じように、サドルのへこみと臀部がぴったり合うので、擦れることが少ないようである。しかも、ほんの少し座る位置をずらせば、ぴったりと合っている部分が今度は完全にずれてすき間ができる。サドルと臀部の間に空間ができて、痛くなった部分とサドルとの間が密着しない。座る位置を、前後に移動することで、負担のかかる部分を随意に変えられるということらしい。

 体重のかけ方によっても、痛みを軽減することができる。自転車に乗っているときには、腕でハンドルを支え、または、反対にハンドルで上体を支え、サドルに跨って体重を支える。さらに、ペダルを踏むことで、脚に力を入れると、その反力が体重を支える。腕、尻、それに脚の3点で体重を支えている。

 前かがみになって腕に上体の重みをかければ、臀部の負担は減る。ペダルを下向きに強く踏めば、臀部が浮き上がることになるので、サドルにかかる重力は軽減される。乗り方を工夫することでも、尻の痛みを和らげることができるということだ。

 こまめにサドルの高さを変え、前後にずらしたり傾けたりして自分の乗り方に合う位置を見つけることも、尻の痛みを解消することにつながるのではないだろうか。次々に新しい部品や用品を買って試してみるのもよいが、知恵と工夫と、ときには痩せ我慢で問題を解決すべきなのは、尻の痛みに限ったことではない。

長さ27㎝,幅15㎝が
私のこの日の住処だ

柔らかくもなければ
温かくもないのに
居心地は悪くない

日がな1日をサドルに座って過ごす

1日がサドルに座ったままで過ぎていく

時がうつろうのか
私がうつろうのか