日の出とともに走り始める。早朝の涼しい時間なら、酷暑の時期でも熱中症の心配はない。去年の夏も確か同じようなことを考えていた。考えているだけで夏が過ぎた。早起きができないのである。
今年は早朝ライドを敢行する。8月15日、そう思って朝4時に起きた。空はまだ暗い。日の出の時刻は5時13分。もう少しだけ寝ておこうと思って横になった。目が覚めたら7時30分だった。早朝ライドはやはり無理か。
翌朝、再び4時に起きる。眠ってしまわないように、自転車を外に出してタイヤに空気を入れた。日の出の時刻は1分遅くなっている。生憎の曇り空。なかなか明るくならない。視界が開けるのを待って、5時半に家を出る。行く先は走り始めて決める。椿神社までくらいは行けるか。片道25㎞。休憩をしながら走っても7時には着けるだろう。
Tシャツ一枚では寒い。真夏でも、朝早くに走るというのはこういうことか。山の稜線が朝日に輝くのを期待して走るが、朝靄がかかっていて山が見えない。走り始めて半時間、菰野町の街中を抜けるころになっても辺りは薄暗い。同じ薄明かりでも、夕方とは空気感が違う。人影がない。車が少ない。広告灯の明かりが消えている。曇り空ではあるが今日のはじまりのすがすがしさだ。
椿神社まではどの道を辿っても大きな坂を登ることになる。清んだ空気の中の登り坂はいつもより勾配が緩い。坂を登り終えて水沢の茶畑が広がる場所に出ると、靄が晴れて青空がのぞく。予定通り7時ちょうどに椿神社の鳥居の前に到着。後ろの山がはっきり姿を現している。
自転車に乗り始めてほぼ10年。早朝に走るのは元旦の初日の出を見に行くとき以外にはなかった。この夏、この歳になって、初めてのことができてよかった。早朝ライドが病みつきになるかもしれない。
ようやく山の稜線が見えてくる |
真夏とは思えない 涼しい空気の中にいる |
朝を先導して走る |
ようやく朝が追い付いてきた |