ふと気づく。自転車で走っていると、どこからともなくただよってくる、金木犀の香り。街角を曲がる、集落の入り口にさしかかる、ほのかな香りがはっきりした匂いに変わる。日をおうごとに、金木犀の在処がふえる。
いつとはなしにその匂いに出会えなくなる。きのう、この道で出会ったはずなのに、今日はもうない。彼岸花も、1,2本の茎が花をつけたと思っていると、いつの間にか勢ぞろいする。白い蕎麦の花が一面に咲く畑の畔を、朱色のトリムが彩る。1週間もすれば、それはたちまち消える幻影。盛りの時期は短い。
そういえば、春の桜も同じだ。3分咲き、5分咲きといっているうちに満開になる。それも一夜の雨に散り、あとは何事もなかったかのように、葉桜は周りの樹々の緑にうずもれる。自転車で通り過ぎても桜とは判らない。
花と老骨の痛みでは、話が違うようだが、自転車に乗っていて感じる痛みにはよく似たところがある。
歳のせいもあってか、いろいろなところに痛みが出る。あれ、ちょっと膝が痛いぞ。最近肩が痛くて腕も上げにくい。後ろを確認しようと思っても首が痛くて曲がらない。痛みは、花の咲き始め。少し痛いぞと思っていると、それがいつしかピークに達する。やがて痛みの満開。
痛みのピークは満開の花のように歓迎はできない。無理をしないように自転車の乗り方を変えてみる。しばらくは、ペダリングやフォームを工夫して、痛みと付き合う。
花の季節が終わるように、痛みもいずれ消える。その消え方もまた花に似て、いつとも知れず消えていく。そういえば、いつの間にか痛みがなくなった、これは嬉しい。花に付き合い、痛みにも付き合い、日々是自転車。
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白い畑を彩る 朱の縁かざり |
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いつどこではじまり いつどこでおわるか |
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子どものころのヒーローは 疾風のようにあらわれて 疾風のように去っていった |
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今はもう少しゆっくりと つき合って欲しい |
























