赤い乗用車がコンビニの駐車場から道路に出ようとしている。自転車に乗っていると、目線が高いので車の運転席がよく見える。赤い車のドライバーはこちらを見ていない。おそらく、近づいていく自転車に気づいていないだろう。きっと、私の前に飛び出すだろう。
やはり、というべきか、助かった、といえばいいのか。その車は近づく自転車に注意をはらう様子もなく車道へ出て走り去った。予測していなければ大惨事だ。
狭くて見通しのきかない脇道から不意に車が出てきた。車は一旦停止しなかったわけではない。ドライバーが左右の確認をできる位置まで前進したので、車の鼻先が道路にはみ出た。一瞬、ドライバーの驚く顔が見えた。間一髪のところですり抜けた。律儀に道路の左端を走っていたら大激突だ。
防衛運転とは、「ドライバーが事故を防ごうとする意識と運転方法によって、自分が原因の事故を起こさない、他者が原因の事故に巻き込まれることを防ぎ被害を最小限にすること」である。とりわけ自転車には防衛運転が必要だ。
自転車は交通弱者である。他者が原因の事故に巻き込まれることが多い。幸いなことに、これまで事故に巻き込まれたことはないが、ヒヤリとしたことは何度もある。
予防安全(アクティブセーフティ)という衝突事故などを未然に防ぐための装備・技術がある。衝突安全(パッシブセーフティ)対策として、事故の際に乗員の安全を確保する装備・技術も開発されている。残念ながら、自転車にはいずれの装置も無縁のようだ。
少しでも軽く、シンプルにという自転車の進化の方向から考えれば、予防安全装置は期待できない。防衛運転に徹するしかない。路上の自転車は時として邪魔者扱いされ、無視される。防衛のためには「自転車がここにいます」としっかり主張する。目立ちすぎだろうが、派手だと思われようが、私がここにいると気づいてもらうのが防衛の第一歩だ。
色で目立つ 形で目立つ 薫りで目立っている |
目立ちつづけて つづいていく |
休んでいても ここに居る |
小さいけれど ここに居る |
大切なものは いつも持っている |
目立たないで 目立っている |