11年間自転車に乗っているが、10日も続けて走らないということはこれまでなかった。父の葬儀の後しばらく乗るのを控えていた。ちょうどひと月になるので自転車を再開したいと思う。
再開をするには時節がよくない。とにかく暑い。暑さに身体が慣れていないところへ、体力も衰えている。例年であれば、ずっと乗りつづけているので、梅雨の蒸し暑い時期も、梅雨明けの強烈な陽ざしの下でも、身体は少しずつ季節の変化になじんでくれている。
水分を十分に取って適度に休憩をはさめば、1日中走っていられるくらいの体力はあると自負していた。今年は勝手が違う。朝に弱いので、起き出して外へ出るころには陽は十分に高く、真夏の日差しがふりそそぐ。自転車に乗る前には、必ずタイヤに空気を入れることにしているが、ポンプのハンドルを押すだけで汗が噴き出す。
この陽ざしの中へ自転車を漕ぎ出すのかと思うと、勇気がいる。無謀なことをしているのではないかと思えてくる。例年、今の時期には年間の走行距離の半分、5,000㎞くらいは走っているが、今年はまだ3,000㎞に満たない。今年は自転車にばかり乗っていないで、人に会うことや話すことに時間を割きたいと思っていた。
父の弔問に来ていただく人と会ったり、家にいることが多いので友だちが遊びに来てくれたりで、今年の方針通りにはなっている。
とはいえ、全く自転車に乗らないでいるのは落ち着かない。今週になって少し乗り始めた。再開はゼロから始めるよりも難しい。中断する前の感覚とのずれや体力が落ちていることの不安が大きい。初心にかえるにはいい機会かもしれない。
慎重に行きましょうと自分に言い聞かせてゆっくりと走り出せば、猛暑とはいえ久しぶりに自転車できる風が心地よい。空の青さと樹々の緑がまぶしい。ペダルを踏みだすと、身体の力と軽快なリズムが蘇えってくる。いつの間にか爽快さが暑さや不安を追い抜き置き去りにする。再開早々つい遠くまで走ってみたくなった。
家にいれば 庭の芝生も 自転車も 手入れができて きれいにはなる |
少し走ってみる リズムが蘇える |
いつの間にか 夏が来ていて 夏にとけこむ |
自転車をつたわって 感覚が蘇えってくる |
廃校になった 小学校も 今は夏休みだ |
夏がすぎても 子どもたちは もどってこない 再開ができることもあれば 再開ができないこともある |