交通量の多い幹線道路を大型のトラックと並走するのは恐ろしい。大きな道を走るのは避けていても、横断をする機会は多い。大型のトレーラーやダンプカーの行き交う道を横断するのは至難の業である。ひたすら車の流れが途切れるのを待つ。自転車で広い道を横断するには時間がかかる。ゆとりをみなければならない。
広い直線道路を横断しようと、右を見て、左を見て、また右を見て、何度も首を振りつづける。もう一台、向こう側車線を来る大型トレーラーをやり過ごせば横断できそうだ。そう思っていたら、何と、左から来たそのトレーラーが停まった。運転手が手振りで横断を促してくれた。横断歩道も引かれていない場所である。
何とも親切な運転者だ。20トンもの積み荷があれば、一度止まれば燃料の消費がかなり増えるだろう。それでも、わざわざ停まって、横断するように合図をくれた。お礼に手を挙げると、丁寧に手を振って応えてくれた。一期一会にも満たない瞬間の出会いが、その後しばらく心地よい余韻となる。
自分が自動車を運転していると、ともすれば自転車に乗っている人が邪魔だと思ってしまう。自転車に乗っているときには自動車が邪魔者に見える。自動車に乗ったり、自転車に乗ったり、以前はオートバイにも乗っていた。乗り物によって、道路の使い方が変わる。自分の乗る物が変わると、他の乗り物が邪魔に思えるとは、何とも心持の狭いことだ。
大型トラックには乗ったことがないので、自転車がどう見えているのかは判らない。同じように一人で運転しているとはいえ、大きさがまるで違う。自転車はさぞ邪魔なことだろう。急ぐ仕事のさ中に、遊びで乗っている自転車はどうしようもない厄介者に違いない。それでも、一旦停車して道を譲り、スピードを落として追い越しに配慮をしてくれる。プロドライバーの心意気を見習うべきである。
自分だけの道と思って 気分よく走っているが |
我が道を行くと うそぶいているが |
先人のつけた道を なぞっている |
この道は 人も行く 車も行く 時も行し 季も行く |
行き違ったり |
並んだり |
追い抜かれたり しながら行く |