じっくり取り組む。気長につづける。子どものころから全く縁のないことばだった。小学校や中学校の通知表には、落ち着きがない、集中力に欠けると必ず書かれていた。子どものうちから落ち着いてしまうというのもいかがなものかと思うが、何かに集中するというのは大切なことだ。
学年が進むと、ケアレスミスが多い、物事に慎重に取り組みたい、と言葉は変わっても、同じようなことを言われつづけた。授業中に話をしっかり聞けないというおまけもついていた。
落ち着きのない子どもが、授業をする側にまわった。37年間も教員生活を送った。カウンセリングマインドが大切とばかりに、生徒たちの言い分に耳を傾ける努力はした。実際のところはどうであったか。せっかちさが先にたち、自分の考えを押し付けることが多かったと後悔することしきりである。
還暦を迎えて、仕事を辞して、暇ができた。手元不如意だが時間はある。多少なりとも、じっくり気長にものごとを考え、取り組むことができるようになった、かもしれない。
例えば、自転車。急ごうと思っても、自分の脚力に相談すれば、急ぎようがない。景色を楽しみながら、じっくり気長に前に進むしかない。自転車の整備をしようと思えば、部品を注文して届くのを待つ。届いた部品が上手く取り付けられなくても、じっくり構えて気長に工夫して、何とかものにする。
先日、自動車の錆びついたホイールの塗装をやってみた。いずれ、自転車のフレームも塗装したい。予行演習のつもりである。自分でやれば経済だ。先ずは錆を丁寧に落とす。色を塗って乾くのを待ち、重ねて塗ってまた乾くのを待つ。艶出しのラッカーを塗ってさらに待ち、ラッカーを繰り返して塗る。
じっくり塗料や艶出しを塗り気長に待つ。この歳になって、ようやく子どものころには縁のなかったことにも出会えているようだ。
身から出た錆は 自分で落とす |
塗っては待ち 待っては塗る |
いずれは光る いずれは咲く |
今年は遅い さくらを待つ |
じっくり気長に 待って咲いた 咲いた桜が咲いた |
2 件のコメント:
私はこの歳になっても、物事にじっくり取り組むことが苦手です。興味があることには、そこそこ持続性がありますが、家族の頼まれごとなどは特にやる気が起こらず、適当に済ませたり先延ばしするのが常です。
子どもの頃の成績も秀でたものはなく、所見内容はほぼ頭の中にありません。先生に褒められた記憶と言えば、一度だけ技術家庭のテストが満点に近くて、先生がびっくりしていたこと。とはいえ、手先が不器用で実技はひどいものでしたが(笑)。授業態度も落ち着きがなくふざけたりするので、よく怒られていました。
MARIOさんはこれまでのブログから推察するかぎり、才気煥発、クラスの人気者。何事にも興味を示し、積極的に行動する。いわばガキ大将のようなパワーを感じます。
じっくりと腰を据えて、気長に。これは、理想的かつ優雅な生き方といえます。私の場合、これといった用事や予定が入っていないと、ついアルコールに手が伸びてしまう。呑んだが最後、もうその日は終わりになります。
写真のホイール塗装、これほど丁寧に仕上げられるのは、素人では難しい。完璧に塗装するためにしっかり学習して準備、手順を確認しつつ、それぞれの工程に拘りをもって完成させたのでしょう。
取り付けたピカピカのホイールとタイヤ。鏡面仕上げの車体に映った桜が、オーナーの心意気を物語っています。
じっくりと気長に。そこへたどり着くには、無我の境地さらには心のゆとりが必要ですね。時間はたっぷりあるけど、うまく活用できない自分が歯がゆい今日この頃です。
時間があるというのはありがたいことです。仕事をしているころには、自分のことはいつも後回しで、後回しにしている間にやれずに終わってしまうということが多かったように思います。家のことは妻に任せっぱなしで、家事などお構いなしでした。
仕事を辞めて家にいるようになって、時間をかけて自分のやってみたいことができるようになりました。便利な世の中で、自動車の磨き方やホイールの塗装の方法はYouTubeの動画でたくさん紹介されています。材料もネットで手軽に安く手に入ります。何をするにも手本が簡単に見つかるので、自分でやってみようという気にさせられます。
あとは、やろうとするかどうかの問題ですね。気の多い私は何でもやってみたくなって、じっくり気長にとはいうものの、つい慌てて失敗することが多いです。自分のことばかりやっていないで、人様の役に立つこともやらなければいけないと思う今日この頃です。
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