冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2024年2月24日土曜日

ぜんぶ新品

  チェーン、3,000㎞~5000㎞。リアスプロケット(後輪につけられたギア)とチェーンリング(クランクにつけられた大きなギア)、1万㎞。ガイドプーリーとテンションプーリー(後ろの変速機につけられた2枚のプーリー)やBB(クランクの軸受け)、1万㎞。

 いずれも、駆動系の部品の交換時期である。「Yahoo知恵袋」や「You Tube」などインターネットの書き込みに、交換時期の目安が説明されているのを見かける。記事によって目安のばらつきが大きい。どれを信じたらいいのか判らない。まゆつばものの解説もある。

 自転車部品の業界最大手SHIMANOのホームページを調べる。「整備のヒント」というページがある。各部品の交換すべき状態が図入りで説明されている。走行距離や経年による交換時期は書かれていない。使われ方、乗り方が違うので、ひとまとめにできないのだろう。自転車専門店での定期的な点検と部品交換が勧められている。企業の良心かリスクヘッジか。

 愛用しているロードバイクのチェーンはほぼ5000㎞ごとに交換している。1万㎞ほど交換しないときもあった。それくらい走ると伸びが目立つ。スプロケットの歯はそれほど目立って減らないので、頻繁には交換しない。新品から35千㎞走る間に2度交換しただけだ。

 チェーンリングとBB一度も交換したことがなかった。交換が面倒なこともある。これまで支障はなかった。よく見ると歯先が摩耗しているようなので、この際、駆動系の部品をぜんぶ新品に交換しようと思い立った。うまく交換できるかどうか、交換作業も楽しみのひとつ。腕試しだ。

 交換し終えて試運転をする。変速はスムーズで走りも軽くなった、ような気がする。部品に投資して、交換作業に手間をかけたのだから効果は絶大、のような気がするだけかもしれない。子どもが新しいおもちゃを手にしたのと同じだ。新品はわくわくするしうれしい。


3万5千㎞の
摩耗と忍耐

走った道のりを
出発点にもどす

新品の部品が
集まって踊る

持ち場についた

居場所を定めた

つながって
回り始めて
次の距離に
耐えていく


2024年2月17日土曜日

一見、ばらばら

 ちょっと見たところ、実にまとまりがない。テーマも中身もばらばらである。何のことはない、このブログのことである。『日々是自転車』というタイトルをつけたので、自転車について書くということははずせない。自転車に乗っていて思いついたことを綴っておくというのがブログをはじめるきっかけだった。

 自転車で出かけた場所について書き、自転車で走る道の情景を書く。自転車に乗って想うことを書き、憧れを書く。映画やテレビドラマで見た自転車のことも、小説や随筆に登場する自転車のことも書く。

 自転車のスタイルや構造を書く。素人の域が出ないが、性能を較べたり整備をしてみたりして書く。人のことも書く。自転車に乗る人や、一緒に走る仲間のことを書く。自転車の面白さ、走りつづける楽しさ、ときには苦労や困難や悩みも書く。自転車を諦めてしまうことは書かない。

 写真を撮る。撮った写真も、一見、ばらばらだ。思うにへたくそである。自転車が写りこんでいることが救いなので、自転車のおかれている風景を写真に撮る。うまくはいかなくても、自転車が引き立つように撮る。

 自転車に関係しているからといって、文章だけのブログではつまらない。写真を添える。書いた中味と写真は食い違うことがある。一見ばらばらで、噛み合わない。自転車に乗りつづけているというアリバイ証明のようなものだ。どこかではつながっている。

 まとまっていないように思えても、つづけていて、つながっていれば、意味があとからついてくる。書きっぱなしの撮りっぱなしで、まとめることなど考えていなくても、振り返れば自転車とのつき合い方が見えてくる。クロスバイク、ロードバイク、それにマウンテンバイク。そもそも、日々の自転車の乗り方が、これも、一見、ばらばらなのである。

どこからともなく
集まってくる

いつの間にか
一緒に走っている

ひとつの枠には
とじこめないで

はて何処から来たものか

さて何処へ向かうのか



2024年2月10日土曜日

100万円の自転車

 区切りのいいところで100万円の自転車ということにしたが、自転車のカタログを見ているとさらにその倍の値段がついた自転車もある。スポーツ自転車を知るまでは、2万円も出せば自転車が買えると思っていたから驚きだ。

 ホームセンターの自転車売り場には1万円代で買える自転車も並べられている。スポーツ自転車らしい恰好をしている自転車でも、3万円程で買えるものがある。

 安全性や耐久性を考えれば、あまりにも安価なものには手を出すべきではないと思うが、それにしても、軽乗用車や小型車と同じくらいのプライスタグのついた自転車がどんな走りをするのか、一度は乗ってみたいものである。

 自転車に求められる絶対性能は軽さなので、高額な自転車は兎に角軽く作られているには違いない。脚の力を車輪に伝えるための効率を上げ、摩擦による力の損失を減らすために、高価な部品が使われているはずだ。

 実用自転車が2万円で買えるのに、前後の車輪だけで3050万円もする。変速装置なら1、2万円程度で手に入るのに、これも超高級な自転車のものは50万円を超える。金に糸目をつけずに自転車を組めば、100万円はいうに及ばず200万円を超えるのも理解できる。

 体力と技量がないと、自転車の性能ばかりが優れていても、無用の長物になりかねない。自転車屋さんで聞いたことがあるが、高価な自転車に乗れば確かに楽に速く走れるが、それよりも自分の脚力を鍛える方が大事で、値段ほどに性能の差はないとのことであった。

 100万円の自転車を1,000万円もするようなメルセデス・ベンツのSUVに積みこんで出かけ、琵琶湖の湖岸道路を走る。やってみたいとは思うが、簡単には実現できそうもない。

時代の先端はバーチャルリアリティである。脳を仮想現実の世界に置き換える。愛用している安い自動車と自転車を高級外国車と100万円ロードバイクだと仮想する。いつもの道をいつもの自転車で走っても、仮想の世界で気分は舞い上がり、100万円の自転車が楽しめる。

自転車にだって
翼があると思えば
きっと飛ぶことができる

子どものころに
はじめて乗った自転車は
羽根が生えたように
音速で田んぼ道を走った

今だって
山の向こうまで
走って行ける

バーチャルリアリティの
テクノロジーを使えば
山を跳び越すこともできる


走りつづければ
地球を一周して
ここに戻ることも
できるはずだ



2024年2月3日土曜日

雪が降ると

  先週、この冬初めての雪が降った。30㎝ほども積もったか。今年は温かくて雪が積もることはないかもしれないと思っていたので意外だった。

 中学校へは自転車通学をしていた。今より雪が多かったように覚えている。もう半世紀以上前のことだ。雪が積もっていても、当たり前のように自転車に乗って学校へ行った。いつもの朝よりも通学路が楽しかった。

 友だちの一人が、自動車のタイヤチェーンのよろしく自転車のタイヤにわらを巻き付けていたのを思い出す。画期的な発明だった。チェーンの効果があったかどうかは疑わしいけれど、受けねらいには成功していた。

 雪の被害が深刻な地方の人には申し訳ないが、雪は冬の楽しみだった。子どものころには、竹を割って火であぶり、スキーの板のように先を曲げて足にくくりつけ、スキーの真似事をした。日かげの斜面には雪が長く残っていて、一度雪が積もればしばらくはスキー遊びができた。

今のように大人が一緒に遊んでくれることはなかった。年かさの子が遊び道具も作って一緒に遊んでくれた。自分が大きくなると小さい子たちに遊びを教えた。大人の介在しない子ども文化の継承があった。

 雪の日の自転車通学の心得も自分たちで会得した。身軽な子どもが転倒しても大事に至ることはなかったのだろう。大胆に雪道を自転車で走っていた。タイヤが滑るのは面白かった。

 雪が積もると、子どものころのわくわく感も積もる。じっとしてはいられない。自転車で出かけてみたくなる。反射能力は衰え、身体は硬く、雪道へ自転車で乗り出すのは危ない。わかってはいるが、雪の中へ走り出さずにはいられない。

 マウンテンバイクは雪に強いタイヤを装着している。雪で真っ(さら)になった道へ漕ぎ出。気持ちはおおはしゃぎだ。雪の日のじっとしていられない自分の気持ちにとことんつき合ってやろう。

雪につつまれてしまえば
いつの時代も変わらない

冬はつとめて
雪のふりたるは
言ふべきにもあらず
清少納言さんだって
わくわくしていた

一夜のうちに
リセットされた
道が始まる

雪が消えるのをおしむように
子どもたちは遊びつづける

新しい雪が降ったら
今度は何をしようか