冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2020年6月27日土曜日

自転車乗りのたばこ


 自転車に乗るということは健全なイメージが強い。自転車に乗っているというと健康的だとか元気があるとか、お褒(ほ)めにあずかる。何を根拠に人はそう判断するのか判らないが、自分でも何となくそういう気がしてくる。
 ひるがえって、たばこを吸うというと、何と不健全な、というとらえ方をされる。反社会的行為のようにいわれることすらある。肩身が狭い。タバコを売っているJTが、タバコの害を宣伝しているのだからどうしようもない。

 私の愛飲しているたばこは「ハイライト」。古くからあるたばこで、パッケージにはクラシックな雰囲気があり気に入っている。ところが、近ごろ、そのパッケージの半分を使って、メッセーが書かれている。
 「たばこの煙は、あなただけでなく、周りの人の肺がん、心筋梗塞など虚血性心疾患、脳卒中になる危険性も高めます」
 「喫煙は、動脈硬化や血栓形成傾向を強め、あなたの心筋梗塞など虚血性心疾患や脳卒中になる危険性を高めます」
 「たばこの煙は、子供の健康にも悪影響を及ぼします」
 「20歳未満の者の喫煙は、法律で禁じられています。喫煙は、あなたが歯周病になる危険性を高めます」
 「妊娠中の喫煙は、胎児の発育不全のほか、早産や出生体重の減少、乳幼児突然死症候群の危険性を高めます」
 パッケージによって、書かれている内容が異なる。こんなに脅されて、しかも、パッケージのデザインを台無しにされても、たばこを吸い続けるにはかなりの勇気と無神経さが要る。

 かつて、タバコのコマーシャルはいろいろなところにあふれていた。週刊『プレイボーイ』にたばこの宣伝はつきものだった。テレビのCMにももちろんあった。モータースポーツとタバコは切っても切れない縁があった。F1マシンならアラン・プロストが乗る、マルボロ・マクラーレン・ホンダ。アイルトン・セナが駆った、ジョン・プレイヤー・スペシャルカラーのロータスのマシン。郷愁をそそる。当時は興味がなかったが、自転車のレースのスポンサーにも、たばこ会社は名乗りを上げていたのではないだろうか。

 世間の趨勢(すうせい)からすれば、たばこはやめてしまうのがいいに決まっているが、そう簡単にはいかない。今のところ身体に異常もない喫煙も体調のバランスを保つ要素だと考えている。身勝手な言い分かもしれないが、人様の迷惑にならないように吸えばいい
 自転車愛好家は、未だに少数派。愛煙家は、今やすっかり少数派。少数派にばかり属しているのは心細い。それでも、高齢者は、堂々たる多数派だ。高齢者という多数派であることに安心を覚えながら、自転車乗りのたばこ喫(の)みという少数派に甘んじることにしたい。

私の愛飲する「ハイライト」
クラシックなパッケージが気に入っているが…
年々、脅し文句(?)が強調されて
デザインが台無しになってきた
嫌なら、たばこをやめればいいのだけれど…
デザイン性の高いマルボロのパッケージ
パッケージのデザインは、たばこの味に影響する??
アラン・プロストの乗ったF-1マシーン
マルボロ・マクラーレン・ホンダ(1989年)
マルボロカラーの自転車
ハイライトカラーも欲しいところだ
ジョン・プレイヤー・スペシャル・ロータス98Tを駆る
アイルトン・セナ(1986年)
JPSロータス91で疾走する
ナイジェル・マンセル(1982年)
ジョン・プレイヤー・スペシャルのパッケージ
どことなく、JPSカラーに近い私の愛車ラレー
ちょっとひいき目かもしれないが…
愛車マディ・フォックスも
JPSカラーを彷彿(ほうふつ)させる…
ひいき目が過ぎるか…
そこまで言わせてもらうなら
いつも乗っているクロスバイク(アンカーUC5)は
ハイライトカラーと言えなくもない??!
波の音を聞きながら吸うたばこがうまい!?


2020年6月20日土曜日

ものの順序


 長年ロードバイクに乗っている知人が、クロスバイクを購入すると言う。シャカリキになって走るのではなく、ゆっくり自転車を楽しみたいということらしい。寄る年波には勝てないというのも、密かな理由かもしれない。安価で気軽に乗れるものを探している。

 スポーツバイクの入門はクロスバイクから。すぐにロードバイクのいいものが欲しくなるので、初めからロードバイクを買っておくという手もある。というようなことを自転車に乗り始めたころに、誰かに聞いたか、本で読んだか、そんな覚えがある。
 私の場合は、クロスバイクに乗っている人から教わったので、最初はクロスバイクを手に入れた。確かに、1年もたたないうちにロードバイクに乗ってみたくなって、もう1台買うことになった。

 近頃の子どもたちは、キックバイクというペダルのない自転車で、2輪の乗り物に慣れて、バランスがとれるようになってから、本格的に自転車を始めるらしい。バランス感覚を会得しているので、すぐに自転車にも乗れるようになる。理に叶ったやり方である。

 趣味と運動も兼ねてスポーツバイクを始めるには、クロスバイクから始めるのがとっつきやすいだろうが、特に順序にこだわる必要はない。何から始めても、安全で楽しく、長続きのするやり方であればいいように思う。私の知人のように、ロードバイクからクロスバイクに乗り換えるのは、逆行のようにも思われるが、本人にすれば至って順当な選択なのだろう。

 順序などというものは、自分の尺度で決めればいい。とはいうものの、間違ってはいけない順序もあるにはある。
 例えば、これ。おたまじゃくしの手と足はどちらが先に出るか。突然訊かれても困るが、童謡を思い出せば答えが見つかる。
 「おたまじゃくしに 足が出て 
  手が出てきたら 尾がとれた  
  ぴょんぴょん かっかっかっ  
  ぴょんぴょん かっかっかっ」
まず、足が出て、次に手が出て、尾がとれる。これが正しい。ところが、
 「おたまじゃくしは 蛙の子 
  なまずの孫では ないわいな(ありません)
  それがなにより証拠には やがて手が出る足が出る」
 この歌を思い浮かべると、正解は得られない。科学的な根拠に基づく順序は、正しく覚えておかないと、後世に間違ったことを伝えることになりかねない。

 最近は「長幼の序」という順序もはなはだ怪しくなってきた。「長幼の序」ということば自体が、ほとんど死語である。大人と子どもの、または、年上と年下の順序や規律、礼儀。これには科学的な根拠はないし、古くさいことをいう気もないが、自転車選びの順序ほど気ままに考えるわけにはいかない。すべからく、年長者や高齢者を敬うべきだろう。片仮名で「リスペクト」するのではなく、きちんと「うやまい」たい。
 趣味の自転車選びは、順序など気にせず、勝手気ままに、お好きなように。ただし、世の中には、無視のできないものの順序や道理もあるにはある。


知人が購入を決めたクロスバイク
GIANT ESCAPE RX3(2019年モデル)
1年前のモデルが値打ちに買えた
我が家の最年少の孫のキックバイク
従兄のおさがり
二輪車の感覚を身に着けるには最適?
サイズはどんどん変わるので
姉から弟へ、弟から従弟へと
使い回しをしないと追っつかない
キックバイクで修行の身は、
おたまじゃくしでいえば、手も足も出ない段階?
あるいは、ようやく足が出たところか…?
         
補助輪付きの自転車と補助輪がとれたての自転車
サイズに合わせて買い替えていては、
祖父母のポケットがもたない
中学の通学用自転車まで何台も買うことになる…!!!?
(写真の自転車は伊坂ダムのレンタサイクル)
何やら、作戦会議の模様⁈
いつの間にか上達する子どもの力は凄い!!
ペダルを漕げるようになれば、足と手が出て、
尾がとれる直前までくらいは来ているか…。
今年も田んぼに水がかかった
田植えの季節
かえるの大合唱が始まる
写真の自転車は初めて買ったクロスバイク
ブリヂストン・アンカーUC5(2012年モデル)
2台目の愛車になったロードバイク
ラレー CRV Carlton-Vintage(2013年モデル)
自転車歴からいえば、足と手が出てきたころか…?
左の自転車は超ビンテージ!!! 年式不明 ブリヂストン製 
すっかり尾がとれていて貫禄がある
自転車はこれが最後、のつもりで手に入れた
ARAYA Muddy Fox MFB(2018年モデル)
ようやく、足も手も出て、尾がとれてきた感じである


2020年6月13日土曜日

ブレーキ?ブレーキ!


 自転車のブレーキの「あそび」(ブレーキレバーのゆとり)が大きぎるので、調整してみた。ブレーキでも、(自動車の場合は)ハンドルでも、「あそび」が大きいと、反応が鈍くなる。止まるのが遅れたり、かじ取りが不安定になったりする。「あそび」が小さいと敏感に反応し過ぎる。これも危険である。「あそび」とはよく言ったものだ。日々の生活や大切な仕事でも、遊び心がないと堅苦しい。遊びが過ぎると、不真面目の(そし)りを受けることになる。適度の「あそび」を保つのは難しい。私などは、毎日が遊びなので、困ったものである。遊んでばかりいて不真面目だと非難されないように、真面目に遊ぶことにする

 さて、ブレーキの調節。昔の自転車はリンクで吊ってブレーキをかける仕組みになっていた。微妙な調節は難しい。最近のものは、ワイヤーでブレーキシューを引いて、リムに押し付ける構造が多い。ワイヤーを使わずに油圧でブレーキをかける、しかも、ブレーキの構造はディスクブレーキというものまである。こうなると、自動車並みの装備である。

 多くの自転車はワイヤーでブレーキを引くので、「あそび」の調節はそれほど難しくない。調節用のねじを締めたり緩めたりすればよい。調節用のねじの範囲を超えたら、ワイヤーを張り直す。これは、多少面倒である。張り加減をみながらワイヤーをしっかりと固定する。両側のブレーキシューが均等にリムを挟むように調節する。要領が判るまでは繰り返しやってみるしかない。慣れれば難しい作業ではない。微調整を繰り返して、ワイヤーの張り具合は調節できた。単純な作業でもうまくいけば嬉しい。プロに任せるときはさておき、自分で整備をするときには、ボルトの締め具合など、しっかりと最終チェックをしておきたい。自己責任の具現化。素人の下手な整備は命取り。

 整備は完璧、ブレーキの効きは抜群。あとは、ブレーキの使い方。より軽く、より速く、そしてより遠くへ走ることについて、蘊蓄を傾ける向きは多い。ところが、ストッピングパワー、制動力についてはあまり語られない。実際に必要なのは、推進力より制動力。速く走る走り方より、早く止まる止まり方が大事。スピードが出るに越したことはないが、速く走れなくても危険はない。止まらないのは危ない。たちまち事故につながる。

 私のように実力のない者が遠くへ出かけると疲労困憊。帰り道では、ペダルを踏むのも嫌になる。止まった後の漕ぎだしを考えると、ついブレーキングをケチることになる。本当は、そんな時こそ、早めの正確なブレーキングを心がけるべきである。やみくもに前に進むのではなくて、大事なときこそ止まる。若いころには、生活の有り様でもノーブレーキで前に進むことを美徳のように思っていた。最近は、きちんと止まることの大切さもわかっているつもりではある。


愛車ラレーのブレーキレバー
「止まる」ことが何よりも大事!?!
前輪のブレーキシュー
こんな小さな部品が自転車を止める
きちんと整備しておきたい
愛車アンカーのブレーキレバー
形状は自転車によって違うが命綱であることは同じ
ハンドルのグリップはだいぶ年季が入ってきた
グリップの先はリアビューミラー
これも安全確保には必須アイテム
              
友人の愛車、コルナゴのクロスバイクのブレーキレバー
ハンドルのグリップはお好みのものに替えてある
操作性が向上し、遠出が楽になったらしい

同じくコルナゴ・エポカの後輪ブレーキ
ほとんどのブレーキと変速機はSHIMANO製
リアの反射板は点灯するものに変更してある
安全への配慮が行き届いている

愛車マディフォックスの前輪ブレーキ
油圧式のディスクブレーキ装備
坂道を下るには心強い味方!!

道なき道を下る!?
ブレーキがきかなくてはどうしようもない
急な下り坂でしかもブラインドのコーナーが続く
急カーブの向こうには何が待ち構えているか判らない
坂道を転げ落ちることのないように、
ブレーキの効きを確かめてから下るようにしたい
長くて急な勾配は「過ちすな、心して降りよ」
路面の「スピード」の文字の手前には
もちろん、「注意」の文字がある
       
急な坂道を無事に下り終えると
ひっそりとした誰も訪れないような池が
出迎えてくれたりする
ホッと一息、タバコがうまい!!



2020年6月6日土曜日

いなべステージ


 新型コロナウィルスの影響が大きい。収束の傾向も多少は期待できるとはいうものの、先行き不安は大きい。楽しみにしていたツアー・オブ・ジャパンも、今年は中止となった。中止が当然とはいえ、残念なことだ。
 
 ツアー・オブ・ジャパン、いなべステージは、今年6回目を迎えることになっていた。近場でロードレースの大きなイベントが観戦できる、願ってもない機会である。1回目こそ見逃したものの、その後は毎年楽しみにして観戦に出かけた。自分のペースで勝手に走っている自転車乗りにレースはピンとこないところもあるが、新緑の美しいコースを猛スピードで走り抜ける自転車を間近で見るのは楽しい。普段は見ることもできないような最先端のレーシングバイクを一流の選手が駆る姿は、胸がすくような爽快感がある。オートバイや車のレースと違って、コースのすぐ近くで観戦できるのも良い。選手の息遣いが聴こえてくる。公道を使って行うレースなので、運営する人たちのご苦労は相当なものだろうが、観る者にとっては迫力満点。存分に楽しめる。ツール・ド・フランスもかくやと思われる。
 
 公道を使うレースは、自転車では普通のことのようだが、モータースポーツではあまり例がない。思い当たるのは、F-1のモナコGPオートバイのマン島TTレースくらいである。25年も前に、我が家の娘が町の子ども議会というのに参加することになった。模擬的な町議会に小・中学生が参加するイベントである。町長や町議会議員も参加のもとで、子どもたちが自分の町を住みよくするための提言をするという。娘が、どんなアイディアがあるか考えていたので、イギリスのマン島TTレースのように公道をしめ切ってオートバイのレースを町内で開催することを提案してはどうかと進言した。そんな突飛なことは恥ずかしくて言えないと、娘に即座に却下された。提言は日の目を見なかった。
 
 当時、建設途中だった町営の陸上競技場前の直線道路は格好のピットロード。その手前にある我が家の前のカーブは、競り合いが観られる最終コーナー。マン島のオートバイレースの観戦シーンよろしく、椅子に座って自宅の庭でレースを楽しめるはずだった。
 ツアー・オブ・ジャパンのいなべステージを観戦するたびに思い出す。公道でオートバイレースを開催するという提言が、子ども議会で採択されていれば、今頃我が町は日本でも珍しいオートバイレースのメッカになっていたかもしれない。私の提案は、雲を掴むような話で実現はしなかったが、国際的なロードバイクレースが身近なところで開催され、それを自転車に乗って観に行けるようになった。毎年、嬉しい楽しみができた。コロナ禍がおさまって、レースが再開されることを心待ちにしている。


スタート前のパレードが阿下喜駅から始まる
三々五々、パレードに集まる選手たち
パレードの先導は三重県知事といなべ市長
この写真は2016年撮影のもの
スタートを待つ選手たち
背中に緊張が漂う
身近で見られるのが面白い
出発前の選手の表情
第1ステージの堺から始まり、いなべステージは3日目
毎日移動しながら8番目の東京ステージまで連戦
疲れをものともしない、余裕の表情

と、選手の逞しい脚
スタート直後の第1周回
まだ、選手がばらけず団子状態
猛烈なスピードで目の前を駆け抜ける
レースのスタート前に身近でポーズを取ってくれた選手が
集団の一番前を走っているのを発見
応援に思わず力が入る
チームのサポートカー
チームを支えるメンバーも国際色豊か
各チームをサポートする車も混走
バイクレースと同時にに車のレースを観戦している感じ
ドライバーのテクニックも選手に劣らず凄い
レースのオフィシャルカメラマンに見どころ教えてもらう
右から二人目が私
周回の合間はこうした楽しみもある