冬をむかえる

冬をむかえる
'25.1.22 山を見て走る

2020年6月20日土曜日

ものの順序


 長年ロードバイクに乗っている知人が、クロスバイクを購入すると言う。シャカリキになって走るのではなく、ゆっくり自転車を楽しみたいということらしい。寄る年波には勝てないというのも、密かな理由かもしれない。安価で気軽に乗れるものを探している。

 スポーツバイクの入門はクロスバイクから。すぐにロードバイクのいいものが欲しくなるので、初めからロードバイクを買っておくという手もある。というようなことを自転車に乗り始めたころに、誰かに聞いたか、本で読んだか、そんな覚えがある。
 私の場合は、クロスバイクに乗っている人から教わったので、最初はクロスバイクを手に入れた。確かに、1年もたたないうちにロードバイクに乗ってみたくなって、もう1台買うことになった。

 近頃の子どもたちは、キックバイクというペダルのない自転車で、2輪の乗り物に慣れて、バランスがとれるようになってから、本格的に自転車を始めるらしい。バランス感覚を会得しているので、すぐに自転車にも乗れるようになる。理に叶ったやり方である。

 趣味と運動も兼ねてスポーツバイクを始めるには、クロスバイクから始めるのがとっつきやすいだろうが、特に順序にこだわる必要はない。何から始めても、安全で楽しく、長続きのするやり方であればいいように思う。私の知人のように、ロードバイクからクロスバイクに乗り換えるのは、逆行のようにも思われるが、本人にすれば至って順当な選択なのだろう。

 順序などというものは、自分の尺度で決めればいい。とはいうものの、間違ってはいけない順序もあるにはある。
 例えば、これ。おたまじゃくしの手と足はどちらが先に出るか。突然訊かれても困るが、童謡を思い出せば答えが見つかる。
 「おたまじゃくしに 足が出て 
  手が出てきたら 尾がとれた  
  ぴょんぴょん かっかっかっ  
  ぴょんぴょん かっかっかっ」
まず、足が出て、次に手が出て、尾がとれる。これが正しい。ところが、
 「おたまじゃくしは 蛙の子 
  なまずの孫では ないわいな(ありません)
  それがなにより証拠には やがて手が出る足が出る」
 この歌を思い浮かべると、正解は得られない。科学的な根拠に基づく順序は、正しく覚えておかないと、後世に間違ったことを伝えることになりかねない。

 最近は「長幼の序」という順序もはなはだ怪しくなってきた。「長幼の序」ということば自体が、ほとんど死語である。大人と子どもの、または、年上と年下の順序や規律、礼儀。これには科学的な根拠はないし、古くさいことをいう気もないが、自転車選びの順序ほど気ままに考えるわけにはいかない。すべからく、年長者や高齢者を敬うべきだろう。片仮名で「リスペクト」するのではなく、きちんと「うやまい」たい。
 趣味の自転車選びは、順序など気にせず、勝手気ままに、お好きなように。ただし、世の中には、無視のできないものの順序や道理もあるにはある。


知人が購入を決めたクロスバイク
GIANT ESCAPE RX3(2019年モデル)
1年前のモデルが値打ちに買えた
我が家の最年少の孫のキックバイク
従兄のおさがり
二輪車の感覚を身に着けるには最適?
サイズはどんどん変わるので
姉から弟へ、弟から従弟へと
使い回しをしないと追っつかない
キックバイクで修行の身は、
おたまじゃくしでいえば、手も足も出ない段階?
あるいは、ようやく足が出たところか…?
         
補助輪付きの自転車と補助輪がとれたての自転車
サイズに合わせて買い替えていては、
祖父母のポケットがもたない
中学の通学用自転車まで何台も買うことになる…!!!?
(写真の自転車は伊坂ダムのレンタサイクル)
何やら、作戦会議の模様⁈
いつの間にか上達する子どもの力は凄い!!
ペダルを漕げるようになれば、足と手が出て、
尾がとれる直前までくらいは来ているか…。
今年も田んぼに水がかかった
田植えの季節
かえるの大合唱が始まる
写真の自転車は初めて買ったクロスバイク
ブリヂストン・アンカーUC5(2012年モデル)
2台目の愛車になったロードバイク
ラレー CRV Carlton-Vintage(2013年モデル)
自転車歴からいえば、足と手が出てきたころか…?
左の自転車は超ビンテージ!!! 年式不明 ブリヂストン製 
すっかり尾がとれていて貫禄がある
自転車はこれが最後、のつもりで手に入れた
ARAYA Muddy Fox MFB(2018年モデル)
ようやく、足も手も出て、尾がとれてきた感じである


2 件のコメント:

  1.  今回はこれまで以上に面白い!というか教養のなかに人間味あふれる楽しいお話でした。週刊誌のつまらないエッセイより格段にいいです。
     おたまじゃくしの成長が、いつのまにか自転車へとつながっている。
     恥ずかしながら「長幼の序」という言葉を初めて知りました。子どもは大人を敬い、大人は子どもを慈しむという在り方。
     今回のタイトル『ものの順序』は、MARIOさんの人生観が読み取れて
    より身近に感じることができます。
     いつまでも子ども時代の無邪気さや冒険心を忘れず、日々を送りたいです。

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  2.  共感してもらえる人があって、とても嬉しいです。
     教養も人間味も未完成のままですが、いつも丁寧に読んでいただき、ありがとうございます。
     日々のことどもを軽妙に書けるといいと思っています。頑張りすぎたり、お節介なことを書いたりして、年寄りの冷水と言われないように心します。
     無邪気に、冒険心をもって、梅雨にもめげず、自転車で出かけることにしましょう。

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