長年ロードバイクに乗っている知人が、クロスバイクを購入すると言う。シャカリキになって走るのではなく、ゆっくり自転車を楽しみたいということらしい。寄る年波には勝てないというのも、密かな理由かもしれない。安価で気軽に乗れるものを探している。
スポーツバイクの入門はクロスバイクから。すぐにロードバイクのいいものが欲しくなるので、初めからロードバイクを買っておくという手もある。というようなことを自転車に乗り始めたころに、誰かに聞いたか、本で読んだか、そんな覚えがある。
私の場合は、クロスバイクに乗っている人から教わったので、最初はクロスバイクを手に入れた。確かに、1年もたたないうちにロードバイクに乗ってみたくなって、もう1台買うことになった。
近頃の子どもたちは、キックバイクというペダルのない自転車で、2輪の乗り物に慣れて、バランスがとれるようになってから、本格的に自転車を始めるらしい。バランス感覚を会得しているので、すぐに自転車にも乗れるようになる。理に叶ったやり方である。
趣味と運動も兼ねてスポーツバイクを始めるには、クロスバイクから始めるのがとっつきやすいだろうが、特に順序にこだわる必要はない。何から始めても、安全で楽しく、長続きのするやり方であればいいように思う。私の知人のように、ロードバイクからクロスバイクに乗り換えるのは、逆行のようにも思われるが、本人にすれば至って順当な選択なのだろう。
順序などというものは、自分の尺度で決めればいい。とはいうものの、間違ってはいけない順序もあるにはある。
例えば、これ。おたまじゃくしの手と足はどちらが先に出るか。突然訊かれても困るが、童謡を思い出せば答えが見つかる。
例えば、これ。おたまじゃくしの手と足はどちらが先に出るか。突然訊かれても困るが、童謡を思い出せば答えが見つかる。
「おたまじゃくしに 足が出て
手が出てきたら 尾がとれた
ぴょんぴょん かっかっかっ
ぴょんぴょん かっかっかっ」
まず、足が出て、次に手が出て、尾がとれる。これが正しい。ところが、
「おたまじゃくしは 蛙の子
なまずの孫では ないわいな(ありません)
それがなにより証拠には やがて手が出る足が出る」
この歌を思い浮かべると、正解は得られない。科学的な根拠に基づく順序は、正しく覚えておかないと、後世に間違ったことを伝えることになりかねない。
最近は「長幼の序」という順序もはなはだ怪しくなってきた。「長幼の序」ということば自体が、ほとんど死語である。大人と子どもの、または、年上と年下の順序や規律、礼儀。これには科学的な根拠はないし、古くさいことをいう気もないが、自転車選びの順序ほど気ままに考えるわけにはいかない。すべからく、年長者や高齢者を敬うべきだろう。片仮名で「リスペクト」するのではなく、きちんと「うやまい」たい。
趣味の自転車選びは、順序など気にせず、勝手気ままに、お好きなように。ただし、世の中には、無視のできないものの順序や道理もあるにはある。
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知人が購入を決めたクロスバイク
GIANT ESCAPE RX3(2019年モデル)
1年前のモデルが値打ちに買えた
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我が家の最年少の孫のキックバイク
従兄のおさがり
二輪車の感覚を身に着けるには最適?
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サイズはどんどん変わるので
姉から弟へ、弟から従弟へと
使い回しをしないと追っつかない
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キックバイクで修行の身は、
おたまじゃくしでいえば、手も足も出ない段階?
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あるいは、ようやく足が出たところか…? |
補助輪付きの自転車と補助輪がとれたての自転車
サイズに合わせて買い替えていては、
祖父母のポケットがもたない
中学の通学用自転車まで何台も買うことになる…!!!?
(写真の自転車は伊坂ダムのレンタサイクル)
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何やら、作戦会議の模様⁈
いつの間にか上達する子どもの力は凄い!!
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ペダルを漕げるようになれば、足と手が出て、
尾がとれる直前までくらいは来ているか…。
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今年も田んぼに水がかかった
田植えの季節
かえるの大合唱が始まる
写真の自転車は初めて買ったクロスバイク
ブリヂストン・アンカーUC5(2012年モデル)
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2台目の愛車になったロードバイク
ラレー CRV Carlton-Vintage(2013年モデル)
自転車歴からいえば、足と手が出てきたころか…?
左の自転車は超ビンテージ!!! 年式不明 ブリヂストン製
すっかり尾がとれていて貫禄がある
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自転車はこれが最後、のつもりで手に入れた
ARAYA Muddy Fox MFB(2018年モデル)
ようやく、足も手も出て、尾がとれてきた感じである
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今回はこれまで以上に面白い!というか教養のなかに人間味あふれる楽しいお話でした。週刊誌のつまらないエッセイより格段にいいです。
返信削除おたまじゃくしの成長が、いつのまにか自転車へとつながっている。
恥ずかしながら「長幼の序」という言葉を初めて知りました。子どもは大人を敬い、大人は子どもを慈しむという在り方。
今回のタイトル『ものの順序』は、MARIOさんの人生観が読み取れて
より身近に感じることができます。
いつまでも子ども時代の無邪気さや冒険心を忘れず、日々を送りたいです。
共感してもらえる人があって、とても嬉しいです。
返信削除教養も人間味も未完成のままですが、いつも丁寧に読んでいただき、ありがとうございます。
日々のことどもを軽妙に書けるといいと思っています。頑張りすぎたり、お節介なことを書いたりして、年寄りの冷水と言われないように心します。
無邪気に、冒険心をもって、梅雨にもめげず、自転車で出かけることにしましょう。