'25.10.3 一本の柿の木

2021年9月4日土曜日

自転車の趣味

 「趣味の自転車」については書いた。これは、NHK「趣味の園芸」や文化センターの講座などにある「趣味の陶芸」などと同じである。どんな自転車を選び、どこをどう走り、どうやって自転車を楽しむかということである。                     

ならば「自転車の趣味」とは何か。自転車に魅せられ、自転車を趣味にして、さらに深みにはまっていく。好みの形や色、走り方に合わせて自転車を選び、多少の改造もする。ここで「自転車の趣味」が問われる。思わず乗ってみたくなるような自転車もあれば、乗るのをはばかられるようなものもある。

好みは主観によるところが大きいが、自転車そのものの味わいや醸し出す雰囲気、はたまた乗り手との相性が「自転車の趣味」の良し悪しを決めているような気がする。

先日、走行途中に休憩をしていて見かけた自転車は、ロードバイクらしくない極太のタイヤが装着されていて、多少の不整地なら平気で走れそうだった。他にこれといった特徴はないが落ち着いたフォームである。乗り手は自分と同年輩と見受けられる。どちらからともなく挨拶をかわし、ちょっとした自転車談義が始まる。

「シクロクロスですか」と尋ねると、「いやぁ~、よく判らないです。一人でゆっくり遠くまで走れるように、年寄り向けに(自転車を)組み直してもらいました」との返事。特に自転車の特徴や性能を誇示することもなく、淡々とした調子。乗り手も自転車も静かな(たたず)まい心底ロングライドでい様子がうがえる。こういう乗り方もいいなぁと思った。自転車趣味がいいであ

 同じ日、追い抜きざまに声をかけてくるライダーがあった。サングラスとマスクで顔が見えず年齢は不詳。ぞんざいな口の利き方からすると、こちらの方が若輩と見られたか。「ラレーのクロモリ、いいなぁ」とまずはこちらの自転車を褒めてくれた。

 その後は、自分もラレーの自転車を持っていること、今乗っているのはカーボンフレームで、高価なものを値打ちに買ったこと、イタリア製のフォンドリエステという高級車も持っていて、それは気軽には乗れないこと、などなど。並走しながら自慢話を延々と聞かされることになった。つい「フォンドリエステなら私の友だちも乗っている」とやり返しておいた。

 その人の自転車は、本人が自慢するだけに立派で速そうだったが、自分には同じような自転車で同じような走り方は出来そうにない。

 自転車や部品に高額を費やし、性能を競うわけではないので、有名なブランド名や高性能の部品のことをいわれても、判らないことが多い。よく手入れされていて、走ることが楽しそうな自転車には、素人目にもいい趣味が伝わる。

 「自転車の趣味」を見ると、乗り手の嗜好が反映していて、人となりまでうかがえる気がする。高性能ばかりを主張している自転車よりも、趣のある自転車とそれを楽しんでいる人には()れるがあ


趣味のベクトルは千差万別
強いることなく強いられることもなく

趣味はそもそも独りよがりだ
誇示せず吹聴せず
自分の決めた方に行く

いつもの走行会には
思い思いの愛車で
それぞれの愛着をもって

ご近所の人たちと遠出
それぞれに趣のある自転車で
較べず競わずゆっくりと

趣のある背景を壊さない程度には
趣味の良い自転車だといいのだが…

そのときその場から
浮いてしまわない
自転車と私だといいのだが…


2 件のコメント:

  1.  私は友だちに勧められるままその気になって、いつの間にか3台の自転車を所有しています。とはいえ、そんなにたくさん乗っているわけではなく、思いついたときに走る程度。
    本来の自転車の魅力にふれるところまでは至っていないのが現状です。
     ときどき車庫にある自転車を磨いてはじっくり眺めてみると、色合い然り雰囲気然り、一貫性が感じられません。結局、オーナーのポリシーが存在しないからでしょうね。
     それに対してMARIOさんの3台は、自転車への愛が伝わってくるし、浮ついた気持ちのないどっしりとした重厚感、人間性が感じとれます。
     結局、趣味のよい自転車とは、乗り手次第で決まるということですね。
    自分は修業が足りない。『日々是勉強』、痛感しました。

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  2. 私の場合も、わかったようなことを言っている割に、実際の自転車を見てもらえば、それほど大したものではないと思われるでしょう。あくまでも趣味、自分の好きなものに、好きなようにかかわればいいのではないでしょうか。

     べーえんべーさんも、自転車を選ばれるときには吟味をしておいででしょうから、何らかのポリーシーが反映しているだろうと思います。時間をかけて乗っているうちに、きっと乗り手の嗜好が反映されてきます。

     趣味の世界では、我儘に、自分の思い通りのやり方をすればいいと思っています。自転車にはじっくり乗って、必要なものはつけたし、不要なものは取り除いていけば、乗り手にピッタリの1台になっていくだろうと思います。

     私も、さらに歳をとっても続けられる自転車の乗り方と、それにあった自転車づくりをもっと勉強したいと思います。とはいえ、まぁ、頑張り過ぎないように、ほぼほぼのところで…。

     

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