冬をむかえる

冬をむかえる
'20.12.22 愛知県海部郡飛島村梅之郷 日光川排水機場付近にて撮影

2024年3月16日土曜日

イメージライド

  F1ドライバーのアイルトン・セナが、コクピットの中で瞑想にふけっているシーンを思い出す。じっと目を閉じて、レースの会場になるサーキットのコーナーや直線を思い描く。どのコーナーのどこでブレーキをかけて侵入し、どこで加速して抜け出すか。コーナーを抜けるライン取りも確認する。直線で前に車がいたらどう追い抜くか。レースのすべての場面のイメージをあらかじめ作り上げる。実際の走りをそれに重ねる。

 稀代の名ドライバー、アイルトン・セナとは較ぶべくもないが、自転車で走るときには、その日のコースをイメージする。遠出のときには行程を想定するのが難しい。あらかじめコースをきちんと決めるわけではない。どの方面に出かけるか思い描いてみる。坂の多いコースか、風向きはどうか。帰路で向かい風になるコースはできるだけ選ばない。選んだときには、帰りの厳しさをイメージし覚悟しておく。あまりにもきつそうならコースを変更する。

 近場の走り慣れた道でも出かける前には考える。クロスバイクでならどう走るか。ロードバイクではどんな走りになるか。一緒に走る人がいるときには、相手や仲間のことも考える。自分が引っ張る方か、引っ張られることになるか。イメージライドといえばいいのだろうか。あらかじめ走りのイメージを作っておけば、身体や自転車に無理な負荷をかけることがない。不安は減り、不慮の出来事を避けられる。 

 自転車の整備をするときにも、取り掛かる前に行程をイメージする。自分でやり始めて、最後までやり遂げられるか。自分の技量でも確実にこなせるか。不安なときにはYouTubeの動画や部品メーカの作業マニュアルなどで確認して、自分が作業している情景に重ねる。転ばぬ先の杖代わり。走り出す前のイメージライド。整備の前のイメージ作業。イメージが正確であればあるほど、不慮の出来事や失敗は減る、はずである。


心象風景の中で
歯車がまわりだす

チェーンの上を
力が渡っていく

変速機のバネが
伸縮を繰り返し
速度を上げる

今日はどの道を行くか

今日はだれと行くか

いくつものイメージが
重なりあいながら
今日はここまで来た
千草不動尊


2 件のコメント:

べーえんべー さんのコメント...

 私が30代の頃、日本でもF1人気が沸騰し始め、テレビの地上波でかなりの視聴率をとっていたと思います。ご多分に漏れず、私も友達と鈴鹿サーキットへもよく出かけ、F2、8耐、ロードGP、モトクロス観戦を年間を通して楽しんでいました。

アイルトン・セナとアラン・プロストの鬼気迫るバトルは、視聴者を釘付けにしたものです。つい先日、NHKで「あの人に会いたい」という番組で高橋国光さんをやっていて、2輪の草レースで本田宗一郎さんの目にとまったのが、プロレーサーになるきっかけになったそうです。

 私は、日々の仕事をするときに、自分なりに計画を立てます。完了までの作業イメージをつくっておいてから取りかかります。理由は、無駄なくスムーズに進めるためですが、本音は早く済ませてゆっくり休憩したいからです(笑)。
 
 前回のブログ「無駄は省けない』で感じていて書けなかったのは、無駄はムダではなく懐の深さではないかと思っていました。バイクのクラッチレバーに遊びがなかったら、とても危険なように、あらゆる場面でも鷹揚さのような余裕がほしいですね。

 それにしても、MARIOさんのイメージライドは素晴らしいです。これなら、一人で走ってもグループで走っても、安心・安全で快適に走れるはずです。
 私はこだわるところはけっこう神経質になりますが、苦手な部分での粘り強さがなく、すぐに諦めてしまいます。MARIOさんを見習うことが、多い毎日です。

MARIO BIKE さんのコメント...

 べーえんべーさんとは同じような年齢ということもあって、共通項が多いですね。

 私も鈴鹿サーキットへレース観戦によく出かけました。当時はモータースポーツには興味がありましたが、自転車については、面白い世界のあることを知りませんでした。若いころに自転車に出会っていれば、もっといろいろな楽しみ方があったかもしれません。出会いが遅かったのが残念ですが、今できる楽しみ方で楽しもうと思います。

 共通項が多いので、コメントで話題を広げていただけてありがたいです。「そうそう、そういうことがいいたかったのです」と、コメントをいただいて思うことが多いです。

 完璧にとはいきませんが、イメージをうまく描けたときは本番でもそれなりにこなせるような気がします。ただし、イメージ通りの展開にならないことも多いので、油断は禁物ですね。