仕事柄たくさんの人の前で話す機会が多かった。中学校の校長をしていたころには、学校の儀式的行事、卒業式や入学式などをはじめ、全校集会でも話をした。
人の前で話すときは、必ず原稿を書いた。話し言葉で原稿をつくっておけば、途中で話題がそれても原稿にもどればいい。何を言っているのかわからないという混乱は避けられる。短く話言葉で書く原稿にも、起承転結とか序破急という、文章の構成には気をつけた。
序破急は、もともとは雅楽の曲の構成である。「序」はゆっくりとスタートしていくパート、「破」は静けさを破り拍子が加わる。最後の「急」は、クライマックスに向けてテンポを上げて締めくくる。起承転結でいえば、「起」と「承」が「序」、「転」が「破」、そして「結」が「急」にあたる。形式にこだわりすぎると面白味がないが、自分の言いたいことだけを思いつきで並べても、聴き手や読み手を困らせるだけである。
自転車に乗る時にも起承転結がある。自転車で家を出る。今日はどこへ行こうか。コースを決めていないことが多い。走りながら風の向きや雲の様子を見て走る方角を決める。あらかじめコースを決めてあるときも、自転車と身体、双方の調子を確かめながら走り始める。徐々に体が温まり、その日のペースが決まる。「起・承」であり、「序」である。
途中、思いがけない急坂に苦しむ。知らない場所に迷い込む。突然開ける素晴らしい景色に息を呑む。写真におさめたりする。小休止の場所を決める。思わぬ人に出会ったりする。これは「転」、「破」。
帰り道を急ぐ。または、ゆっくりとその日の楽しみをサドルの上で反芻する。無事に家に着けば、簡単に自転車の点検くらいはしておく。「結」であり「急」ともいえる。
形にこだわりすぎることはないが、形に当てはめると判りやすいことや整理のつくことも多い。ただし、この文章が形に適っているかというと、なははだ怪しい。
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| 新しい年を迎えてめでたい |
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| 新しい年を走り始める |
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| 山の声を聞いて |
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| 道に誘われて |
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見慣れた場所にも 新しい景色を見る |
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季節のなかの 1日のなかの 自転車の上の 起承転結 |







































