冬をむかえる

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'25.1.22 山を見て走る

2021年3月27日土曜日

発見「梅戸城」跡

  そこは家からわずか5㎞程の所にあった。自転車で15分も走れば、登城する道の入り口に至る。近くに住む人なら誰でも知っているのだろうが、自分にとっては新発見。梅戸城跡に辿り着いた。

 これまでにも、城山の下を何度か通ったことがある。「門前地区 森林浴健康ウォーキングコース 新坂~光蓮寺山公園~南坂」という看板を見たことがある。道の奥が気になっていたが、遊歩道だろうと思って、自転車で走るのを躊躇っていた。もっとも、クロスバイクやロードバイクでは走れそうにない。

 先日、マウンテンバイクで通りかかって、自転車でも走れるか試してみたくなった。幸い人影は見当たらない。ウォーキングコースの看板は民家のすぐ脇に立てられていて、自転車で乗り込むのは、ちょっと気が引けるが、昼日中に歩く人もなさそうだ。

 走り始めてしばらくは、アスファルトの道が竹やぶの間を続く。突然、舗装は途切れ、急な坂道にさしかかる。竹藪が崩れているので、土嚢を積んだり、ブルーシートで斜面を覆ったりしてある。大がかりな整備ではなく、素人工事で補修が重ねられているのがうかがえる。整備はされているが、荒れてもいる。

 さらに登ると、狭い道に階段状に土嚢が積まれている。白い土嚢袋は、雪が積もっているようにも見える。土嚢をまたぎながら登らなければならない。マウンテンバイクなので、多少無理をして、低いギアを使って乗り越える。土嚢の段差が大きくなって、次第に登るのが難しくなる。

 一番軽いギアを使って、力まかせに段差を越えようとしたら、前輪が浮き上がってウィーリー状態になった。転倒をさけて、ゆっくりとバイクを倒す。とはいえ(てい)のいい転倒である。誰もいない森閑とした道ではあるが、周りを見回す。転倒したり、何かへまをしたりすると、誰も見ていなかったか、つい周囲を確認いたら、それらしい言い訳が必要である。一度止まると静止した状態からはとても漕ぎ出せない。バイクはずるずると後退する。やむなく、急斜面だけはバイクを押して登ることになる。

 やがて、というほどの長い道のりでもないが、前方に視界が開ける。何十本も梅の木を植えた畑が広がり、遠くの山並みが臨める。やや奥まったところに、「梅戸城跡 光蓮寺山公園」という石碑がひっそりと建てられていて、ここが城跡だと判る。城の礎石と土塁らしいものが残されている。

 公園とはいえ遊具などは見当たらず、手作りのブランコが高い樹の下で、空からつるされたように揺れていた。城が城として生きていたころから変わらない光と風の中で、誰も乗らないブランコが揺れつづけている。そこだけ切り開かれた空が、雑木の間から中世と同じ明るさでのぞいている。背景を選んで自転車を立てかけカメラを構えていると、いつの間にか一匹の猿が後ろに来ていて、興味深げに同じ方向を見つめていた。

    梅戸城は田光城主・梅戸高実によって築かれたと伝わる。伊勢(桑名)から近江(八幡)に通じる八風街道一帯を支配した梅戸氏は、通行税を徴収するためにこの城を築いた。1568年(永禄11年)の織田信長による北伊勢侵攻で滅亡、廃城になった。

民家のそばにある案内板
自転車で入ってもいいのかどうか…

折れた竹が行く手を阻む
前方にはかなり手ごわそうな道がつづく

次第にきつくなる坂道
次第にわくわくして来る

坂を登り終えると
突然あたりが開ける

訪れる人もなく
ひっそりと静まりかえる城跡
城主の気分を味わう

天空から吊られたブランコ
城があったときと同じ風に揺れている

ブランコの上で揺れる自転車
木漏れ日がふりそそぐ

城主 梅戸高実の墓所 光蓮禅寺
城山を降りてホッと一息つく






2 件のコメント:

  1.  梅戸城というのは初めて知りました。いなべには金井城址、田辺城址があるのは知っていましたが、大安にもあったのですね。

     光蓮禅寺は時々自転車で通過していましたが、梅戸高実の墓所とは気づかず
    スルー。そういえば一度だけトイレをお借りしました。庭がとてもきれいで、よく管理されたお寺だなという印象でしたが、由緒あるお寺なのですね。

     MARIOさんは、そこからMTBで梅戸城跡の公園まで一気に駆け上ったのですか。写真で見る限り、ほとんど人が踏み入れていない獣道状態。スリルとサスペンスというと大袈裟ですが、また子どもの頃に帰ったのではないですか。

     8枚の写真が、ストーリーをわかりやすく描写しています。
    思わず次回のブログは何だろうと、期待が膨らんでしまいます。

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    1.  MTBで遊ぶには格好の道でした。おっしゃるように子どものころのわくわくする気持ちが蘇ります。
       
       身近なところに思わぬ発見があって、世の中にはまだまだ面白いことが
      いっぱいあるようです。遠くへ出掛けなくても、それほどお金をかけなくても、気持ち次第で喜びを感じたり楽しんだりできるようです。


       
       

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