'25.10.3 一本の柿の木

2021年11月27日土曜日

ブログのご縁

  少し前にデジャヴについてブログに書いた。池から現れた巨大な乙姫さまの写真を添えた。この写真のことで、ブログを読んでくれた知人からメールがあった。どこで撮影したものかという問い合わせだった。

地図に撮影場所を書き込んで返信した。岐阜県安八郡輪之内町海松新田の「乙姫公園」。京都の伏見稲荷、愛知の豊川稲荷と並び、日本の三大稲荷といわれ「おちょぼさん」として知られるお千代保稲荷の近くにある。

昔、魚獲りが達者な若者が、寄りつかないように言われていた川へ投網をした。すると不思議な力で川の中に引き込まれ、そこで、美しい女性に「ここへ来てはいけない」と咎められたという輪之内町に伝わる「大榑川の竜宮」伝説をもとに作られた公園らしい。

写真の撮影場所を知りたいというメールにはその理由が書かれていた。

「高校時代、悪友と大晦日の夜、年越し詣りにおちょぼさんに行こう、となり、バイクで二人乗り、厳冬のなか揖斐川を北上。二人ともおちょぼさんの場所をしっかり把握できていない。遠くに車の明かりが見え始めた。そちらを目指してバイクはフラフラ走る。迷いながらすったもんだしていると、突然暗闇のなか池が現れる。通り抜けようとして浮かんだシルエットは大きな像。ギャーっ、とふたりは声も出せずにアクセルをふかす。そのあと、おそらくおちょぼさんに参らずに帰路のついた記憶。あれから50年。おちょぼさんに行くたびに、あの池の像はどこにあるのか、はたまたデジャヴかと気に留めて探したりしていました」

年越しに見た得体の知れない池の中の巨像が脳裏に焼き付いて、実際に見たものなのか幻想なのか、長い間メールの主を悩ませていたものらしい。偶然見たブログの写真がその時の像と重なったというわけだ。後日、追伸届いた自転車で乙姫公園を訪れて、50年も前に見た深夜の不思議な光景を、確認できたとのことであった。長年の謎がやっと解けたことに感動しきりという内容だった。

 自転車に乗っていると珍しい光景を目にし、いろいろな人に巡り合う。縁は異なもの味なものというのは男女の縁ばかりではなさそうだ。自転車のことをブログにしていると、ここでも思わぬ発見があったり、出会いがあったり、これも何かのご縁に違いない。

 先週は、膝に痛みがあったので、平坦な道をプラプラと走った。四日市市寺方町というところで、お堂の屋根が目に留まった。高角山大日寺。せまい境内には、しあわせ菩薩さんと幸福地蔵さんが並んで安置されている。門前には身代わり如来さんも鎮座ましまして、いかにも幸せになれそうな空間だ。本尊の一丈六尺の大日如来坐像は拝めなかったが、お寺を辞すると心なしか膝の痛みが和らいでいた。真夜中の乙姫さまとの強烈な出会いほどではないが、これもご縁。

ここはどこかと尋ねられた
昼間に行っても不思議な感じのする場所だ

50年ぶりに再会したと写真が送られてきた
厳寒の深夜、突然乙姫さまが現れたら
肝をつぶすに違いないない
「ここへ来てはいけない」

お千代保稲荷の鳥居が
ヘッドライトに浮かび上がるはずだった

ふとしたご縁で
しあわせ菩薩さんと
幸福地蔵さんに出会う

身代り菩薩さんとも
お会いできた

ご縁を運べるように
自転車に荷台を取り付た


2 件のコメント:

  1.  このブログの1枚の写真から何十年前の朧げな記憶が蘇り、読者がそこを尋ねていく。
     こんなドラマティックな出来事があるとは、まさに劇的というほかありません。
    その人が長年抱いていたぼんやりとして疑問が解けたときの満足感・解放感は、察するに余りあります。

     しかし、大晦日の真夜中、池の中に現れた像のシルエットには度肝を抜かれたでしょうね。
    この写真を見る限り、昼間でも一人だと怖い気もするし、澱んだ緑の池に吸い込まれていきそうです。

     怖いもの見たさの人間の心理、そのうち私も乙姫公園へ行ってみたいと思います。

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  2.  私も若いころには深夜にオートバイを乗り回していて、案山子の代わりに置かれたマネキンや木の枝に引っかかった凧を見て、幽霊かと死ぬほど驚いたことが何度もあるので、メールをもらったときには、さもありなんと思いました。
     実際に、一番ぎょっとしたのは、夜光塗料を塗ったおまわりさんの人形でしたけど…。

     偶然とはいえ、長年の謎解きのお手伝いができて、ブログにはそういう効用もあるのかと自分でも感心している次第です。

     べーえんべーさんも、ぜひ一度「乙姫公園」をお訪ねください。池の中の乙姫さまの巨像の正面には、巨大な亀にまたがる浦島太郎、他にも10m近くありそうな鶴の像や数頭の白馬、灯篭に絡みつく竜の彫り物などもあり、ちょっと変わった雰囲気のところです。

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