年末には、走行会仲間四人で、クリスマスライドと称して遠出をする。昨年末は、一人が体調不良で欠席という残念なことになった。全員揃わないので、趣向を変えて、マウンテンバイクで山登りをすることにした。
目的地を探す。養老山地は岐阜県と三重県の境に幅10㎞、延長25㎞の長さで連なる。中央部にある二之瀬越えの鞍部から南は多度山系と呼ばれ、最南端が多度山、標高403m。いつも家の窓から見ている山である。山頂までの道はよく整備されていて、車や自転車で登ることもできる。これまでにも何度か登ったことがあるので新鮮味に欠ける。
国土地理院の地形図で、多度山から北に稜線を辿ると恋姫山がある。岐阜県側から送電線が山を越えていて、それを支える鉄塔が並んでいる辺りだ。林道を辿れば、山の上の鉄塔まで行けそうだ。目的の恋姫山は標高694m。
当日は、朝8時半に北勢線大泉駅に併設される農産物直売店「うりぼう」に集合する。員弁町市之原のトヨタ車体工場の裏手まで走り、そこから林道を登り始める。マウンテンバイクで山登りをするには絶好の時期である。冷たい北風が吹いても、山の中は風があたらない。急な坂を登りつづけるので、汗ばむほどに身体は温まる。夏場なら、蛭、蚊、足元にはマムシという三処攻めにあうが、この時期、その心配もない。
マウンテンバイクを手に入れて間がないメンバーもいるので、軽いギヤを使って、歩くような速さでゆっくりと登る。それでも勾配の急なところでは息が上がる。100m登った、さらに200m登った、と高度計を見ながら登りつづける。実際にペダルを踏んでいる時間よりも休憩の時間の方が長いくらいだ。まだかまだかと言いながら、稜線と思しきところまで辿り着く。送電線のメンテナンスにでも使うのか、稜線にはよく整備された道が続いていて快適だ。
しばらく稜線を行くと、恋姫山の三角点の印が立てられていて、地図の通りであれば694mを登り切った。恋姫山から奥に向けて樽沢池、田代池の道標がある。この先はほとんど獣道だ。途中まで進むが、倒木や土砂崩れで道が塞がれている。先へ進むのは危険と見て引き返した。
今日のところは、恋姫という心ときめく名前の山の頂で、おいしい握り飯を頬張るだけで充分ということにしておこう。自転車のじいちゃんが、よくぞここまで来たものだ。三人並んで食べる山の弁当は楽しい。山頂からの眺望もおいしさを添えてくれる。
自分の脚を使う山登りとの決定的な違いは、下山である。バイクはサドルに座ったままで下界にもどって来られる。バランスを保つためにペダルの上に立っていることも多いが、登りに較べればこんな楽なことはない。坂道を下る面白さに夢中で、景色を楽しむ暇もない。2時間もかけて登った道を、30分足らずでいとも簡単に下りきった。
登りはじめる ここからは ただ一つの道を行くと決める |
少し登る 振り返りたくなる |
疲れたら休む 眺めを楽しむ |
疲れが癒えたら登ればいいし 疲れすぎたら引き返せばいい |
恋姫山を指すこの道しるべは いつから待っていてくれたのか |
毅然とした矢印は 嘘くさい気もするが その先に行きたくもなる |
憧れていたところまで辿りついて いつもの居場所を確かめている |
参考資料 国土地理院地形図より |
冬に自転車を乗り回す人は、真の愛好家しかいません。
返信削除北西の季節風にさらされながら、凛とした姿でペダルを漕ぐ。
我が自家用車ですれ違うチャリダーたちは、まっすぐに前を見据えて目的地を目指す。とてもカッコいい絵姿です。
クリスマスライドで多度山系、恋姫山を登ったMARIOさん一行。山の中は無風状態で、自転車乗りにとっては絶好の条件なんですね。これには驚きでした。休憩ごとに振り返る景色の絶妙さ。
山頂でのおにぎりと四方山話。年配ライダーにとっては、格別の癒しになったことでしょう。
年も明けて、日ごとに夜明けが早くなり、日没がゆっくりと。
MARIOさんにとって、待ちに待った季節が開けてきました。
今年はどんな自転車旅、物語が綴られていくのか楽しみにしています。
くれぐれも無理はなさらず、マイペースで歩んでください。
今回の自転車登山(?)の写真の人物は、走行会仲間の後姿を撮って、掲載させてもらったものです。
返信削除個人的にメールで、「みなさんの後姿は、70歳のじいちゃんには見えない」とか、「元気とやる気がすごい」とか、それでも「あまり無理をしないように」とか励ましやいたわりのお言葉をいただきました。
直接コメントしてもらえると、ブログがにぎやかになって嬉しいですけど、メールででもご感想など寄せてもらえるのはありがたいかぎりです。
走行会の仲間はともかく、私自身は、なかなか颯爽と、というわけにはいきません。凛として、というような格好のいいものでもないです。ただ、無理のないところで乗れるくらいの無理はしたいと思います。
山登りもしたり、遠出もしてみたり、楽しみは尽きません。
べーえんべーさんも、ご自分の楽しみ方で、存分に自転車をお楽しみください。