冬をむかえる

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'25.1.22 山を見て走る

2022年3月12日土曜日

英式・仏式・アメリカン

   何の形式かというと、自転車のタイヤに空気を入れる口金、バルブのことである。英式と仏式に加えて米式というのもある。アメリカンと書いたのは、語呂がいいからで他意はない。英式の発明が1888年、米式が1891年。仏式が最も新しく1900年のお目見えである。いずれも100年以上の歴史をもつ。普通に自転車を使っている限り、あまりこだわることでもない。

    一般の実用車、ママチャリと呼んでいる自転車にはほとんど英式が使われている。虫ゴムという部品を使って、口金から空気が漏れるのを防ぐ。パンクかと思いきや、この虫ゴムが劣化していて、空気漏れを起こしているということはよく経験する。虫ゴムという妙な言い方が、案外に耳になじんでいる。

 米式は、自動車やオートバイに使われている。まれに、マウンテンバイクの太いチューブにも採用されることがある。扱いが簡単で、空気漏れが少ない。但し、あまり高圧の空気には耐えられない。作りが武骨で太いタイヤにはいいが、スポーツバイクには大きすぎる。

 さて、仏式。これが、スポーツバイクに乗り始めると出会う代物で、一般にはなじみが薄い。口金は細くて繊細。空気を入れる時には、コア(弁を開け閉めする芯)の先端のネジを緩める必要がある。空気を充填したあとには、そのネジを締め、弁をしっかりと塞ぐ。

 このバルブは、高圧に耐え、しかも細くて軽量なので、スポーツバイクの細いチューブに最適である。何しろ、スポーツバイクのタイヤには、自動車のタイヤの3倍、一般の自転車の2倍以上の高圧の空気を充填する。しかも、タイヤの幅は自動車の10分の1程度である。

 下手な文章で説明していないで、図を描けば一目瞭然であるが、そこはそれ、文章修行、表現の練習なのでご容赦いただきたい。

 英式・仏式・米式とそれぞれの特徴を書いていて、はて、和式というのは見当たらない。我が同胞が考案してくれたならば、3種類のいいとこ取りをして、丈夫で繊細、軽くて精密なものができるように思う。今のところそういうものは見当たらない。いずれ、画期的なエア・バルブが登場するかもしれない。

 自転車の変速機となると話は別で、和式の独り勝ちだ。日本で考案されたものが世界中で作られる自転車に使われている。「株式会社シマノ(SHIMANO INC.)」が製造する変速機は、ごく廉価な自転車から100万円を超える高級スポーツバイクにまで使われる。まれに、スラムやカンパニョーロというメーカーの変速機もあるが、日本ではごく限られている。 

   チューブに空気を入れるためのエア・バルブには和式がないが、さらに複雑で精緻な動きを求められる変速機は和式が独壇場なのだ。自転車の性能を左右する重要機材に和式が用いられていることは、誇らしくもあり安心でもある。


樹の幹に春の力が宿りはじめる
この樹は何回冬を越したのだろう

樹の枝に春が芽吹きはじめる
新しい季節の予感に浮き立つ

樹は根を伸ばしながら
地中にある春を探しあてる

それぞれの樹はそれぞれのやり方で
季節を脱ぎ、季節を着る

樹には樹の生い立ちと生きざま



2 件のコメント:

  1.  私がスポーツ自転車に乗り始めて、足掛け4年。MARIOさんとくらべると、まだまだ初心者です。一応我が家には3台の自転車があり、バルブはそれぞれ違っていて、確か英式、米式、仏式となっていると思います。そんなの一つにまとめればよいのに、と思いますが、それぞれの用途に合ったものになっているのですね。     
     フレームやパーツ類は洋物が席巻していますが、さすが技術の
    日本と思わせるのがSHIMANOの変速機。自転車本体は外国製なのに、ギア部分を見るとほとんどのメーカーがSHIMANOを採用している。これは日本人として鼻が高いです。私はSHIMANOといえば、釣り具メーカーだと思っていましたが、同じ会社なんでしょうか。
     話は戻り、これほど器用な日本人が、和式の完全無欠なバルブを開発してもよさそうなものなのに、なぜでしょう。
     巷のトイレでは、和式が隅っこに押しやられ、いずれすべてが洋式に替わっていきそうです。より理にかない、かつ使いよさを求めるのは、当り前のことですかね。
     洋式トイレのウオシュレットは日本人の画期的な開発と聞いて、本領発揮かとやや溜飲が下がった次第です。

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  2.  英式、仏式、米式とくれば、和式は?とまずは考えます。洋式と対比すれば、和式のトイレ、と、それもまずは頭に浮かびます。以前、このブログにも書きましたが、私は、自転車に乗っている途中で使った、和式のトイレで、スマホを落とした苦い経験があるので、今回も、和式のトイレの話題はあえて避けました。

     ところで、シマノの製品では、釣りの用具にも自転車の変速機のグレード名と同じものが使われているようです。アルテグラとかディオーレ、アリビオなどという釣りのリールが存在しているようです。私も釣りといえば、溜池での鮒釣りくらいしか経験がないのですが、一度釣りの道具も調べてみると面白いかもしれませんね。

     つい、自転車を中心で考えてしまいますが、釣り人にとっては、自転車部品にも同じ名前のものがあるらしいぞ、ということになるのでしょうね。

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