'25.10.3 一本の柿の木

2023年2月11日土曜日

猿の惑星

  先日、家を出て15分ほど走ったところで、猿の大群と遭遇した。冬場は食べ物が少ないせいか、猿の群れが人里の近くまで押し寄せる。自動車ならいいが、自転車で群れの中を走り抜けるのは怖いときもある。高い木や電柱に登った猿に威嚇される。

 猿の群れに会って、『猿の惑星』という映画を思いだした。高校生のころに名古屋駅前の封切館で観た。当時の映画館は入替え制や座席指定がなかった。良い席を確保するために、前の回の上映が終わる直前に館内に入り、観終えた人が立つのを狙って座席を捜した。

 『猿の惑星』を観たときには、少しだけ早く劇場に入り過ぎた。前の回のラストシーンがスクリーンに映っていた。主演のチャールトン・ヘストンが、くずおれた自由の女神の前でひざまずいていた。猿の惑星は地球だったのだ。最後の大どんでん返しを最初に見てしまって、映画の面白さは半減した。

 自転車に乗っていて猿の大群に出会うと、自転車のコースが猿たちに占拠され、いずれは映画のように地球全体が猿に支配されるのではないかと空恐ろしい。

 映画では、猿の考古学者が過去の遺跡から眼鏡や入れ歯、人形などを発掘していた記憶がある。惑星が地球だという伏線である。ほんとうに地球を支配するようになった猿たちが、遺跡から自転車を発掘したとしたら、彼らにはその用途が判るだろうか。

 群れのそばを通り過ぎるときに、猿の惑星的写真が撮れないものかと思いついた。猿の群れの近くで自転車を停めて、少し自転車から離れてみる。猿たちは何にでも興味を示すようなので、持ち主がいなくなった自転車に近寄って来るのではないかとカメラを構えて待つ。

 警戒心が強いからか、自転車に触れようとする猿はいない。写真撮影の目論見は失敗に終わった。ブログに自転車に乗る猿の写真が載せられないのは残念至極。


昨日までとちがう
今日の惑星

無重力の惑星で
山を飛び越える

重力の記憶がよみがえる

重力を越えていく

自転車はかんたんに山をまたぐ

今日とは違う
明日の惑星



 

4 件のコメント:

  1. 映画「猿の惑星」は若い頃観て感動した記憶があります。特にあのラストシーンは印象的でした。それを先に知ってしまったのは残念😭面白さ半減でしたね。
    Marioさんが自転車に乗るのも、この道の向こうには何があるんだろう?未知との遭遇にワクワクしながら走ってみえるのではと思います。
    私は釣りが趣味ですが、見えない水の中を想像することにワクワクドキドキします。それが楽しいのです。
    釣れるのがわかっていたらつまらない。この道の先がわかっていたらつまらない。何やら人生も同じだなと思えてきました。
    いつも深読みを楽しめるテーマを提供していただいて、ありがとうございます。これからも楽しみにしています。

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  2. コメントありがとうございます。あまり内容のないことばかりを書いていますので、深読みしていただかずに、お気楽にお付き合いいただければと思います。

     釣りの醍醐味はよくわかりませんが、天候を読み、川や海の表情を読み、魚たちと対話する。そんなところは、自転車に乗ることに通じるところもあるのでしょうか。

     趣味の世界には未知との遭遇もあれば、懐かしい既知との遭遇もあります。思いも寄らない奇知との出会いというのもあるような気がします。

     おっしゃるように、この道の先にあるものが見えてしまってはつまらないのかもしれません。ワクワクドキドキしながら、趣味や人生を楽しみたいです。
     
     

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  3.  私が猿の惑星を観たのは、MARIOさんより随分あとのこと。評判の高かった映画で、みたいと思いつつ先延ばししていたら、結局大人になってからテレビ洋画劇場での再会となりました。
     あの特殊メイクは、まさに圧巻でした。主演のチャールトンヘストンは、高校時代に観たベンハー。そして十戒での海が割れるシーンが忘れられません。ハリウッド全盛期の大スターでしたね。

     さて前回の雪をバックにした写真も素晴らしかったですが、今回はさらに輪をかけて見るべきものがあります。
     冬の青空は、四季の中でもっとも澄んでいて、空の青がまさに宇宙へと無限に広がっていくようです。
     重機の向こうに見える雪山は、故郷のよさを再認識させてくれる贈り物ですね。
     とてもきれいな写真をありがとうございました。

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  4.  同じ世代の人には共通の映画や音楽があって、前置きなしで本題に入れるところがいいですね。
     
     それにしても、最近は、ベン・ハーのような大作が見られなくなしました。コンピュータ・グラフィックでそれらしく作られていても、どうも嘘くさくて迫力がありません。チャールトン・ヘストンのようなオーラのある俳優さんも現れません。

     映画の話題ついでにもう一つ。今回の写真にあるブルドーザーのブレイドは、迫力は劣るものの、映画『バニシング・ポイント』の最初と最後のシーンを彷彿させます。『悪の惑星』と同時代の作品でありながら、アメリカン・ニューシネマの傑作で、方向性の全く違うものでした。

     時節柄、暖房は少し控えめにしながらも、古い映画を楽しむ。自転車とはちょっと違う世界ですが、冬の楽しみに一つです。冬の寒さも、満更捨てたものではないと思います。

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