冬をむかえる

冬をむかえる
'25.1.22 山を見て走る

2025年4月26日土曜日

ほんの些細なことなのに

  あまりこだわらなくてもいいようなことが、つい気になってしまう。年齢とともに感覚も身体の動きも鈍くなって、よくいえば鈍感力が身について、おおらかになれるはずなのに、まだまだその境地ではなさそうだ。

 先日、自転車のクランクと前3枚のギアを交換した。見た目は綺麗になり、イメージ通りに仕上がった。変速にも支障はない。支障はないが、チェーンの掛け替えがぎくしゃくする。

 一番高速側や低速側のギアを選択すると小さな異音が発生するのも気になる。チェーンと変速機(ディレーラー)のプレートがわずかに干渉している。気にしなければ聴き取れない程度の小さな音だ。走りに支障があるわけでもない、けれど気になる。

 そもそも、見た目を重視して、純正の規格と違うギアをつけたのが問題なのはわかっている。これまで使っていたギアは、前が3枚、後ろが8枚。8速用のチェーンを使う。

 交換した新しい3枚のギアは9速用のチェーンを使うもので、ギアの厚みが0.2m薄い。後ろのギアはそのままなので8速用のチェーンを使うが、交換した前のギアには全幅が0.6㎜ほど狭い9速用のチェーンの方がいい。

 ギアの歯数も違う。これまで3枚の歯数が483828だったものが、483626になった。わずかな歯数の差だが、小さいギアから大きいギアに掛け変えるときにこの差がストレスになる。出来れば前の変速機をキャパの大きいものに換えたいところだ。

 わずかな寸法の違いである。8速用と9速用のギアは厚みが0.2㎜、使うチェーンの幅は0.6㎜違う。無理を承知で交換したのだから多少の不具合は仕方がない。と思いながら、変速機のプレートの位置を内側と外側で細かく調整する。ワイヤーの張り具合も試してみる。

0.1㎜単位のこだわり。幸い老眼鏡はいらない。細かい調整は苦にならないが、ほんの些細なことを気にしている自分が笑える。

ほんの些細なことなのに
こだわりだしたらきりがない

風がはこんできた噂

街で出会った昔の知人

映画の中のワンシーン

ほんの些細なことなので
忘れてしまえばそれきりなのに

何故だか何度もふりかえる

2025年4月19日土曜日

自転車部品の交換事情

  タイヤ、チェーン、消耗は遅いがギアや車軸なども走行距離が長くなれば擦り減る。擦り減ったり何かの衝撃で壊れたりした部品は交換する。他にも部品を交換する理由がある。見た目、である。

 部品を交換すれば自転車が美しく見える、お気に入りのスタイルに変わる。いわゆるカスタム。見た目がよくなれば乗り心地も変わる。気分が乗り心地をよくしてくれる。

 13年乗ったクロスバイクは、昨年、ハンドル周りの部品を交換した。ハンドルの形や材質を見なおす。アルミ合金の削り出しのハンドルは形もさることながら美しさに惚れる。

 サドルを支えるシートポストも質感や光沢を考えてアルミの削り出しのものに変えた。ハンドルとシートの位置を改めて調整したし、部品の材質が柔らかになったせいか、乗り心地もマイルドになった。老骨用、になった。

 ハンドルを換えたら、次に気になるのは、これもよく目立つクランクセットだ。前のギアとクランクの部分も美しい光沢のある、しかも軽いものに交換したい。しかし、古いクロスバイクの前3枚、後ろ8枚のギアに合うクランクセットで、これは綺麗だと思うようなものは、ない。知らないだけか。

 東京のBLUE LUGというバイクショップが自社製作しているXMC triple crank setという製品を見つけたが売り切れて在庫がない。長らく欠品中になっていた。先日やっと入荷したので早速注文して手に入れた。

 見た目、よし。材質、満足。ではあるが、実は古いクロスバイクのクランクセットと規格が少し違う。3枚あるギアの歯数がそれぞれ2個少ない。しかも9速チェーン用で私のクロスバイクは8速用チェーンを使っている。

 多少の規格違いは変速機の調整で何とかなるという無謀な考えで取り換えた。結果は吉、変速に支障はない。動きは快調、見栄えも大化けした。クランクギアの歯数が少なくなって、少し踏力が軽くなるというおまけつき。老骨用自転車にまた近づいた。部品選びは見た目も大事。

規格があるから選ばれて

規格があるので外される

規格があるのは安心で

規格があるのが心配だ

品格本格適格合格
資格別格失格破格
規格に合わせることよりも
やりたいようにやることだ



2025年4月12日土曜日

自転車の図鑑

 図書館の児童書コーナーで、孫に『学研のまんがひみつ文庫』を教えてもらったことは前回書いた。文庫シリーズの中に『自転車のひみつ』はなかったが、同じ書架で森下昌市郎著、自転車文化センター監修の『ずかん自転車』(2023)を見つけた。

 面白そうなので借りて帰った。児童書を自分のために借りたのは初めてである。新しい図鑑なので内容が斬新、大人の自転車乗りでも読みごたえ十分だ。自転車の歴史、自転車のしくみ、現代の自転車、自転車競技の世界、自転車をもっと楽しむという5つの章に分けて写真や図をふんだんに使って解説されている。

 使われている自転車の資料が、トレック、コルナゴ、それにジャイアントなどの最新モデルだ。ブリヂストンの電動自転車あり、シマノの変速機あり、更には、パナレーサーのグラベルキングといった新しいタイヤまで紹介されている。

 トマス・スティーブンスが1884年に出発した自転車世界一周旅行の興味深いコラムがある。世界一周の途中、1886年には日本国内を長崎から横浜まで走ったとある。その影響を受けてか、中村春吉が1902年から世界一周の自転車旅をしたことも紹介されている。初耳で、深堀してみたくなる話だ。

 これまでに何冊か自転車のことを書かれた本を読んだ。自転車購入の手引き書のようなものから、整備マニュアル、勿論、自転車旅行記も読んだ。『ずかん自転車』は、自転車関連本の広範な内容を一冊にまとめている。しかも簡単明瞭、わかりやすいことに驚かされる。

 「自転車をもっと楽しむ」という最終章に、自転車のメンテナンスを取り上げてあるところが心にくい。メンテナンスを自転車の楽しみのひとつに数えるようになれば立派な自転車愛好家である。大人が読んでも目からうろこの落ちる一冊、児童向け図書、おそるべし


去年の桜
今年の桜

千年前の桜
千年後の桜

同じ場所に
同じときに
咲きながら

咲き方を変えて
見せ方を変えて

来年も春が来ることを
しっかり約束している









2025年4月5日土曜日

町の図書館にて

  春休みの1日、小学3年生になる孫が遊びに来ていた。親は仕事なので、春休み中は終日学童保育所でお世話になっている。保育所を休んでばあさんとじいさんの家に来れば気儘に過ごせるが、友だちがいないので退屈そうでもある。

 彼と一緒に近くにある町の図書館へ行ってみた。学校の図書室で人気の本だといって『学研のまんがひみつ文庫』を教えてくれた。企業や各種団体が協賛(タイアップ)して作られたまんがシリーズで非売品である。小学校の全学年対象の内容で、全国の公共図書館や小学校の図書室に無償配布されているらしい。

 シリーズ第1巻は日本マクドナルドが協賛した『ハンバーガーのひみつ』。最新刊の第218巻は『馬のトレーナーのひみつ』(日本調教師会)、第219巻『気象情報のひみつ』(日本気象協会)など、内容は変化に富んでいる。

 『自転車のひみつ』がないかと探すのは当然の成り行きである。未来の車(トヨタ自動車)や電気で走るクルマ(三菱自動車)はあっても、自転車関連のものが見当たらない。

 「自転車」の文字を背表紙に見つけたら、第49巻『自転車駐車場のひみつ』だった。財団法人自転車駐車場整備センターが資料を提供している。自転車の駐車場整備センターという公益財団があることを知るだけで面白い。『工具のひみつ』は工具メーカーのTONE、『八ッ橋のひみつ』はもちろん株式会社聖護院八ッ橋総本店が資料提供者だ。子どもの興味を満たそうとするテーマがシュールだ。

 今のところ、孫は自転車にあまり興味がない。小学校へ入学したときに、解体屋で1,000円で買った自転車を新品のように組み直したので、喜んで乗ってはいるが、いまひとつ食いつきがよくない。図書館の本にふれ、ものごとのひみつをのぞき関心を深め、いずれ自転車にも目覚めてくれると嬉しいが、今は何も言わないことにした。この日、彼は『まんがひみつ文庫』は選ばず、『ざんねんないきもの事典』3巻を借りて帰った。

梅の花のひみつ

桜の花のひみつ

図書館の書架を抜け出して
青空の下へひろがる
ひみつの連鎖

自転車のひみつをさがす

ひみつを解き明かすために
走りつづける