'25.10.3 一本の柿の木

2025年9月20日土曜日

銀輪が消える

  自転車といえば銀輪。銀輪といえば自転車。その銀輪が消えつつある。実用自転車のリムは今もアルミニューム合金製のものが多く銀色に光る。ところが近頃のスポーツ自転車には銀輪が使われていない。

 自転車のホイールはタイヤを嵌めるリム、車軸(ハブ)とそれをつなぐスポークから成る。それが、アルミ合金やステンレスで作られていれば、素地が銀色なのでまさしく銀輪というわけだ。

 私がスポーツ自転車を始めたいと思ってカタログを集めていた13年前、多くの自転車にはまだ銀輪が使われていた。ところが、今、スポーツ自転車の車輪はほとんどが真っ黒。その方が精悍そうで高級に見えるのだとか。ちょっと同意しかねる。

 10年ほどの間に銀輪を奪った犯人は軽くて丈夫だが高価でもあるカーボンという材料ではないだろうか。もう一人の犯人はディスクブレーキか。リムでブレーキを効かせる必要がないのでリムを黒く塗装できる。

 黒いカーボン製の軽量リムにディスクブレーキをつけた高級自転車が流行り始めると、入門用のスポーツ自転車もそれに倣う。スポークやハブまで黒く塗られる。スポーツ自転車からは銀輪が消えていった。

 通学にスポーツ自転車を使う高校生を多く見かけるようになった。朝の風をきって登校する自転車の列から銀輪が消える。朝の光に照り映える銀輪が消える。実用車には銀輪が残っているとはいえ、スポーツ自転車が増えて真っ黒の輪っかに席巻されるのはさみしい。

 先日、リム、ハブそれにスポークがすべて銀色に輝くホイールを前後セットで手に入れた。市場から消える前にと思って、高価ではあったが無理をして買った。愛用の自転車には銀輪を使いつづけたいと思っている。

銀輪はペダルを踏みつづける理由

銀輪は未知を訪ねる動機

風を斬り光を映し時を刻み

銀輪のおもむくままにまたあした



 



2 件のコメント:

  1. べーえんべーー2025年9月26日 7:14

     日頃から観察力に疎いのか自転車をぼんやりながめるだけで、部分ごとの特徴を聞かれると浮かんできません。車輪は銀色だろうというぐらいのイメージ。
     よく事件の目撃者が、容疑者の特徴を顔や服装、靴の色などを覚えていて、逮捕の重要な手がかりになることがありますが、私には無理な相談です。

     今回のブログを拝見して、我が家にある自転車3台の車輪を点検。クロスは黒色、MTBも黒色、折りたたみ自転車は銀色でした。やはりスポーツ自転車は、銀色が多いのですね。軽量化や剛性など機能面に優れるとともに見た目の精悍さもあって、人気が出てきたのでしょうか。とはいえ、人気は流行に左右されますから、やはりオーソドックスな銀輪は永久に不滅、なくならないような気がします。

     ちなみに私の愛車(自動車)はブラック、冬用ホイールもブラック。流行に逆らえない自分がそこにいます(笑)。

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  2.  服装にしても持ち物にしても、年齢とともに無頓着になっていくようです。

     せめて趣味の自転車くらいは、新型や流行に気を留めていたいと思っています。

     仕事に出なくなり人と会う機会も少なくなって、新しい事物についての情報も減り関心も薄れてしまいそうです。

     今更流行を追うこともないですが、あえて流行に逆らうとか、何が流行りかくらいは知っているとか、世間への関心はもちつづけたいです。

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