冬をむかえる

冬をむかえる
'25.1.22 山を見て走る

2020年5月2日土曜日

坂を登る


 家の近くには、こんなに坂道が多かったか。平坦な道はほとんどない。傾斜がつきものである。馬で坂を駆け上がることは前に書いた。そういう極端な坂はともかくとして、坂はいたるところにある。すべての道は坂道である。

 歩いていると坂道に気づくことは少ない。よほどの急こう配でないかぎり、歩度を緩めることはない。行く手に立ちはだかるような坂道でも、それなりに歩いて登ることはできる。車やオートバイに乗っていれば、坂はもっと意識の外へ追いやられる。難儀をするのはエンジンとミッション。乗り手はアクセルを踏むつま先に力を入れるだけ。オートバイなら右手首をひとひねりすればすむ。
 
  自転車は、登り坂にさしかかるとすぐに脚が感応する。若い人が脚力に任せてぐんぐんペダルを踏めば、それほど抵抗を感じることはないのかもしれない。私のような高齢の者が乗っている場合は、すぐに響く。ひとくくりにするのは良くない。高齢の人でも脚力、気力がともにあって、登り坂をものともしない人もいるだろう。私の場合は登り坂にからきし弱いので、家の近くにもこれほど坂道が多いのかと、改めて気づかされた次第である。
 
 行く手に待ちかまえる長い坂道は、気持ちを奮い立たたせるか、げんなりさせるか。その時の身心のコンディションにもよるが、たいがい登り坂にはうんざりする。周りに人はいなくても、自転車を降りて押したのでは恰好がつかない。軽いギアでゆっくりと景色を楽しみながら登ることにする。向かい風のときと同じ要領。坂には逆らうな、である。登り坂は先が見えるので、向かい風よりは楽かもしれない。しかも登れば位置エネルギーを貯められる。
 
 前方の路面が見えなくなるところまで行けば、坂は終わる。バニシングポイント(消失点)の向こうには、別の世界があるかもしれない。そういえば、1970年代の初めに、『バニシングポイント』という映画があった。アメリカン・ニューシネマ。ダッジ・チャレンジャーという高性能の車で暴走する主人公コワルスキーは、生きることの不条理に耐えかねた自殺志願者、だと思われる。警官の追跡を振り切り、ひたすらバニシングポイントへ車を走らせる。私のバニシングポイントは、きつい坂と古い景色に別れを告げ、新しい風景の展開に出会う境界点。コワルスキーのとはくらべものにならない。明るく、楽観的である。
 
 楽観的といえば、山に登るにはマウンテンバイクがあれば楽だろうと思いついた。マウンテンバイクはギア比が極端に小さい。前のギアよりも後ろのギアの方が大きいものまで使える。ギア比は1:1以下にもなる。速度は遅くなるが、タイヤの回転するする力は強くなる。歩いて登れないような坂も登る、という謳い文句をどこかできいた。俄然張り切って、急坂に挑んでみる。マウンテンバイクでなら坂を楽に登れるか。否、登坂は乗り手の脚力次第。坂道はそれほど甘くない。



行く手に長い坂が見える                    
路面とセンターラインが見えなくなるところがバニシングポイント 
とりあえず、そこまで登ってみるか                
この道路は、開通前でまだ使われていない。念のため…       

来し方を振り返る                                                                 
よくぞここまで登ってきた                                                     
見栄をはって、歩かずに登ったので疲れた                               
位置エネルギーを蓄えたので帰りは楽勝!?                                 
坂を下るときには注意が必要!!                                             
マウンテンバイクなら登坂は朝飯前か?            
この時点で、朝飯は済ませているので…            
どんなバイクでも、坂道は楽ではない             
乗り手の脚力次第…  
 ちょっとヨレっとした感じが坂道の厳しさを物語る          
   乗り手の疲労がバイクにも伝わる               
 
今年は、雪の少ない冬だったが雪のあるところまで登ってみた
一人で走るのは危険なところもある
できれば相棒が欲しい
どこまでも登ってみたいとい好奇心だけは褒めてやりたい


3 件のコメント:

  1. 今回も素敵な文章を読ませていただき、ありがとうございます。目の前の坂道を『バニシングポイント』に例えるなんて思いもよりませんでした。あの映画をいつ観たのか記憶にありませんが、ニューシネマの代表作の一つと認識しています。俺たちに明日はない、イージーライダー、いちご白書などいっぱいありますが、「反抗・逃避・自滅・退廃」といったベトナム戦争末期のアメリカの若者たちのやり場のない感情の代弁者だったのでしょうか。たしかMARIOさんとは『タクシードライバー』を真夜中に四日市の映画館で一緒に観た記憶があります。ロバート・デニーロの出世作だと思います。自分が20代で若かったときを思いだしながら、もう一度あの頃の映画をビデオで観たい気持ちにかられました。ありがとうございます。

    返信削除
  2. 登り坂 人がいなくても降りられませんよね!
    わかりますです。歩いた方が速いくらいのギアで頑張ります 
    なぜでしょう?行くなと言われると行きたくなるのは‥ 熊避けの鈴いりますね

    返信削除
  3. このコメントはブログの管理者によって削除されました。

    返信削除