'25.10.3 一本の柿の木

2021年8月7日土曜日

ワークスタンドのこと

  私が子どものころには、田舎の小さな村にも自転車屋さんがあった。中学へ通う途中には3軒ほどあった。軒先には、ブリヂストン、ツノダ、富士や丸石自転車の看板が上がっていた。自転車屋のおやじさんは、店先で自転車を組んだり修理したりしていた。三和土たたきの上で、自転車のスタンドを立てたり自転車をひっくり返したりしていじっていた。おやじさんはしゃがみこんで手際よくパンク修理をしてくれるというのが、子どものころのイメージである。

 町や村の自転車さんは少なくなって、量販店のサイクルショップやスポーツバイクの専門店がそれに取って代わった。明るいショーウインドウにカラフルな自転車が並ぶ。天井からは、高価なフレームやホイールが吊り下げられている店もある。

 そんな店で自転車の整備を依頼すると、自転車をワークスタンドに固定して整備をしてくれる。自転車のおやじさんが無造作にスタンドを立て、もしくは倒立させて修理を始めるのは恰好良かったが、ワークスタンドに自転車を固定して、整備を始めるのも様になる。

 知人が、バイクショップで使われているようなワークスタンドを買った。これが、自転車の整備やメンテナンス、場合によっては保管にも大変便利が良い。知人のものを見て欲しくなったので、安価なものを手に入れた。

 スタンドの支柱に固定されたクランプ(締め具)に自転車を固定する。自転車はちょうど目の前に吊り上げられる。部品の脱着や調整をするには都合がいい。しゃがみこんだり、自転車を逆さにひっくり返して作業をしたりする必要がない。

 微妙な調整をしたいときにも、目の高さに自転車があって、前に手をのばせば作業ができるというのは効率的である。こんな便利なものなら、もっと早くに手に入れておけば良かったと思うが、何をするにも師匠がいないので、勘どころが判らないし、よりどころがない。

 自転車の回転部分には、場所によって、締める方向が反対の左ネジというものが使われる。タイヤには回転方向があったりもする。自転車を倒立させて整備をしていると、右側と左側が混乱することがあるが、ワークスタンドに取り付けておけば、その心配もない。

 ワークスタンドに固定した自転車は、いかにも、整備を待っていますというオーラを発する。つい調子に乗って、必要のないところを分解してみたり、部品の交換を思いついたりしてしまう。ここでも、先達のないつらさ。素人作業は思わぬところで頓挫し、悩みは深まり、時間を無駄にすることになる。

 整備をするのに必要なのでワークスタンドを手に入れたのか、ワークスタンドを買ってしまったので、不必要なところまでいじる破目になったのか。道具を揃えれば、技量が上がるものではない。これを機会にせいぜい整備の技も磨きたい。


ワークスタンドに自転車を固定
整備が上手くできそうな気がする

整備やメンテがやりやすくはなっても
上手くできるようになるわけではない
多少か俄然か…、やる気にはなる

つい余分なこともまでやり始めて
後輪のハブを分解してみたが…、

ミノウラ製ワークスタンドw-3100
頑丈ではあるが高さ調整ができない
支柱固定用ボルトの穴を増やしてみた
背の低い自分専用スタンドの完成

自然の中のスタンドに
自転車を置いてみる

過ぎていく時間を眺めている

ちがう流れの時間も眺めている








2 件のコメント:

  1.  ワークスタンド。
    写真で見る限り、自転車を上下移動させて作業に応じた高さにする。クランプにしっかり固定するので安全。まさにプロ仕様グッズですね。ただし整備が苦手で、いつも誰かに頼ってしまうものにとっては無用の長物かもしれません。私のことです(笑)。
     そんな自分ですが、たまに自転車をひっくり返してタイヤ交換や掃除をするときに左右の感覚がおかしくなったり締め方が逆になったりして結構手間取ってしまいます。
    そんな不都合不便を解消するだけでも、ワークスタンドは優れものですね。
    MARIOさんの整備能力が益々向上すること間違いなし、陰の仕事人サイクルショップオープンも間近かもしれませんね。

     さて東京オリンピックも終わり、テレビを観る気もしない。本を読む元気もない。
    ふと思いついたのが、『日々是自転車』。タイトルをみながら、流し読みのようにみていくと、どの回も面白い。テーマがはっきりしていて、写真やコメントがピッタリ。
    当たり外れがないので、ランダムに読んでも最後まで引きずり込まれる。
    MARIOさんの才能は、すごい!の一言です。

     最後の3枚の写真、時間によって雰囲気が全く変わりますね。素晴らしい。

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  2.  自転車は自分でも手軽にいじれる面白さがありますが、安全にかかわることなので、素人の作業とはいえ、整備の方法や部品の取り扱いには十分注意を払いたいと思っています。整備が面白くなって、自転車に乗る時間が減るようでは本末転倒なので、あまりのめり込まないように気をつけます。

     写真の腕はちっとも上がりませんが、家の近くにも自転車がよく似合う風景が随所にあるので、写真撮影は楽しいです。つくづく、佳い場所に住んでいると思います。

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