冬をむかえる

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'25.1.22 山を見て走る

2021年8月21日土曜日

趣味の自転車

  この歳になると仕事探しをすることもないので、履歴書を書くことはないが、その履歴書には趣味を書く欄がある。差し障りのない読書とか音楽鑑賞、スポーツなどと書いた記憶がある。どれも本当の趣味とはいえないものばかりだ。今ならさしづめ自転車と書くところだろう。

 人によって自転車との関り方はちがっていて、職業としての関りもあれば、実用一点張りで自転車を使う人もいる。競輪選手、ロードレースやトラックレース、クロスカントリーなどに出場するプロのレーサーにとって、自転車は仕事の道具である。自転車を販売したり修理したりする自転車屋さんには商売のネタ、生活の糧である。

 通学や買い物、あるいは配達に使われる自転車は実用本位。生活の必需品でありながら、乗りっぱなしであまり手入れをされないのはこの手の自転車に多い。子どものころから自転車とは付き合ってきたが、自転車を趣味にするとは思いもよらなかった。そもそも、仕事をしているころには趣味などといえるものがなかった。今ではどうやら自転車は趣味としてカウントしてもよさそうだ。

 ネットには「趣味の自転車」を取り上げた記事があふれている。自転車を趣味にするメリットは、健康、手軽さ、ストレスの解消といったところにまとめられる。趣味の悪さということで自転車を挙げている記事もある。機材(自転車)の性能や値段にこだわりすぎる、走った距離や速さ自慢をする、独りよがりに陥るといったところが理由の代表格である。

 自分が面白く感じて、それが続けられるのであれば、人が何といおうとあまり気にすることはない。自分は自転車が趣味ということでいいだろう。ひとたび趣味だといってしまうと、ますます深みにはまる。時間を費やしても、多少の出費が増えて他の買い物を犠牲にしても、気にならないから不思議である。

 狭い庭に芝生を植えているが、芝生の手入れも趣味にしてしまえば苦にならない。去年と比べて緑が濃いとか、芝目が整ったとか一人で悦に入っている。ちょっと前に引き受けていた自治会の会計役も「趣味の会計」だと思うと面白かった。出納を判りやすくする、決算書を見やすく仕上げる。ひとえに自己満足のためのような気がするが、面倒な仕事が面倒でなくなる。

 自転車を始めたのは、誰かに勧められたからではない。ブームに乗るようにして始めたのか、たまたま始めたらブームが追いかけてきたのか。大概のことは、田舎住まいで流行に鈍感な自分が興味をもつ頃には、ブームといわれ世間で持て囃されている。それはともかく、自分は自分のやり方で自転車を楽しめばいい。長く楽しみたいので、できれば趣味のよい自転車に乗りたいし、趣味のある自転車乗りになりたい。「趣味」とは、「あじわいやおもむき」そのものでもあり、それを()力のことでもある。


趣味の入り口はクロスバイク
一緒に遠くまで出かけた

もっと遠くへ行ってみたいので
ロードバイクも相棒に加えた

さらに道の奥まで行ってみたいので
マウンテンバイクも趣味にした

趣味の自転車は色もいろいろ
今日の遠出はジュリアン・ソレル
スタンダールの『赤と黒』

小径折り畳み自転車を改造
友人のE-bikeについて走る
自転車いじりも趣味のうち

芝生の手入れも趣味にしておく
芝生も自分もいつも「いま」が最高の季節

今日は水撒きを手伝ってもらった




2 件のコメント:

  1.  自分自身の趣味はと考えたとき、これといったものが浮かんできません。
    浅く広くというと体裁がいいですが、要するにブームに飛びつき流される。長続きがしない。
     大学時代からオーディオに興味があり、就職してからそこそこのものをそろえたが、
    10年くらいであまり聴かなくなる。ギターやピアノもほぼ10年で中断or卒業?。
    バイクはそこそこ続くかなと思っていたが、やはり10年で乗らなくなる。
    何事にも飽き性なのか、追究心が足りないのでしょうね。

     それに対してMARIOさんはすごいです。自転車はもちろん、庭の芝の手入れも自治会の仕事もすべてポジティブに捉えて、楽しくこなしていく。人間の生き方はこうでなくてはいけないという見本です。
     何事にもやらされているという意識ではなく、『情けは人の為ならず』みたいな心がMARIOさんからは伝わってきます。
     趣味から少し逸れたかもしれませんが、今回も勉強させていただきました。

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  2.  私もか、私はか、とにかく飽き性で仕事をしているころには趣味といえるようなものは全くありませんでした。器用貧乏といいますが、器用でもないくせに気持ちが「貧乏」でした。

     浪浪の身になってからは、多少発想が変り、自分の時間もできたので、何でも趣味ということで取り込んでしまえば、これは面白いということに気がついた次第です。たまたま、そこで出会った自転車が、人からはどう思われるは判りませんが、とりあえず趣味と呼べるものになったということでしょうか。

     もう、本職というべき仕事もないので、何でも趣味にしてしまって、しっかり楽しめたらいいと思います。

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