冬をむかえる

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'25.1.22 山を見て走る

2023年12月23日土曜日

少しマニアックに

  自転車の変速機を操作するシフター(変速レバー)にはいろいろな種類のものがある。シマノ製でいえば、フラットバー(横にまっすぐなハンドル)には、ラピッドファイアー(銃の連射)というシフターが多くみられる。

 拳銃の引き金を引くように、指でレバーを引くところから来ているのだろう。素早くレバーが引ける。ブレーキの近くにレバーがあるので、変速操作をするときにハンドルから手をはなす必要がない。ドロップハンドル(下に曲がったハンドル)に使われるデュアルコントロールレバーも優れものだ。ブレーキレバーと一体になった加減速用のレバーを指で操作する。

 どちらも、30年ほど前にシマノが売り出した。それまでは、ハンドルからクランク軸受に伸びるダウンチューブというパイプに変速レバーを取り付けていた。Wレバーシフトという。変速のたびにハンドルから手を放し、上体を前に屈めて下の方にあるレバーを操作する。面倒で、慣れないと操作が難しい。

 懐古趣味ではないが、変速機の原点ともいえるWレバーシフトがどんなものかと思い、クロスバイクのシフターをWレバーに取り換えた。部品は今でも手に入る。試してみると、これが案外使い勝手がよい。変速に手ごたえがある。自動車のマニュアルシフト的感覚とでもいえばいいのか。軽快に変速ができる。腕を下にのばすのもそれほど難儀ではない。ハンドル周りからシフト装置がなくなって自転車がすっきりした。

 レバーを変更した週末に、1986年に作られた『クイックシルバー』という映画を観た。映画の冒頭、ニューヨークの街中を走るバイクメッセンジャーの自転車が大写しされる。全くの偶然。ライダーの手のアップ。手はWレバーを操作し、自転車がタクシーの間を縫って走る。これぞ古典的変速シーン、何という符合かと思わずうなった。

 ついでながら、大写しされた自転車のダウンチューブには「RALEIGH」のロゴ。私の乗っているロードバイクもラレー。同じロゴが使われている。ただし、私のは新家工業がライセンス生産した日本製ではある。以上。ちょっとマニアックな話ではないか。

マニアは潜行し孤立する

マニアは熱狂し連帯する

マニアックな一点透視的集中

マニアックな色彩分割的点在

こだわったり
無頓着だったり
どうやったって
自転車は後もどりできない











2 件のコメント:

  1.  MARIOさんの飽くなき探究心、本領発揮ですね。
    スポーツバイクのシフトレバーは、ハンドルにあるものだと思っていましたが、変速機初期にはダウンチューブにあってWレバーだったとは驚きです。

     今普通にハンドルバーで操作していますが、その当時はそれが当たり前だったわけで、不自由さも感じなかったのでしょう。

     例えば、現在テレビなどの電化製品はほとんどリモコンがついています。私が子どもの頃は、チャンネルを替える度にテレビまで移動してダイヤルを回す。それに不満や疑問を抱いた記憶はありません。それが今となれば、寝転がったまま遠隔操作、リモコン一つであらゆる操作ができます。人間はより快適に、ラクな暮らしを求め続けています。
     とはいえ、先人がつくりだしたものには、現代に通ずる出発点、大切な礎があります。

     話は戻って、Wレバーは左右1対ありますが、前輪と後輪ということでしょうか。もし左手1本で操作するとなると、ダウンチューブを跨いで動かすことになります。または右側は右手で、左側は左手なのでしょうか。それも危ういですが、慣れで解消されるのか。私は乗ったことがないので、何ともわかりません。ともあれブラインドタッチで操作には時間がかかりますね。
     
     いろいろ聞きたいことがありますが、またの機会にさせていただきます。
    MARIOさんの好奇心、いたずら心がある限り、冒険はまだまだ続いていきますね。

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  2.  べーえんべーさんのおっしゃる通り、便利さに慣れてしまうといつしかそれが普通になってしまいますね。リモコン操作のできないテレビなど、若い人はなじみがなくて、かえって不思議で面白いかもしれません。わざわざ不便なものを使ってみるというのも案外楽しいです。

     Wレバーはハンドルにある変速機と同じで、左手で前のディレーラーを、右手で後ろのディレーラーを操作します。忙しく変速するというよりは、道路の状況を早めに見極めて適当なギアを選び、のんびりと走るのに向いているようです。自転車の乗り方まで変わるのは不思議です。

     自動車のマニュアルトランスミッションを今でも好んで使う人もあるようですが、車を操縦しているという実感があって楽しいだろう思います。誤発進の危険も少ないようで、案外高齢者向きかもしれません。Wレバーも、ゆっくり安全に走る気分にさせられて、高齢者には似合うような気がします。

     古くて使い勝手が悪いように思えても、機械や電気製品の原理がよく判るということもあります。それほど古い人間でもないですが、子どものころに不便さを経験しているというのは幸せなことでもあると思います。

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