子どものころ、父のオートバイ仲間がエンジンのオーバーホール云々と話しているのを耳にした記憶がある。
昔のエンジンは材質が良くなかった。長い間使うとシリンダーが摩耗して圧縮が効かなくなり不調を来す。シリンダーを削って、径の大きなピストンに付け換える必要があった。シリンダーをボーリング加工して穴を広げるので、「overhole」というのだと思っていた。
ごく最近になって、「overhole」ではなくて「overhaul」だと知った。「機械や装置類を一つ一つの部品にまで分解・点検し、精度を回復するために必要な洗浄や修理、部品交換などを行う」「分解、洗浄、修理・交換、注油、組立、調整という手順で行う」ことである。間違った解釈の「overhole」は「overhaul」の一部だったということにしておこう。
言葉をはき違えていたが、自転車のいろいろな部分のオーバーホールは試みている。例えば、車輪の軸と軸受け、ハブといわれる部分のオーバーホール。車軸が抵抗なく回ればタイヤは軽く転がる。長く使った車輪のがたつきをなくし軽い回転を取り戻すためにオーバーホールをする。
抵抗を減らすために軸と軸受けの間には小さな鋼球がはめ込まれている。鋼球の周りにはグリスという粘度の高い油が詰められていて、さらに滑りをよくしている。長年使っているとグリスの粘度が失われ、しかも細かい埃や砂が入り込む。車軸と軸受けを分解し、汚れた部品を洗浄する。新しいグリスを補充して組み直す。
慣れないと小さな鋼球がばらばらに飛び散ったり、組み立てのときには車軸の締め付け具合に苦労したりと散々な目に遭う。オーバーホールをした後は、タイヤが軽快に回ることを期待するが、効果覿面というほどでもない。苦労した分くらいは転がりが良くなったかなと思う程度である。
オーバーホールをすることで調子が戻り、部品の寿命を延ばすことができれば、やってみる値打ちはある。何はともあれ、部品を徹底的にきれいにするのは気持ちがいい。
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大概のことには 取り返しがつく |
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洗い流して 組み直して 再生できる |
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抵抗とか摩擦とか 軋みとか異音とか 余計なものを除く |
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新しい気分で 新しい自分で 走りはじめる |
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使いつづけ 走りつづけ 歴史になる |
オーバーホールって大がかりな修理みたいなことかな、とぼんやり意識。ホールはこのholeで、きれいに穴を開けてすっきりさせることかなと思っていました。
返信削除ついでなのでこちらのhaulを検索すると、引っ張る、引きずる、運ぶ、輸送するの意味。しかしoverhaulを調べると、徹底的に点検整備、分解修理するとなります。
勝手に文字を区切ると、関連がなくなりつながらない。難しいものですね。
日本語でも間違ったまま使っているのに気づいたものがたくさんあります。サワりだけ聞かせるとは、話の最初の部分と思っていたら、話の要点のこと。破天荒とは豪快、大胆、ハチャメチャことと思っていたら、前人未踏の偉業を成し遂げること、など。
以前、このブログで気の置けない仲間のお話がありましたが、誤解しやすい日本語って本当に多いですね。
話は変わり、自ら車軸と軸受けを分解して剛球を取り出して洗浄し、グリスを補充するとは、プロの自転車屋さんでも面倒だと思って新品を付け替えそうな気がします。
さて、MARIOさんはこれまでの人生の中で、どれだけのものをオーバーホールしてきたでしょう。それが知りたいです。
私も70歳を過ぎて、自分の身体をオーバーホールしたくなりますが、いい方法はないものでしょうか。
オーバーホールとは意味が違うかもしれませんが、子どものころは、特に男の子に多いと思いますが、何でも分解をしてみて、その仕組みを確かめてみたくなるようです。
返信削除私もご多分ににもれず、何でも分解してみて、元通りに組み立てることができなくなったことが何度もあります。オーバーホールと生意気なことを言ってはみたものの、元通りに組み立てるのは難しくて、素人の場合はかえって調子を悪くすることも多いようです。
孫のおもちゃなど、壊れたままにしてあると修理をしてやろうと思って手を出して、結局は使い物にならなくすることもあります。大事のおもちゃには迂闊に手を出さないのがいちばんのようです。
身体もオーバーホールができるといいのですが、なかなかそうもいきません。とはいえ、メンタルの部分はリセットして考え方を変えたり(分解組立)、時には他の人のアドバイスを入れて組み直す(修理と注油)ことで、オーバーホールできることもあるように思います。気分が復調すれば身体の調子もよくなるでしょうから、オーバーホールといえなくないです。