冬をむかえる

冬をむかえる
'25.1.22 山を見て走る

2024年12月14日土曜日

風の日には風の日の

 これからの季節、北西の季節風とどう付き合うかが課題だ。風に向って走る気力も脚力も年々衰えている。寄る年波には勝てないのである。

 朝から北風が吹き荒れる。朝は穏やかでもいつの間にか風が強くなる日もある。自転車に乗り出す前から気持ちがひるむ。

 我が家のある場所は北西に鈴鹿山脈が連なる。どの道を走っても標高は徐々に高くなる。10㎞も走ると山麓の坂の多い道にさしかかる。この季節には、風に逆らって坂を上る、しかも風は冷たい。三重苦だ。

 ならば、風下になる南東方向に走り出せばよいではないか。伊勢湾岸や濃尾平野の平らな土地が広がる。平坦なコースを追い風に乗って快適に走れる。ところが、これは帰り道が怖い。風に乗って遠くまで走ったあとの帰路が向かい風。しかも登り傾向。思うだけで走り出す気が失せる。

 風は侮れない。透明な壁だ。壁にぶつかるだけならまだしも、壁が前から押してくる。前に進めないどころか、まさかそんなことはないだろうけれど、後ろへ押し戻されるのではないかと思う瞬間さえある。

 横風がまた曲者だ。追い風に乗って快適に走っているときに方向を変える。突如見えない巨大な手で横から突き飛ばされる。自転車ごと浮き上がってしまいそうだ。

 危ない目にも遭うのに、無理をして自転車に乗らなくてもいいようなものだが、それでは冬の間乗れなくなってしまう。

 風の日は風の日の乗り方を考える。向かい風には抗わず、少しずつ少しずつ前に進む。こちらが力むと相手の反発も強まる。もう急ぐ旅でもない。ゆっくりとでも前に進めれば十分だ。

順風を受けても図に乗らない。風向きは変る。いいときばかりではない。風の日には気力や脚力よりも寄る年波がもたらす経験知と諦観がものをいうのです。

水面を歩いている風は
どこで生まれたのか

空を渡っていく風は
どこへ帰ろうとしているのか

来し方も行く末も
わからない風に
ときには阻まれ
ときには押される

風がこの家の前で立ち止まる

風に行き先を尋ねている

4 件のコメント:

  1. 夏は風があると涼しいですが、寒くなると風は吹いてほしくない。そう思うのはバイカーだけではありません。
    釣りにとっても風は大敵です。何せ20g程の疑似餌をごく自然に海底に沈ませたいのですが、糸が風に煽られて沈下スピードが変わったり、引っ張られて不自然な挙動をしてしまいます。途端に魚たちに怪しいと見破られてしまいます。風が3m/s以上吹くと背中から追い風になるような場所を探さなければなりません。
    おのずと天気の予報よりまずは風予報見ることとなります。
    これからの季節、北西風が強く吹く日が続きますが、MARIOさんもわたしも風とうまく付き合ぅよりほかありませんね。良きバイクライフを🚴

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  2.  コメントありがとうございます。
     世の自転車乗りは、風に苦労をしていると思っていましたし、自分も風との付き合い方にはいろいろと工夫をしているつもりですが、趣味が変わればその趣味よって、風との付き合い方も変わるということですね。

     門外漢は釣りは釣り糸を垂れているだけと考えてしまいますが、釣り糸が風の影響を受けて、それが魚とのやり取りにも影響するとは知りませんでした。釣りの奥深さを一つ教えていただきました。

     高層ビルやタワー、橋梁などの建設に携わっている人たちにしてみれば、たかが自転車が受ける風の影響など、大したことではないかもしれません。

     風が吹くからこそ釣りの作戦を練り、自転車の乗り方を工夫する。スケールは違えど、風の影響を考えて建築物の構造を工夫し、新しい工法を生み出す。風が吹くと桶屋が儲かるだけではなくて、風が吹くから賢くなれるともいえそうですね。

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  3. べーえんべー2024年12月18日 19:04

     私が勤務しているところは濃尾平野に位置していて、見渡す限りの田園地帯。山などの高所は一つもありません。たまに仕事帰りを利用して、車に積み込んだ自転車を下ろし、20㎞ほど走って遊んでいます。坂道は皆無、四方八方が田んぼと住宅が点在するだけ。自転車で走るには最適、走行距離を稼ぐにはもってこいのエリアといえます。

     しかし、どこまで行っても直線、景色も変化に乏しく、マラソン選手でもいやになりそうなコース。春と秋は初心者の自転車乗りにとっては絶好の走り場といえますが、冬は最悪となります。北西の季節風がまともに当たり、向かい風や横風に煽られっぱなし。
    人ではなく自然に煽られるのもつらいものです。夏は夏で、灼熱の太陽が降りそそぎ、木陰を探すのに一苦労。バテバテになっても、ひと休みするところがない。

     そんなことを考えると、MARIOさんの住んでみえる地域のほうが、サイクリストにとって楽しいコースだと思えますが、いかがでしょう。

     話は変わり、今回ブログ写真4枚目のレトロチックな看板。ぱっと見【貴景勝・飲料水卸】とみえるのは、好角家の私だけかもしれません(笑)。引退後の彼は、柔和な表情で優しいお顔になりました。それだけ、勝負の世界は厳しかったのですね。話がそれて、失礼しました。

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  4.  先月、稲沢市祖父江町へ銀杏を見に行きました。我が家から自転車で35㎞ほど、1日出かけるにはちょうどいい距離です。

     町中が銀杏の木で金色に染まっているようで、それは見事でした。今年は色づくのが遅かったようですが、ちょうど良い時期に見ることが出来たのだと思います。当日は風もなくて穏やかな自転車日和でした。

     べーえんべーさんが走っておられるエリアも、こんなところでしょうか。山の近くに住んでいる者にとっては、何処までも平坦で走りやすいコースは憧れです。

     ただし、おっしゃるように、風の吹く日にはかなり困難なコースになりそうですね。冬場や猛暑の折はバテバテというのも判るような気がしますが、風と折り合いをつけてこれからの時期も自転車をお楽しみください。

     写真の面白い解釈、ありがとうございます。以前よく問題になった相撲の八百長。写真の「八百津商店」を「八百長商店」と読んでは叱られますね。貴景勝関はガチンコ勝負に徹した力士なので、引退後のさわやかな表情も印象的なのでしょう。

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