今のところ快調に乗れている自転車なのに、わざわざ調子を壊してしまうこともある。例えば、ペダルの回転が重くなったのではないかと気になる。特に異状はないのに、もっと軽くなるのではないか、放っておくと軸受けの部分が傷むのではないかと心配して、やらなくてもよい分解掃除を始める。軸受けに使われる小さな鋼球をなくして、かえって問題を大きくする。
走行会の仲間の自転車の調子にまで口出しをしてしまう。持ち主が何とも思っていないのに、タイヤの交換時期ではないかとか、車輪に振れが出ているのではないかとか。余計なおせっかいだと思われているかもしれない。
先日、町役場の長寿高齢課というところから突然の電話があった。「これまでにも何度かお電話を差し上げていると思いますが…」と、丁寧な口調だ。一度も電話など受けた覚えがない。なりすまし詐欺を疑ってしまう。「73年生きていて、今までに一度も電話を受けた覚えがないけど…」と、こちらの対応はぶっきらぼうになる。
電話の本題は、昨年受けた高齢者特別健康診断の結果、血圧と血糖値がやや高いので、生活習慣病に関する指導を受けないかというお誘いだった。治療を受けているか、薬は飲んでいるかと、いろいろ尋ねられた。余計なお世話や、と言いたいところを我慢して電話をくれた担当者にこう言っておいた。
「検査を受けた病院のお医者さんから、健診の結果はまずまずなので、このままの生活を維持するようにと言われてます。ここ数年、1年間に医療機関に支払うのは特別健診代1,000円だけ。薬代はしもやけに塗ったオロナイン軟膏代550円だけでした。健康だと思って幸せに暮らしている人に、あなたは病気ですよと暗示をかけて病人を作らないでください。」
自転車と同じだ。好調なのにわざわざ調子を悪くすることはない。ただし、自分の身体は自転車と違って部品を取り換えるわけにはいかない。過信は禁物、である。
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