冬をむかえる

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'25.1.22 山を見て走る

2021年6月19日土曜日

自転車の骨格

 アルミ、カーボン、チタンにクロモリ。形状記憶合金まで加えると、メガネのフレームのことかと思うが、自転車のフレームの素材である。自転車の特性は、フレーム(パイプでできた骨格)の材質でほぼ決まる。自転車という乗り物が世に出た当初、フレームは木で作られていた。今から200年も前のことである。その後は、長く鉄が使われた。

 アルミニウム合金が使われるようになったのは50年ほど前である。1970年代にアルミ合金のフレームができると瞬く間に自転車界を席巻した。アルミ合金は軽い。しかも錆びにくい。軽さが命の自転車には願ってもない材料である。軽さを追求したカーボンやチタンという材料もあり、最近ではかなり普及している。高価な自転車のフレームはほとんどカーボンかチタン製だ。特にカーボン素材は錆とは無縁で超軽量。自転車の性能を追求すればカーボン製のフレームに行きつく。

 スポーツバイクを値段で大まかに分けると、入門用のごく安価な2.3万円から、20万円までの自転車はアルミ合金のフレームが多い。実用車もほとんどはアルミ製である。20万円を超える自転車になると、カーボンのフレームが主流である。100万円をこえる自転車もある。本格的なレースに使われる自転車には、ほとんどカーボンのフレームが使われている。

 アルミやカーボンが全盛ではあるが、クロム・モリブデン鋼(クロモリ)という鉄の一種を使ったフレームも根強く残っている。価格帯でいうと、10万円以上、20万円前後までの自転車に使われている。クロモリ鋼は重くて錆びやすい難点はあるが、粘りと弾性に富んでいる。薄くて細いフレームでも荷重に耐えることができる。路面からの振動をやわらげてくれるので、長時間乗っても疲れない。

 初めてクロスバイクを買うときに、雑誌やカタログを漁っていて、クロモリのフレームを知った。その後、ロードバイクやマウンテンバイクにも手を出すことになったが、すべてクロモリフレームのものを選んだ。今風の自転車に較べてフレームが細身で、色使いも地味なものが多い。乗り心地はしなやかでやさしい。これは魅力だ。高齢のライダーにもってこいである。

 知人の自転車と交換して乗ったり、バイクショップで試乗したり、いろいろな自転車に乗る機会があったが、アルミフレームは硬くて振動が大きい。長時間乗ると疲れるだろう。カーボン製は軽すぎて不安定だ。車体が跳ねて、脚の力が後輪に伝わりにくい気がする。速さを競うような乗り方をしない限り、無用の長物。体幹や脚力の強い人でないと漕げない。

 自転車は好みのスタイルと用途に合わせて選び、長くつきあいたい。のんびりと自転車旅を楽しむなら、しなやかで古典的な造形のクロモリフレームが一推しである。ただし、乗り手の嗜好と体力は千差万別なので、素人が声高に薦めることでもないだろう。

1818年 「ドライジーネ」
ドイツのドレイス男爵が発明
(Wikipediaによる)
ペダルのないキックバイク

2021年 トレック Emonda SLR9 eTap
カーボンフレーム
重量6.75kg ¥1,369,500
(TREKカタログによる)
車ならフェラーリやランボルギーニか

2012年 ブリヂストン・アンカーUC5
初めての愛車
クロモリフレームのクロスバイク
決め手は細いフレーム

2013年 ラレー カールトン・ビンテージ
2台目も決め手は細身のクロモリフレーム
しなやかで端正なたたずまい

2018年 アラヤ マディ・フォックス
3台目もMTBでは珍しいクロモリフレーム
細いフレームは景色の邪魔をしない
MTBの無骨さを中和してくれる

強靭、軽量、耐震、耐久、何よりも美観
橋梁も自転車もフレームの要素は同じ

赤いフレームが道を位置づける
道を通りぬける気分を決める

赤いフレームが神の居場所を決める
気分を静謐な場所へいざなう







2 件のコメント:

  1.  今回もサイクリストには興味がそそられるお話でした。
    自転車の良し悪しは、ほぼフレームで決まるとは驚きです。
    事実、カタログなどを見ていると、フレームのみで何十万円もしていますから、
    いかに重要なパーツなのかがわかります。
     乗る人の用途に応じてアルミ、クロモリ、カーボンなどと選択するのでしょうが、私は自転車の初心者のため深く考えずにアルミフレームを選びました。

     MARIOさんは3台すべてがクロモリですね。今回のブログを読んで、納得です。粘りと弾性に富んでいて、乗り心地はしなやかでやさしいときたら、私にピッタリ。

     現在乗っているアルミ仕様のクロスバイクは、路面の振動をモロに拾うし、段差などあればその衝撃は全身の骨格に伝わり、疲労度は相当なものとなります。
    ぜひ近いうちクロモリフレームのバイクに乗ってみたいです。

     先ずは近くの自転車屋で試乗させてもらい、今後の購入リストに入れるか考えます。

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  2.  乗り心地については、素人の個人的な感想ですので、参考程度にお考え下さい。
     雑誌や自転車関連本にも、クロモリは乗り心地がいいとは書いてあります。長時間乗れば、振動でかなり疲れると思うので、マイルドな乗り心地はありがたいですね。
     自転車旅が目的の、ランドナーというタイプの自転車は、今でもほとんどクロモリフレームですね。

     機会があればいろいろな自転車に乗って試してみられると、特徴や長短が判り面白いですよ。

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