冬をむかえる

冬をむかえる
'25.1.22 山を見て走る

2022年4月2日土曜日

天候判断

    子どものころ、明日の天気はそれほど重要ではなかった。学校のある日も休みの日も、朝の起きがけに雨が降っていれば気分が滅入ったし、雪が積もっているとわかればばわくわくすることはあった。それでも、晴れたら晴れたように、雨なら雨、雪なら雪なりに、遊ぶことを考えればよかった。

遠足や運動会の前日だけは、さすがに翌日の天気が気になった。天気予報の精度は今ほど高くなかったように思う。てるてる坊主の効能を信じていたころである。大人たちの天気予報もあまり当てにはならなかった。

 学生時代が過ぎ去っても、教員という学校勤めの職業を選んだので、学校生活は続くことになった。今度は、自分のための天気ではなく、生徒のための天気が気になるようになった。学校行事の前日には、近くの漁業組合に電話して、天気の予想を尋ねたこともある。漁に出る人たちの天気予報は、気象予報士の予報よりも正確だった。

 自転車に乗って遊びに出かけるだけなので、農業や漁業に従事する人ほど気候が切実な問題ではない。物流や交通機関に携わる人ほど深刻でもない。スポーツ選手なども、それが屋内競技ではあっても、天候に影響される要素は多く、何かと気がかりだろう。それに比べれば、大したことではないのだが、やはり天候判断は一大事なのだ。

 幸い、長期の予報も精度は高くなっている。かつては気象学者が研究していた天気予報モデルが使われていて、12日くらい先までは予測ができても、1週間先の予報は正確に出せなかったらしい。地球物理学という分野で、太陽熱や大気の放射、海面や陸面からの蒸発の物理過程を研究し、地球全体の天候を考えることで、長期の天候予測が可能になった。昨年、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんたちの、地球の温暖化に関する地球物理学の成果が、長期の天候予測にも生かされていると聞いた。

 スマホを開けば、雨雲レーダーなどで短期の天気の変化は即座に読み取れる。魚釣りを専らの趣味にしている知人に教えてもらったWindyというアプリを使えば、風の変化もかなり正確に知ることができる。自転車乗りにはありがたい。

 予報が正確になったとはいえ、思いがけない雨雲の発生や、急な風の変化には悩まされることがある。漁師さんのように経験知から予測するのは難しい。10年自転車に乗っていても、天気の変化を予測する勘までは身につかない。

 花の季節を迎え気持ちは騒ぐ。いろいろな人から花見のお誘いをいただく。短い花の見ごろのうちに、誰と何処へ何時出かけるか、自転車の手入れをしながら考える。安全に配慮して雨の日には自転車に乗らない。乗れない日を差し引くと、花の見ごろに出かけられる日は限られる。無理をしてでも出かけたものかと、天候判断には少なからず迷う。予報に反して花見日和に恵まれる日もある。天気予報が外れる方が嬉しいこともある。

天気は気まぐれで
私も気まぐれだから
折り合いがつかない

それでもこうやって
折り合いをつけながら
自転車で出かけるのだ

草履を蹴り上げて天気を占い
てるてる坊主に願いを託し
明日の晴天を待つ

季節と気候が折り合いをつけて
花を咲かせはじめる

今年はどんな花が見られるか
天候判断には覚悟がともなう



2 件のコメント:

  1.  私も昔から天気を気にすることはなかったのですが、自転車に乗り始めて特に頭を悩ませるのが、天気と風速です。まあ雨が降りそうなときは無理をしませんが、風速5mくらいだととても迷います。最近は風よけになる街中や林など壁になるところを選んで走るようにしていますが、なかなかきついです。

     MARIOさんは百戦錬磨だから、多少の風雨などそれほど気になさらないでしょうね。私は、まだまだ初心者ですのでそのあたりのノウハウを勉強しないといけません。

     写真4枚目の画像が素敵ですね。
    さあこれから自転車乗りにとって絶好のシーズンとなります。梅雨までに、どれだけクロスバイク、マウンテンバイクで自転車の魅力を引き出せるか、挑戦したいです。

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  2. 中学校へは自転車で通学していました。雨の日だからとか、風が吹くからといって困ったり、嫌な気分になったりしたという記憶がありません。冬の寒い日でも、学生服の下にたくさん着込むわけにもいかず、多分、薄着で自転車に乗っていたのだろうと思います。

     今のように軽くて丈夫な防寒着やレインウエアもなかったので、多分ゴムの合羽を着ていたのだと思います。それでも、力まかせに自転車のペダルを踏むので、結構身体は暖かかったのでしょう。

     若いころ、オートバイに乗っていて、身体が冷えて困ったときには、新聞紙や週刊誌を腹の周りや膝に当てて走っていたことも思い出します。天気などお構いなしの時代が懐かしいです。

     雨の日だろうが雪の日だろうが、とにかく学校へは自転車で行く、そんな若い日の真似は到底できません。歳相応に安全にも気を配り、天候判断を慎重にしたうえで、自転車を楽しみたいと思います。

     自転車にはいい季節になってきました。あまり無理のないように、それでも多少の冒険心が満たせるように、天気と折り合いをつけながら出かけます。

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