ウィスパーはささやき。ウィスパーラーはささやく人。ならばホースウィスパラーは馬にささやく人のことである。“whisperer ”には動物と話ができる人という意味もあるらしい。
ロバート・レッドフォード監督・主演の『モンタナの風に抱かれて』(1998)という映画を観たときに、このストーリにどこかで出会っている気がした。映画の原作になった、ニコラス・エヴァンスの小説『ホースウィスパラー』を読んだ記憶がよみがえった。映画の邦題が原作とは全く違っているので、すぐには気がつかなかった。
「13歳の少女グレースは乗馬中に巻き込まれた事故で親友と右足を失い、人生に深く絶望していた。彼女の愛馬ピルグリムも、事故のショックで人間になつかない暴れ馬になっていた。ニューヨークで雑誌編集長をしいるグレースの母親アニーは、娘の心を回復させるにはピルグリムの全快が必要だと悟る。馬の心を理解できるというホースウィスパラーの存在を知り、遠くモンタナまでその男、トムを訪ねて行く。……大自然の安らぎと愛に癒され、人は生きる勇気を取り戻す」映画のDVDジャケットにある解説文を引用した。
映画では、登場人物よりも馬の演技が際立つ。事故のトラウマを抱えるグレースの愛馬ピルグリムはトムの力で心の傷を癒していく。片脚を失って深く傷ついていたグレースも立ち直っていく。モンタナの山々に囲まれた草原で、馬と対峙するトム。馬にささやくというよりは、馬のささやきを静かに聴いているようなシーンが印象に残る。
映画やその原作のように劇的ではないが、ときどきは自転車に乗っていても同じようなこと思う。自然の中へ自転車を漕ぎ出し、風や自転車のささやきに耳をかたむける。自分のささやきを聴いてもらう。自転車の擬人化ではない。自転車を人間化して相棒にしている。
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『ホースウイスパラー』、『モンタナの風に抱かれて』。
返信削除私が唯一わかったのは、ロバート・レッドフォードのみ。
MARIOさんがいかに多くの書物を読み、数知れず映画を観賞されているかが窺えます。この映画の解説文を読むだけで、イメージが膨らみ観てみたくなる作品ですね。
心身ともに傷ついた少女と愛馬との心の交流が、ホースウイスパラーによって深まっていくのですね。馬のささやきを受けとめながら、まさに以心伝心、二人?だけの世界が広がっているのでしょう。
自転車に乗りながら自然と会話し、お互いに阿吽の呼吸を感じる時間が流れたら素敵でしょうね。私には、まだまだ修行が足りません。
今回の写真は、いつにも増して特上です。こんな青があるのかというほどの美しさ。雲一つない秋空に、自転車の存在が際立ちます。
この空の色はコバルトブルー、いや宇宙から眺めた地球の瑠璃色に近いでしょうか。本物より写真のほうが、ホンモノっぽい錯覚に陥ります。、、
ここしばらくは絶好の自転車日和が続きました。雲一つない秋晴れの連続です。
返信削除少し古くなってしまったGoogleのPixel4aというスマートフォンのカメラを使っているのですが、色調などの調整をしなくても、空の青がきれいに撮れました。スマホのレンズのおかげです。この日ここに自転車と一緒にいた、という証明にはなると思います。
映画の方は、それほどたくさんの作品を観ているわけでもないのですが、馬の映画、自転車の映画、あるいは、同じ監督の映画とかロバート・レッドフォード主演の映画といったように、テーマを絞って観ると、面白い作品に出会うことがあります。
新作の映画を劇場で観続けるほどの時間的、金銭的な余裕がないので、AmazonPrimeの無料配信やレンタルビデオで古い映画を探してみるのも楽しいものです。
何しろ細々と年金生活を送っているので、自転車にしても映画にしても、お金をかけずに持続可能な楽しみ方を工夫しなければならないところが、また楽しいのだと思っています。