若い頃ならいざ知らず、この歳になって身体を鍛えようとは思わない。鉄を鍛えるには熱いうち打てというが、もう若くも熱くもないので、鍛えようがないかもしれない。
自転車に乗っていると人にいうと、健康のためか、ブームだからか、あるいは、日野正平が乗っているからか、などときかれる。ところが本人は、面白いから乗っているだけで、健康のために乗るわけでもなければ、ブームに乗ったつもりもない。我が家ではBS放送が見られないので、日野正平の『こころ旅』という番組も人にきくまで知らなかった。YouTubeにアップされている『こころ旅』の総集編を観た程度である。この番組はうまく編集されていて、自転車が国内の各地を訪ねるのに最適な交通手段であることはよく解る。いずれにしても、初めてスポーツ自転車に乗ったときに、これは面白いと思ったので、乗りつづけているだけである。
丹羽隆志、中村博司共著『大人のための自転車入門』日本経済新聞社発行という本には、自転車に乗ることの効能について詳しい記述がある。自転車に乗り初めたころには大いに参考にさせてもらった。目次の一部を引用すると、
自転車と健康
・健康寿命を延ばし、生活の質を向上させよう
・生活習慣病の予防
・エアロビクス効果
〈コラム〉有酸素運動効果の高い自転車運動
・関節にやさしい運動 などなど
項目だけでも内容の察しがつく。自転車に乗るというスポーツがいかに健康増進に有益か。身体に負担をかけずに筋力が鍛えられか。他の運動と比較して、エビデンスを示しながら縷々解かれている。他の項では、自転車の選び方から整備の仕方、乗り方の基本まで、懇切丁寧に書かれている。なるほどと思い、何度も読み返した箇所もある。
ところが、天気の佳い日は毎日のように自転車に乗っていると、本に書かれていることなどは気に留めなくなる。自転車に乗ることを楽しめればいいのである。目標を決めた途端に乗ることが面白くなくなる気がする。身体が強くなることは結果としてはあるのかもしれない。ないかもしれない。
人間だけが、さぁ今から運動するぞと気合を入れて身体を動かし始めるらしい。他の人と競い合って、走ったり跳んだりしたくなるようだ。ライオンが狩りに備えて100mのダッシュを何本も繰り返し、トラや豹とタイムを競うことはない。鳥が飛翔距離や速度を仲間と較べることもないはずだ。アフリカ象やインド象がダイエットする話もきかない。私も、身体を鍛えるとか、健康増進のためダイエットのためという目標はなし。乗りたいから乗る、楽しいから走る。はな歌まじり。
毎日、飽きずに懲りずに走ろうと思えることが、身心ともに鍛えられているということかもしれない。1日に走った距離くらいは知っておきたいが、心拍数を気にしたり、ケイデンス(ペダルをこぐ回数)を測ったり、小難しいことを考えて乗るのはご免こうむりたい。もちろん、いろんな乗り方、鍛え方をしている人があっていいとは思うけれど…。
のんびりと自分のペースで走り続ける
近場を走っていても放浪気分 行けるところまで行くか…
|
ときには試し乗りや、乗り方の練習もするが…
場所を選んで、実力に応じて… 楽しむだけです
|
遠くまで来たなぁ、と感慨にふけりながら…
自転車に乗ることの目的はなし、目的地もなし
|
0 件のコメント:
コメントを投稿