'25.10.3 一本の柿の木

2020年2月14日金曜日

初乗り


 初めて自転車に乗れるようになったのは、比較的早い時期だったと思う。よくは覚えていない。小学校に入学したころだろうか。父親は、オートバイを所有する人がそれほど多くないころから、中古のオートバイを手に入れて乗っていたので、自分の子どもを乗り物に乗せることには抵抗がなかったのだろう。機械いじりを教えたかったのではないかとも思う。
 
 子ども用の自転車を買ってもらうなどということは及びもつかない時代で、「三角乗り」と子どもたちの間で呼ぶ乗り方で自転車に乗っていた記憶がある。左足をペダルに乗せ、ハンドルにぶら下がる。トップチューブの下から右足をくぐらせ、右側のペダルに何とか足をかける。体は自転車の左側にあって、重心のかかった左足とかろうじて力の伝わる右足でペダルを踏む。不安定で、勿論スピードはでない。それでも、うまく乗れば転倒することはない。
 
 もう少し身体が大きくなると、サドルを外してシートポストの上に座布団を縛り付ける。サドルにまたがると足はペダルが下がった時に届かない。サドルを座布団に換えて寸法を稼ぐ。つま先でなら何とかペダルが踏める。ただし乗り始めは飛び乗る格好になる。座布団を敷いているとはいうものの、フレームに突き上げられて股間が痛い。サドルを戻しておくのを忘れて叱られるというリスクもあった。
 
 自転車の経験はどれくらいですか、と尋ねられたら、小学校に入学したころからなので、かれこれ55年ほどにもなるでしょうか、と答えることはできる。中学生のころには片道3.5㎞程を毎日自転車で通学した。高校生になると最寄りの駅まで自転車で通った。時々、電車に乗り遅れると、10㎞余りある学校まで自転車で行くこともあった。その後は、自分のオートバイや乗用車を手に入れて乗り継ぎ、自転車には乗らなくなってしまった。
 
 40年ぶりに自分の自転車を手に入れた。初乗り、もしくは自転車との再会で、近所のショッピングセンターまで、往復15㎞程の距離を走ってみた。自転車が手元に届くまでにサイクルメーターを発注してあったので、どれくらいのスピードで走っているか、走行距離がどれくらいなのかは一目瞭然である。普段は自転車で行くことなど考えたこともないショッピングセンターまで簡単に行けてしまうことに驚く。それほど疲れもない。帰り道はきついのではないかという心配も全くの杞憂。あとで気づくことであるが、この日は無風ということもあって、快適な初乗りになった。ビギナーズラックである。自転車に乗るのは、快適そのものという達成感をもって初乗りを終えることになった。

 初乗り、走行距離15km。この時点では、記録はこれだけしか残っていない。初乗りのあと三度目からは、走行時間、平均速度、それに走行距離などを表にして残すことにした。


自転車に乗り始めた頃
  天気の佳い日が待ち遠しい
                    木曽三川公園にて(自宅から約15㎞)     

祖父江町 木曽川左岸堤防にて(自宅から約25㎞)


名古屋城にて (自宅から約35㎞)

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