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裏街道を走る 平日の日中ならほとんど人や車と行き合わない |
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裏街道を走っていると思わぬ出会いも…。両方ともブリヂストン製 |
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裏街道にも華やぐ時期がある |
学生時代も仕事についてからも、幸いなことに大きく道を踏み外すことはなかった。ごくごく普通の生活を送り、裏街道に踏み迷うということはなかった。
これまで、オートバイでツーリングに出かけたり乗用車でドライブ旅行をしたりするときには、目的地への最短距離を選んできた。裏街道を走ることはなかった。高速道路や幹線道路を使わないと効率が悪い。
さて、自転車である。これは裏街道が似合う。乗り始めてしばらくは、家から少しずつ距離を伸ばして、思ったよりも遠くまで行けることを楽しみながら走った。子どもの頃に自転車で走りまわった家の近所の道。思わず遠くまで行ってしまって、帰りが不安だった場所。子どもの頃にかえってそんな処も走ってみた。家の近くではあっても、自転車に乗らなかったら死ぬまで通らなかっただろうと思うような道と沿道の景色に出合った。
集落の家と家の間の細い道。行き止まりになっているのではないかと思われる道。時には民家の庭先で行き場を失う道。自転車なら、行き止まりになっていても方向変換は簡単である。袋小路に迷い込んでも、その場で自転車を持ちあげてUターンすればよい。通り抜けができるかどうか心配する必要はない。行けるところまで行けばいいのである。これは気に入った。行けるところまで行く。だめならやり直す。わかっていても実生活では難しい。自転車に乗っているときには、それが簡単にできてしまう。
かつて勤務した中学校の校区を走ってみる。家庭訪問した懐かしい生徒の家などは不思議によく覚えている。裏道から裏道へ通り抜けてみる。昔教えた生徒が当時のままの姿で路地から出てくるような錯覚に陥る。
街をぬけて田んぼの中の細い道を走ってみる。遠くに集落が見える。集落へつながる道を探しながら走る。集落の中をゆっくりと走る。不審者と間違われない程度のスピードを保つことが肝要。集落はそこで行き止まりというところはほとんどない。よほど山奥の村ででもない限り、向こう側へ続く道が必ずある。しばらく走れば、また、大きな道に行き合う。これは田舎道の走り方の鉄則。地図を確かめたりナビを操作したりする必要はない。匂いや勘を頼りに走ればいい。遠くの山を目印にして走り、大きく方向を変えない限り進路が狂うことはない。
颯爽とした姿の自転車乗りのグループが、大きな道を行く。車の多い道をものともせず、速いペースで走る。目的地を目指すなら、日のあたる本街道を行くのが早道である。でも、ちょっとだけ言いたい。余計なお節介かも知れないが、ときには本街道からそれて裏街道も走ってみてはいかがなものか。そこには自転車によく似合う風景があって、本物の風の香りやその土地の匂いを楽しめるかも知れない。
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裏街道を走るとパンクする…と決まったものではないがパンクは面倒!! とりあえず、持ち合わせの新しいチューブと交換する。 |
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